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司法行政権(しほうぎょうせいけん)とは、司法権を行使する機関の設営・管理などの行政作用を行う権限である。司法行政権に基づいて行使される行政作用を、司法行政という。
通常、司法権を行使するのは裁判所であるため、裁判所に係る行政作用の行使権限と同じ意味である。 大日本帝国憲法下においては、建前上は司法の独立は尊重すべきものとされていたが、大審院およびその下に置かれていた裁判所は司法行政権を有さず、司法行政権はすべて行政官庁である司法省が有していた。 ただし、大日本帝国憲法下の裁判官は定年があったものの任期制ではなく、司法省の人事権は裁判官の出世人事にのみ影響を及ぼすものであった。 太平洋戦争終了後、日本国憲法および裁判所法の施行に伴って、司法行政権を有する行政機関である司法省は廃止された。 日本国憲法の下では、司法の独立を保証するため、司法行政権の多くは裁判所が有することになっている。裁判官会議の議に基づいて行われる裁判所の運営を補佐するため、最高裁判所には最高裁判所事務総局(以下「事務総局」)が、下級裁判所には事務局が置かれている。司法行政の最高監督者は最高裁判所である(裁判所法80条 最高裁の司法行政の主な内容としては以下の物があり[1]。裁判所運営上の人的物的両側面に及ぶ。 また最高裁判所だけではなく、高等裁判所や地方裁判所や家庭裁判所の裁判官に委ねられた司法行政権がある[1]。通常は高裁長官や地裁所長や家裁所長が招集するが、当該裁判官書裁判官3分の1以上の請求があれば開く[1]。 裁判官会議の議決が所属裁判官の半数以上が出席し、過半数で決定される[1]。 裁判所は建前上、司法行政権を行使して個々の裁判官の裁判権行使に影響を与えることはできない。 裁判所が有する司法行政権は、建前上は裁判官会議の議に基づいて執行されることが定められているものの、日本は人口の多さと比べて裁判官の定員が極端に少なく、裁判官の仕事は非常に多忙で、実際の裁判官たちは裁判官会議に時間をかける余裕がないため、実質的には最高裁判所の内部に存在する事務総局が司法行政権の全てを掌握する形になっている。元裁判官たちの証言によると、日本の裁判官会議は単に事務総局が決めたことを追認するだけの形骸化した会議に過ぎず、現在は下級裁判所事務処理規則 日本国憲法第76条第3項の条文は「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」であるが、この条文は司法省の後身である最高裁判所事務総局によって完全に死文化された状態となっている。そもそも、前述の通り司法省自体は太平洋戦争終了後に廃止されたものの、それまで司法省から全ての裁判所と裁判官を支配・統制していた官僚たちの多くが事務総局へ移籍し、今度は最高裁判所の内部から全ての裁判所と裁判官を支配・統制する形になってしまった。このため、事務総局は「司法省の戦後の再編成版」[4]とも形容されるほどの強大な権力を有する司法行政の中枢機関となっており、日本国憲法第76条第3項の本来の条文は事務総局によって完全にその機能を奪われた状態が続いている。実際に事務総局での勤務経験もある元裁判官の瀬木比呂志によると、日本国憲法第76条第3項の実態は「すべて裁判官は、最高裁と事務総局に従属してその職権を行い、もっぱら組織の掟とガイドラインによって拘束される」であるという[5]。 最高裁判所事務総局は前記の通り司法省を母体として設立された機関であるため、同じく司法省を母体として設立された行政機関である法務省およびその付属機関である検察庁とは現在も親密な関係にあり、事務総局は法務省や検察庁との間で職員の人事交流さえ頻繁に行うなど、戦前の大日本帝国憲法の時代と変わらない形で司法と行政との癒着を積極的に進めていると批判されている。このような司法機関と行政機関との人事交流は、俗に「判検交流」と呼ばれている。このように最高裁判所事務総局と法務省が事実上一体化しており、後述の通り全ての裁判官の人事権を独占している事務総局が全面的に検察の味方をしている現状にあっては、日本の裁判官たちが刑事裁判において無罪判決を出すことは極めて困難であるため、日本の刑事裁判は有罪判決が全体の99.9%以上を占め、その中には明らかな冤罪判決も多数含まれていると批判されている[注 1]。
大日本帝国憲法下での司法行政権
日本国憲法下での司法行政権
概要
最高裁判所規則の制定
法律の制定と改正
最高裁に法案を提出する権限はなく、必要があれば法務省を経て内閣が提出する。
裁判官や裁判官職員の人事
裁判所の予算
裁判所全体の予算編成は最高裁が行い、財務省と折衝する。
裁判所の問題点を討議する裁判官合同や協議会の主催
問題点と課題