右側に気をつけろ
Soigne ta droite
監督ジャン=リュック・ゴダール
脚本ジャン=リュック・ゴダール
出演者ジェーン・バーキン
ジャック・ヴィルレ
『右側に気をつけろ』(みぎがわにきをつけろ、原題:Soigne ta droite)は、1987年(昭和62年)製作・公開、ジャン=リュック・ゴダール監督によるフランス・スイス合作の長篇劇映画である。 ゴダールは本作を「俳優とキャメラと録音機のための17もしくは18景のファンタジー」[1]と呼び、映画館の外で町を観ても、空を見上げても、理解しようとは思わずにただ感じるだけなのと同じに観るべきだという旨の発言をしている[2]。 タイトルの『右側に気をつけろ』は、ボクシング用語[1]で、『ぼくの伯父さんの休暇』のジャック・タチ主演、ルネ・クレマン監督の短篇映画『左側に気をつけろ
概要
物語のメインストリームはゴダール本人が演じる「白痴公爵殿下」だが、ゴダールの『子どもたちはロシア風に遊ぶ』(1993年)でも同じ役柄を演じている。殿下が手にするフョードル・ドストエフスキー『白痴』の主人公ムイシュキン公爵からの引用である[1]。ロランス・マスリアとブリュノ・ヴォルコヴィッチが演じる「古典的な恋する男女」の会話は、ジャン・ラシーヌの戯曲『ベレニス』の台詞である[1]が、これは、ゴダールの『恋人のいる時間』(1964年)で、舞台俳優役のベルナール・ノエルとその恋人で人妻マーシャ・メリルが読み合わせするシーンにも登場する作品である。ミシェル・ガラブリュ演じる提督が乗客に朗誦させるのは、ロートレアモン伯爵の『マルドロールの歌』(1868年 - 1869年)である[1]。ジャン・ド・ラ・フォンテーヌの『寓話』(1668年)のなかの『蟻と蝉』も、ジェーン・バーキンが登場するくだりで引用されている[1]。
1987年(昭和62年)9月19日、カナダのトロントで行なわれたトロント国際映画祭で上映されている。同年9月25日 - 10月4日、東京で行なわれた第2回東京国際映画祭のインターナショナル・コンペティションに出品され[3]、かつて存在した東急文化会館内の渋谷パンテオンで上映された。1953年(昭和28年)の『ぼくの伯父さんの休暇』でジャック・タチが受賞したルイ・デリュック賞を、同年、ゴダールは本作で受賞した。
スタッフ
監督・脚本 : ジャン=リュック・ゴダール
撮影監督 : カロリーヌ・シャンプティエ
録音 : フランソワ・ミュジー、ベルナール・ルルー、マルク=アントワーヌ・ベルダン
編集 : ジャン=リュック・ゴダール、クリスティーヌ・ブノワ
音楽 : レ・リタ・ミツコ
製作主任 : エルヴェ・デュアメル
製作 : ゴーモン、JLGフィルム、ザナドゥ・フィルム、ラジオ・テレヴィジオン・スイス・ロマンド(RTSR)