司法書士法人
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司法書士
英名 Judicial scrivener
[1][2]
Shiho-shoshi (Solicitor) [3][4]
実施国 日本
資格種類国家資格
分野法律
試験形式筆記試験、口述試験
認定団体法務省
認定開始年月日1978年(国家試験制度導入)[5]
等級・称号司法書士
根拠法令司法書士法
公式サイト

司法書士法

日本司法書士会連合会司法書士試験
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ウィキポータル 資格
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司法書士(しほうしょし)とは、専門的な法律の知識に基づき、登記供託訴訟その他の法律事務専門家として、国民の権利を擁護し、自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする国家資格である[6]。また、法務大臣から認定を受けて簡易裁判所における民事訴訟などにおいて当事者を代理する業務も行う[7]

職務上請求を行うことができる八士業の一つである[8]
概要

司法書士は、司法書士法の規定に基づき登記[注釈 1]および供託の代理、裁判所検察庁法務局公証役場に提出する書類の作成提出、財産管理業務[注釈 2]、経営管理業務、その他の法律事務を業として行う[9][注釈 3]。戦前は、裁判所(区裁判所など)が登記所としての職務も行っていたことから、登記を含む裁判書類作成提出業務がメインであった。しかし、戦後は法務局が、登記所と供託所としての機能を持つようにななったため、登記手続の代理および裁判書類作成提出業務が主な業務となった。

司法制度改革に伴い2002年に誕生した「認定司法書士」は、上記の業務に加えて、簡易裁判所にて取り扱うことができる140万円までの民事訴訟訴え提起前の和解支払督促証拠保全民事保全民事調停少額訴訟債権執行裁判外の和解仲裁筆界特定についても代理できる[13]。司法書士は全国各地の登記所において業務を行うという特性から簡易裁判所の99.0%をカバーしており、地方でもアクセスしやすい専門家であることが期待されている[14][15]
歴史

1872年(明治5年) - 司法職務定制 : 代書人制度の誕生[16]

初代司法卿江藤新平が推進した司法制度整備により太政官無号達で司法職務定制が定められる。『各区代書人ヲ置キ各人民ノ訴状ヲ調成シテ其詞訟ノ遺漏無カラシム』第10章の「証書人代書人代言人職制」の中に法制度を支える基本的な職能が定められた。証書人は現在の公証人、代書人は現在の司法書士、代言人は現在の弁護士である。


1886年(明治19年8月13日) - 法律第1号「登記法」(明治20年2月1日施行)が憲法・民法よりも早く制定される[17]。司法書士の中心業務となる不動産登記や商業登記の元となる法律である。

1890年(明治23年) - 大日本帝国憲法施行

1919年(大正8年) - 司法代書人法制定 : 司法職務定制での「代書人」が司法代書人として法定化され、既に行政代書を行っていた一般の代書人との違いを法的に追認した[注釈 4]

1935年(昭和10年) - 旧司法書士法制定 : 「司法代書人」から「司法書士」に名称変更。

1947年(昭和22年) - 日本国憲法施行

1950年(昭和25年) - 新司法書士法制定 : 新憲法下で新たな司法書士法が成立[16]。官の全面的な監督権が廃止された。

1978年(昭和53年) - 司法書士制度の目的および司法書士の職責に関する規定を明確化。国家試験制度導入[16]

2002年(平成14年) - 司法制度改革において、簡裁訴訟代理等関係業務規定・司法書士法人規定・財産管理業務等が創設される。

2020年(令和2年) - 使命規定創設。司法書士一名による司法書士法人が設立可能となった。また懲戒権者が法務局長から法務大臣に変更された[18]

使命

2020年8月1日に司法書士法が改正され、司法書士法第1条に「司法書士は、この法律の定めるところによりその業務とする登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。」と使命規定が制定された[注釈 5]
資格・登録
司法書士となる資格

司法書士試験に合格した者
[19]

裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官もしくは検察事務官としてその職務に従事した期間が通算して十年以上になる者またはこれと同等以上の法律に関する知識および実務の経験を有する者であって、法務大臣が司法書士の業務を行うのに必要な知識および能力を有すると認めたもの[20]

それぞれのルートの資格取得の詳細は後述する。
欠格事由

次のいずれかに該当する者は、上記にかかわらず、司法書士となる資格を有しない[21]

禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなってから3年を経過しない者

未成年者

破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

公務員であって懲戒免職の処分を受け、その処分の日から3年を経過しない者

第47条の規定により業務の禁止の処分を受け、その処分の日から3年を経過しない者

懲戒処分により、公認会計士の登録を抹消され、または土地家屋調査士、弁理士、税理士もしくは行政書士の業務を禁止され、これらの処分の日から3年を経過しない者

成年被後見人または被保佐人欠格条項とする規定については、2019年6月14日に公布された「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」によって削除され、心身の故障等の状況を個別的、実質的に審査し、必要な能力の有無を判断することとなった。
登録

司法書士となる資格を有する者が司法書士となるには、日本司法書士会連合会の司法書士名簿に登録を受けなければならない[22]。2020年4月1日時点の登録者数は22,724名(うち女性4,067名。簡裁訴訟代理等関係業務認定司法書士数17,475名。)[23]、2020年6月1時点の設立司法書士法人数は750法人[24]である。
認定司法書士制度

法務大臣の認定を受けた司法書士が、簡易裁判所管轄の民事事件等一定の事件を弁護士と同様に務めることができる制度であり、当該認定を受けた司法書士は通称「認定司法書士」と呼び習わされている[注釈 6]。なお、法務大臣の認定を受けるためには下記の条件を満たさなければならない。

日本司法書士会連合会が実施する研修であって法務大臣が指定するものの課程(特別研修)を修了すること[25][26][注釈 7]

この研修を修了した者の申請に基づき法務大臣により簡裁訴訟代理等関係業務を行うのに必要な能力を有するとの認定を受けること[27]

監督

司法書士や司法書士法人に対する懲戒は、法務大臣が行う[28]
業務

司法書士の業務内容は、以下の通りである[29]
本来的業務

登記または供託に関する手続についての代理[30][注釈 8][注釈 9]
例えば、不動産登記商業登記法人登記船舶登記債権譲渡登記動産譲渡登記など。

法務局または地方法務局に提出し、または提供する書類の作成[31]
例えば、登記・供託手続や確定日付付与等の法務局手続に関する各申請書およびこれらに添付・提供が予定されて作成される書類(売買契約書、各種議事録、定款等[32])や不動産登記規則に基づく法定相続証明情報の申出手続代理および書類作成[注釈 10]、自筆証書遺言書保管制度での各種申請書[33] 、帰化申請手続書類、人権救済手続の申出関係書類、実質的支配者情報一覧の保管等の申出代理及び書類作成、相続土地国庫帰属承認申請書類[34]、登記事項証明書の交付請求手続請求書[35]など。

法務局または地方法務局の長に対する登記または供託に関する審査請求の手続の代理[36]

裁判所もしくは検察庁に提出する書類または筆界特定の手続において法務局もしくは地方法務局に提出しもしくは提供する書類の作成[37]
例えば、訴状、答弁書、各種審判申立書等の申立書類からこれらに添付を予定して作成される書類またはこれらの官庁に提出を予定して作成する各種書類など[32][注釈 11]。また、法務局裁判所以外の機関でもこれらに準じる機関(例えば検察審査会やADR機関など)への提出する書類の作成も業務範囲に含まれる[38]

上記に関する事務に関し相談に応ずること[39]

作成された書類の法務局・裁判所等関係各所への提出代行[注釈 12]

これらの業務は資格者以外は原則的に行うことができない独占業務である[40]
附帯業務

附帯業務は法令等に基づきすべての司法書士が行うことができるものと考えられている[注釈 13]。また附帯業務の解釈について他の法律で規制されないものである限り,司法書士の専門性や経験等に照らして司法書士が担うのにふさわしい業務であれば幅広く附帯業務とすることを認めるべきであるし,そのような観点から法務省令の規定も解釈されるべきであるとされている[注釈 14]

当事者その他関係人の依頼または官公署の委嘱により、管財人管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理もしくは処分を行う業務またはこれらの業務を行う者を代理し、もしくは補助する業務[41]

当事者その他関係人の依頼または官公署の委嘱により、後見人保佐人補助人監督委員その他これらに類する地位に就き、他人の法律行為について、代理、同意もしくは取消しを行う業務またはこれらの業務を行う者を監督する業務[42]

司法書士または司法書士法人の業務に関連する講演会の開催、出版物の刊行その他の教育および普及の業務[43]

競争の導入による公共サービスの改革に関する法律 (平成十八年法律第五十一号)第三十三条の二第一項 に規定する特定業務[44]

通常の司法書士業務に附帯し、または密接に関連する業務[45]

いわゆる成年後見人相続財産清算人不在者財産管理人、遺言執行者等の財産管理業務[46]や公正証書遺言の証人立会、公正証書の嘱託代理などの業務の根拠規定である。
認定業務(簡裁訴訟代理等関係業務)

認定司法書士は次の業務を行うことができる[47]。ただし、原則として訴訟物の価額が140万円[48]を超えないものに限る[49]


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