合同情報委員会
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イギリス合同情報委員会
United Kingdom
Joint Intelligence Committee

委員会概要
設立年月日1936年
行政官.mw-parser-output .plainlist--only-child>ol,.mw-parser-output .plainlist--only-child>ul{line-height:inherit;list-style:none none;margin:0;padding-left:0}.mw-parser-output .plainlist--only-child>ol li,.mw-parser-output .plainlist--only-child>ul li{margin-bottom:0}

Jon Day, Chair

上位組織内閣府
ウェブサイト ⇒www.cabinetoffice.gov.uk/content/chairman-joint-intelligence-committee-and-head-intelligence-assessment

合同情報委員会(ごうどうじょうほういいんかい、英語:Joint Intelligence Committee)とは、イギリス内閣府に所属する委員会。略してJICと呼ばれる事も多い。
概要

JICは内閣府や各情報機関、また関連省庁の幹部で構成される委員会であるが、イギリスの「国家情報機関」(National Intelligence Machinery)と位置づけられている。JICは各省庁からインテリジェンスを集めて分析し、政府としての短期、長期の情報評価報告書を提供することで政治家を補佐する。またJICはイギリスの各情報機関を指示、監督する総元締めとしての役割を持っている[1]

JICは情報機関の活動(情報収集、分析、評価)を指示、監督するほか、情報活動の計画を立案し、優先順位を決定して情報要求を行う。活動計画は、形式的にはJICで検討されたのちに関連省庁の長からなる「情報機関に関する事務次官委員会」のチェックを経て首相が議長を務める「情報機関に関する内閣委員会」で最終的に承認されるしくみとなっている。また、JICは情報機関の運営計画や予算の検討も行っている[2]

機構としては簡単で高い効果を挙げているため、日本を含む世界の多くの国がJIC式の組織を取り入れている。しかし、イギリスでこの仕組みが機能するようになったのは歴史的な経緯があってのことであり、他の国で同じように機能させることは難しいといわれる。例えば、日本の内閣にもJICに類似した合同情報会議という会議が設置されているが、各省庁が重要な情報を抱え込んでしまい内閣に情報が集まらないといった問題を抱えている。 
組織

JICは内閣府の「情報・保安・回復担当内閣府事務次官」の元に管理されている。この情報・保安・回復担当内閣府事務次官はJICの議長も兼ねており、JICの意見は内閣に直接届く仕組みになっている[1]

メンバーは外務・英連邦・開発省国防省内務省、通産省、大蔵省、内閣府の幹部、各情報機関の長、評価スタッフ(後述)事務局長で構成され、場合によっては他の省庁からも召集される。

JICには評価スタッフという20名から40名ほどの専属スタッフが存在する。評価スタッフは各機関から派遣された精鋭の分析官からなり、各機関から情報を集めて分析して情報評価報告書の下書きを作る。そのため、評価スタッフには法的に各情報機関から情報にアクセスする権限が与えられている[3]。下書きは専門家からなる「現況情報グループ」とJIC上層部のチェックを経た後で情報評価報告書として政治家に提供される[1]
歴史

JICはもともと各軍の情報部門の調整を行う為に、帝国防衛委員会(CID。イギリスの国家戦略を立案する委員会)の「幕僚委員会」の小委員会として1936年に誕生した。当初は当然ながら軍事情報のみを扱っていたが、第二次世界大戦が始まり国が戦時体制になった事で、JICは政治の中枢に関わるようになる。1939年にはJICが外交情報も扱うようになり、議長には外務・英連邦省出身の官僚が充てられる事になった。

ウィンストン・チャーチルの時代には、JICは更に重要な位置を占めた。1940年にはMI6MI5といった情報機関も加わるようになり、1941年には評価スタッフの前身である「合同情報スタッフ」(JIS)が設置された。JICが情報を取りまとめて政治家に報告を行う仕組みはこうして確立されていったのである。

戦後、JICはいったんCIDに戻されたが、ハロルド・マクミラン時代の1957年にJICは内閣府に戻され、JICが内閣と直結する形が確立された。その後、幾度かの改革を経て、1968年頃までには現在の形が成立したといわれる。その後もマーガレット・サッチャーの時代に議長を外務省以外からも受け入れるなど、様々な改革が行われている。近年ではイラク戦争の反省から、インテリジェンスが政治の都合に振り回される「情報の政治化」が問題になっており、政治との距離を見直す方向で改革が行われている。
歴代委員長

代名前英語名就任退任
01ラルフ・スティーブンソンRalph Stevenson
1936年1939年
02ヴィクター・カヴェンディッシュ・ベンティックVictor Cavendish Bentinck1939年1945年
03ハロルド・カッシアHarold Caccia1945年1948年
04ウィリアム・ヘイターWilliam Hayter1948年1949年
05パトリック・レイリーPatrick Reilly1949年1953年
06パトリック・ディーンPatrick Dean1953年1960年
07ヒュー・スティーヴンソンHugh Stevenson1960年1963年
08バーナード・バロウズBernard Burrows1963年1966年
09デニス・グリーンヒルDenis Greenhill1966年1968年
10エドワード・ペックEdward Peck1968年1970年
11スチュワート・クローフォードStewart Crawford1970年1973年
12ジェフリー・アーサーGeoffrey Arthur1973年1975年
13アントニー・ダフAntony Duff1975年1979年
14アントニー・アクランドAntony Acland1979年1982年
15パトリック・ライトPatrick Wright1982年1984年
16パーシー・クラドックPercy Craddock1985年1992年
17ロドリック・ブレシットRodric Braithwaite1992年1993年
18ポーリン・ヌヴィル=ジョーンズPauline Neville-Jones1993年1994年
19ポール・レバーPaul Lever1994年1996年
20コリン・バッドColin Budd1996年1997年
21マイケル・パケンハムMichael Pakenham1997年2000年
22ピーター・リッケッツPeter Ricketts2000年2001年9月
23ジョン・スカーレットJohn Scarlett2001年2005年
24リチャード・モットラムRichard Mottram2005年2007年
25アレックス・アランAlex Allan2007年2011年
26ジョン・デイJon Day2012年現職

 
脚注^ a b c ワールド・インテリジェンス(2007年):14-15ページ
^ ワールド・インテリジェンス(2007年):13ページ
^ 佐藤、手嶋(2006):179-180ページ

参考文献

「イギリス『情報コミュニティ』の仕組み」『ワールド・インテリジェンス』2007年3月号、ジャパン・ミリタリー・レビュー、2007年

佐藤優手嶋龍一 『インテリジェンス 武器なき戦争』、幻冬舎〈講談社文庫〉、2006年

合同情報委員会(JIC) - 愛知県立大学 奥田泰広研究室 2012年7月2日閲覧。

イギリス陸海軍の情報部 - 同上 2012年7月2日閲覧。

JIC改革の歴史 - 同上 2012年7月2日閲覧。

関連項目

合同情報会議 JICをモデルに作られた日本の類似機関。

外部リンク

情報保安委員会公式サイト(英語)JICのシステムの説明。ちなみに、「情報保安委員会」は議会に設けられた、「インテリジェンス・オーバーサイト」(情報活動のチェック)を行う委員会。










イギリスの情報機関
内閣府

合同情報委員会
外務省

秘密情報部(SIS、MI6) - 政府通信本部(GCHQ)
内務省

保安局(SS、MI5) - 統合テロリズム分析センター(JTAC) - 国家犯罪対策庁(NCA)
国防省

国防情報参謀部(DIS)
ロンドン警視庁

テロ対策指令部(CTC、SO15)
過去に存在した組織

海軍情報部(NID) - ロンドン警視庁特別部(スペシャル・ブランチ、SO12) - 軍事作戦部第三課(MO3) - 秘密情報部(SSB) - 軍事情報部(DMI) - 政府暗号学校(GC&CS) - 無線保安本部(RSS、MI8) - 特殊作戦執行部(SOE) - 情報調査局(IRD) - 帝国国防委員会(CID)

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