司政官シリーズ
[Wikipedia|▼Menu]
.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ポータル 文学

『司政官シリーズ』(しせいかんシリーズ)は、眉村卓によるSF小説のシリーズで、眉村の代表作。最初の短編「炎と花びら」が1971年に発表されて以降、『引き潮のとき』まで、中短編7作、長編2作が書かれている。

眉村が唱え、自らの創作原理としている「インサイダー文学論」の集大成といえる作品群である。
概要

作品の舞台は、地球人類が宇宙へ進出し、数多くの惑星へ植民している時代である。「司政官」とは、そうした惑星を征服し、軍政を布いてきた「連邦軍」に代わって、「連邦経営機構」が惑星統治のために派遣する官僚である。司政官は厳しい選別と訓練課程を経て、統治技術と使命感を身に着けたエリート官僚であり、植民世界の発展と先住種族との融和を図るべく、植民惑星にただ一人赴任し、ロボット官僚群を駆使して統治に当たる。

『司政官シリーズ』は、矛盾もはらんだこの司政官制度の発足当初から、制度の形骸化・弱体化が進んだ時代までを年代記的に扱っている。各作品は、それぞれの時代・惑星における一人の司政官を主人公として、徹頭徹尾その司政官の視点から描かれている。

世界観や諸設定はアイザック・アシモフの『ファウンデーションシリーズ』および『トランター三部作』に大きく影響を受けている。特に『消滅の光輪』はトランター三部作の一作『宇宙気流』からプロットを借用しており、アシモフに捧げられている。
シリーズ作品

中短編7作と『消滅の光輪』『引き潮のとき』の長編2作が書かれている。いずれも『SFマガジン』(早川書房)に掲載された。
中短編

「炎と花びら」「遥かなる真昼」「遺跡の風」「限界のヤヌス」の4作は単行本『司政官』に収録された(
早川書房、1974年/ハヤカワ文庫JA、1975年/JDC(単行本)、1992年)

「照り返しの丘」「扉のひらくとき」「長い暁」の3作は単行本『長い暁』に収録された(早川書房、1980年/ハヤカワ文庫JA、1982年)

のち、これら7作を作中の年代順に配列して1冊にまとめた『司政官 全短編』が刊行された(創元SF文庫、2008年)

炎と花びら

それまで軍政下にあり原住民サルルニアが虐げられていた惑星サルルニンに赴任したクロベ・PPK・タイジは、野生のサルルニア自立体とテレパシーでの接触を偶然体験し、その知性と誇り高さに感銘を受ける。彼はその自立体と交流を深めるうちに、奇妙な感情を抱くようになる。

掲載:1971年10月臨時増刊号

舞台

惑星:第九二五星系サルルニン。浅い湖がいたるところにあるが海は無く、地表は大半が湿原となっている。K型太陽の電磁波による影響で独自の進化を遂げた奇妙な植物が大繁茂しており、動物は存在しない。秋の初めに数日間強い季節風が吹く。地軸は約30度。

原住者:真正サルルニアおよび亜サルルニア。亜サルルニアの知能は犬か馬並み。根の役割も果たす十数本の脚で移動することができる植物。自立体は円筒形の形状で体長は1?1.50m。ゼリー状の視覚器官を持つ。また、光合成はおこなわず、頭頂部の孔から激しい呼吸をする。真正サルルニアは深緑の、亜サルルニアは黄色か茶色っぽいの茂みの元木を中心に農場を有するコロニーをつくって生活し、他のコロニーの構成員と縄張りを巡って争うこともある。コロニー間には本家・分家の格式や何段階もの支配機構がある。サルルニアは頭頂部の呼吸のための孔から水蒸気を噴出しての発音で交信するが、これは他のコロニーの構成員との間で使われる方法であって、同じコロニーの構成員同士とはテレパシーを使って交信できる。コロニーで1シーズン過ごした自立体は元木に結合して開花し、直径2?3mの巨大な花となって秋の季節風に乗って飛翔する。そして、着地した花に精虫が入りこんで受精し、幼生体が誕生する。幼生体は元いたコロニーの元木を目指して下等植物を食べながら旅をする。乾燥期が来るまでに元木にたどり着けなかった幼生体は精虫に変化してしまう。コロニーに帰着した幼生体は、コロニー全体の記憶バンクの役割を持つ元木に2、3シーズン結合して知識を蓄え、感覚を磨きながら成長し、やがて元木から分離して自立体となる。自立体となった後は、他の植物を摂取して生活し、元木は水分補給の基地として使用する。真正サルルニアが亜サルルニアと異なる点は、知能を喪失する開花の時期を自分の意志で何シーズンでも延期出来ることにある。このことにより、真正サルルニアはコロニーの知的レベルを上げることに成功している。

植民者:不在

統治方式:第三段階B型 - 当該惑星を可能な限り本来の姿に復元し、司政官の干渉は最小限にとどめる。

司政官制度発足からの経過年数:10年前後。


遥かなる真昼

オキ・PPK・ナスカは連邦から原住者・ネネギアの文明化を指令されていた。しかし、彼は陰気な惑星であるネネギンも、そこに住むネネギアや植民者たちのことも憎んでいた。彼はネネギアの最大集落であるピジャジャスタを訪問し、筆頭行政官・グゲンゲと会見する。グゲンゲは改革者であった。

掲載:1973年2月号

舞台

惑星:ネネギン。厚い雲に覆われ、常に雨が降りつづけ、闇に包まれている陰気な惑星。

原住者:ネネギア。泥の中を泳ぐほか、直立歩行も可能な両棲類が進化したような生物。身長は1m50cmほど。集落全体を柵や垣で囲い水門からしか集落に入れないようにしている。集落の中は水路が伸びており、付近に水門と柵で囲み、堆を有するネネギアたちの「家」があり家長が堆を占有している。集落には中央堆があり、それが行政機関が置かれている場所である。集落の構成員は筆頭行政官、上級行政官、中級行政官、一般行政官、大家長、中家長……最下層民、奴隷などの多くの身分に分かれ、身分によって役割が異なる。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:37 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef