同根語
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同根語(どうこんご、: cognate)とは、言語学において、共通の起源を持つ単語をいう。

それは、同じ言語の中で発生する場合がある(同根語#同一言語内の同根語を参照)。例えば、2つの英単語「shirt」(シャツ)と「skirt」(スカート)は、ともにインド・ヨーロッパ祖語の単語「sker-(「刈ること」という意味)に由来している。

それはまた、複数語の言語にわたって発生する場合もある(同根語#言語間の同根語を参照)。例えば英単語の「night」とドイツ語単語の「Nacht」は、いずれもインド・ヨーロッパ祖語の単語「nokt-」から派生した、「夜」を意味する単語である。

語「cognate」は、ラテン語の「cognatus」に由来している。co(with ともに)+gnatusnatusは、nascor(to be born 生まれること)の過去分詞。[1]

単語は文字通り「由来によって関連があるか、共通の祖先を持っているか、類似した性質や特性や役目によって関連がある」ということを意味している。[2]

注意すべきは、「一見すると似ているが、同じ語源から派生したものではないケース」で、これを「見かけ(偽)の同根語」(en:false cognates)と呼ぶ。他方、真の同根語(語形も似ている)でありながら意味が異なるケースは「見かけ(偽)の友達」(英en:false friend、仏faux-ami、空似言葉)と呼ぶ。



特徴

同根語は同義であるとは限らず、歴史とともにそれぞれの意味を獲得していくケースもある。例えば、英語のstarve(「餓死する」)、オランダ語のsterven(「死ぬ」)、ドイツ語のsterben(「死ぬ」)はゲルマン祖語の*sterban?(「死ぬ」)に由来するが、現代の英語で「死ぬ」の意味はdieである。discusはギリシア語のδ?σκο?(動詞δικε?ν「投げる」から)から派生したもので、deskもこのギリシア語と同根だが、中世ラテン語のdescaを経て英語に入ったものである。

語形が似ているとも限らない。例えば、英語のfather(「父」)、フランス語のpere、アルメニア語の???? (hayr)はインド・ヨーロッパ祖語の*ph?t?rに直接遡るものである。極端な例では、アルメニア語の????? (erku)と英語のtwo(数字の「2」)はともにインド・ヨーロッパ祖語の*dwoh?に由来する(アルメニア語では*dw > erkの音韻変化は規則的な変化である)。
言語間の同根語

例として、インド・ヨーロッパ祖語の*nok?ts(「夜」)に由来するものには、英語のnightを始め、以下の例がある。nicht (スコットランド語), Nacht (ドイツ語), nacht (オランダ語), nag (アフリカーンス語), Naach (ケルン語), natt (スウェーデン語, ノルウェー語), nat (デンマーク語), natt (フェロー語), nott (アイスランド語), noc (チェコ語, スロバキア語, ポーランド語), ночь/noch (ロシア語), но?/no? (マケドニア語), нощ/nosht (ブルガリア語), nishi (ベンガル語), н?ч/nich (ウクライナ語), ноч/noch/no? (ベラルーシ語), no? (スロベニア語), no? (ボスニア語, セルビア語, クロアチア語), nakts (ラトビア語), naktis (リトアニア語), ν?ξ/nyx (古代ギリシア語), ν?χτα/nychta (現代ギリシア語), nakt- (サンスクリット語), nate (アルバニア語), nos (ウェールズ語, コーンウォール語), noz (ブルトン語), nox/nocte (ラテン語), nuit (フランス語), noche (スペイン語), nueche (アストゥリア語), noite (ポルトガル語, ガリシア語), notte (イタリア語), nit (カタルーニャ語), nuech/nueit (オック語), noapte (ルーマニア語)。

別の例はインド・ヨーロッパ祖語の*h?st?r (「星」)で、英語のstarを始め、以下の例がある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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