吉原炎上
[Wikipedia|▼Menu]

吉原炎上
Tokyo Bordello
監督
五社英雄
脚本中島貞夫
原作斉藤真一
出演者名取裕子
音楽佐藤勝
撮影森田富士郎
編集市田勇
製作会社東映京都
配給東映
公開 1987年6月13日
上映時間133分
製作国 日本
言語日本語
配給収入6億円[1]
テンプレートを表示

ポータル 映画
プロジェクト 映画

『吉原炎上』(よしわらえんじょう)は、1987年公開の東映映画。主演:名取裕子、監督:五社英雄

吉原遊廓に生きた女たちの生き方を本格的に取り上げた初めての映画といわれる[2]花魁5人の悲喜を描く[3][4]。テレビでも複数回放映され高視聴率を記録している(テレビ朝日日曜洋画劇場や深夜枠など)。

名取をはじめ、かたせ梨乃西川峰子藤真利子ら、当時の有名女優の大胆なヌードシーン(特に名取と二宮さよ子レズビアンシーン)があったことが大きな話題を呼んだ[5][6]

1998年には新橋演舞場にて、映画と同じく名取裕子主演で舞台化もされている。2007年には観月ありさ主演でテレビドラマ化された[7]
ストーリー

主人公の久乃は明治の終わり、1907年(明治40年)に吉原の中梅楼に遊女として売られた。そこでは借金に縛られた女たちが六年の年季が明けるまで、春をひさいでいた。

生まれては苦界、死しては投げ込み寺の世界を生き抜いた女郎と生き抜けなかった女郎の波乱万丈の世界を描いた作品である。
スタッフ

監督 -
五社英雄

企画 - 日下部五朗、本田達男、遠藤武志

原作 - 斎藤真一 「吉原炎上」(文藝春秋刊)「明治吉原細見記」(河出書房新社刊)

脚本 - 中島貞夫

脚本構成 - 笠原和夫

撮影 - 森田富士郎

美術 - 西岡善信

編集 - 市田勇

音楽 - 佐藤勝

助監督 - 鈴木秀雄

キャスト
主人公たち
上田久乃→若汐→紫太夫
演 -
名取裕子主人公。登場時は19歳。岡山県出身。船乗りだった父が海難事故を起こし、賠償金の工面のため吉原に売られてきた。花魁として「若汐」の源氏名を名乗り、最初の客と、いざ事を始める直前に羞恥心から逃げ出し、捕えられて厳しい折檻を受け、九重から男を喜ばせる方法を教わる。吉原に入った頃から久乃の成功を予感した者達の期待通り、徐々に花魁としての自尊心が芽生え、金持ちの常連が付いた強運もあって御職を目指すようになる。
九重
演 - 二宮さよ子中梅楼の一番花魁(御職)、春の章ヒロイン。主人公の姉女郎。年上ということもあり、姉御肌。本人によると「(久乃から)いい匂いがしている」として妹分として気に入っている。客から逃げ出した若汐を折檻するものの、身をもって客を喜ばせる方法を教えてくれた。一番人気で上物のお得意様から声がかかっているが、本人は学生の宮田に熱を上げている。自身を「年増女郎」と自覚しており、宮田から叶わぬ結婚を匂わされたことで落胆し、店への借金を清算して静かに吉原を去って行く。
吉里
演 - 藤真利子中梅楼の二番花魁、夏の章ヒロイン。九重のあとの御職を継いだが、客には恵まれておらず、借金が多い。若汐には妊娠した場合の処置法(堕胎の方法)を教える。野口に惚れており、株で大損をした金の穴埋めに若汐づてで古島から50円借りるものの、約束を反故にされて半狂乱になる。のちに越後屋と懇意になり、冗談で「一緒に死のうか」と言われたことがきっかけで剃刀を片手に越後屋を追いかけ回し、表で誤って金魚売りの首を斬ってしまう。追い詰められた末、「何だい、みんな、あたしの身体を喰いものにしてやがるくせに…女郎の上まえで喰ってやがるくせに…」と啖呵を切り、自らの首を剃刀で斬って果てた。
小花
演 - 西川峰子中梅楼の三番花魁、秋の章ヒロイン。周囲には「徳川家典医の家系だったが、両親が亡くなったため、帝大の医学部に通う弟のために花魁になった」と吹聴し、弟の写真を肌身離さず持っている。年季明けを目指して客を取り過ぎたためか、無理が祟って体調を崩し、御職の座を紫(若汐)に奪われてしまう。その上、身の上話が虚構だったこともバレてしまい、屈辱から半狂乱となり、喀血して壮絶な最期を迎える。
菊川
演 - かたせ梨乃久乃の先輩女郎、冬の章ヒロイン。口は悪いが気立ては良い。久乃とは面倒を見るうちに仲良くなり、「菊ちゃん」「久ちゃん」と呼び合うようになる。貧しい家の娘で、女郎暮らしをしながら「白米が食べられる」と喜び、自身の古着は実家に送っている。のちに「要領が悪く、稼ぎが悪いから」との理由で、女将から言われて品川にある別の遊廓へ住み替えした。物語中盤、久乃と再会したときには宮大工と所帯を持った様子だった。物語終盤、夫を寝取られ吉原遊廓では最下層の店が並ぶ羅生門河岸の長屋女郎にまで身を落としていた。そして、古島に会わせてほしいと懇願する紫に啖呵を切って追い返す。吉原炎上時には近くの川に飛び込んで助かり、燃える吉原を眺めていた。
中梅楼
大倉伊三郎
演 -
山村聡主人。スミによると、毎日の仕事前に伊三郎が直々に各部屋に訪れて挨拶する花魁は、九重、吉里、小花の人気のある3人の花魁だけ。若汐には「吉原一の花魁になる」と期待を寄せ、吉原の伝統である花魁道中をやってほしいと思うようになる。
大倉スミ
演 - 佐々木すみ江女将。中梅楼を取り仕切っている。古島がチップとして1人50円渡していると聞いた時は、髪を整えて自ら急いで貰いに行っていた。伊三郎同様、古島や坪坂など大身の人物を馴染み客に持つ若汐を「運の強い子」と褒め、「紫(太夫)」という江戸時代から吉原に伝わる大変な名跡を継がせる。
おちか
演 - 園佳也子遣り手。中梅楼の二階の階段と廊下に隣接した簡単な座敷から、花魁や女中たちの働きぶりを見ている。本人は「ここが私が睨みをきかせている中梅楼の司令塔」と称している。口達者でよく喋る。女将にも色々と自分の注文を伝えている。
由松
演 - 左とん平客引き。中梅楼が開店する時刻ともなれば、張見世(今で言うショーウィンドウ)で、客を呼びこむための売り文句を述べている。
国さん/源さん
演 - 岸部一徳/ビートきよし中梅楼で雑用などをこなしている。
おうら
演 - 絵沢萠子雑用などをこなしている。若汐と共に桜田に小花の家族について話を聞きに行った。小花が大きな失敗をして、旦那や女将の逆鱗に触れた時も小花の味方となり、涙ながらに許してもらえるようにお願いした。
綾衣
演 - 速水典子
(役名不明)
演 - 松岡知重
馴染み客
古島信輔
演 -
根津甚八救世軍の活動に身を投ずる古島財閥の御曹司、若汐となった久乃の馴染み客。若汐が初めての客から逃げ出した時に川岸で偶然知り合う。若汐を初めて指名した時は、多くの花魁を総揚げ(※遊廓の見世を丸ごと貸しきり、遊ぶこと)して、さらに他の従業員たちにも1人50円もの金をチップとして大盤振る舞いをした。その後も若汐を何度か指名して一夜を共にしているが、一度も抱いたことはない。後に若汐の身請けを申し出るも、若汐に拒否されてしまい物別れに終わる(ただし金は受け取り花魁道中を挙行している)。若汐が紫の名跡を襲名した後、疎遠になるが1年後現れて2千円もの大金を彼女に渡した。それと同時に父に勘当された事を話し、彼女の前から去る。物語終盤に、菊川のいる羅生門河岸の店にいる事が判明。お春に熱を上げるようになる。
坪坂義一
演 - 小林稔侍紫太夫となった久乃=若汐の馴染み客。役所勤めの裕福な男。仕事を辞めて岡山で事業を始めるので一緒になってほしいと紫太夫に結婚を申し出た。
宮田
演 - 井上純一学生、九重の馴染み客。九重とは歳の差があり、学生とあってまだまだ人生経験が少ない。九重に対し「年増」呼ばわりすることもある。
野口
演 - 益岡徹株屋、吉里の馴染み客。株で大損をしてしまい、具体的な損害額は不明だが400円の金が必要になった。吉里が本気で愛した男。
越後屋善之助
演 - 河原崎長一郎吉里の馴染み客。金使いはあまりいい方ではないが、吉里を指名している。吉里との布団の上で「一緒に死のうか」との問いかけにそれを承諾するようなやり取りをし、本人は冗談のつもりだったがその後事件に発展。
片山勇吉
演 - (役者名不明)久乃とは旧知の仲。探していた久乃が若汐という花魁となって吉原にいるのを見つけて再会を喜び、一晩を共にした。博多によるとその後働いていた造船所の金庫から大金を盗み出したとのことで全国指名手配になっている。金にも女にもだらしないフヌケで、女と逃げているとのこと。
亭主
演 - 成瀬正菊川の馴染み客。
吉原の人々


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:88 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef