可愛い
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「めんこい」はこの項目へ転送されています。テレビ局については「岩手めんこいテレビ」をご覧ください。

「かわいい」はこの項目へ転送されています。「かわいい」と感じる信号刺激(=鍵刺激)については「かわいさ」を、AVメーカーについては「kawaii*」を、ファッション雑誌については「Cawaii!」を、藤原さくらの楽曲については「「かわいい」」をご覧ください。
赤ちゃんのいたいけな形態や行動が示す"守られ""愛される"べき特徴(あるいはサイン)は、ヒトが具える本能と切っても切り離せない関係にあるが、「かわいい」という概念も密接に関係している。
また、それらはヒトという生物種に限らず、他の動物の幼体に対しても同様であることが珍しくない。

可愛い(かわいい)は、日本語形容詞で、いじらしさ、愛らしさ、趣き深さなど、何らかの意味で「愛すべし、愛嬌がある」と感じられる場合に用いられる。また、「かわいそう」と関連するという考え方もある。派生語にはやや意味を強めた「可愛らしい」、動詞の「可愛がる」がある[1]

同義の古語は「うつくし(愛し)」(例:「うつくしきもの」〈『枕草子』〉)である。現代語の「かわいい」に該当する古語の「かはゆし(かわゆし)」は、「いたわしい」など相手の不幸に同情する気持ちを指す。

「可愛い」と同義の方言語彙は、東北方言北海道方言の「めんこい」や「めごい」(津軽弁など)がある。これらの語は古語の「めぐし(愛し)」から派生した。「めぐし」には、「いたわしい」と、現代語の「可愛い」の両方の意がある。
語源とその変遷

「かほはゆし(顔映ゆし)」が短縮された形で「かはゆし」の語が成立し、口語では「かわゆい」となり、「かわゆい」がさらに「かわいい」に変化した。

「かほはゆし」「かはゆし」は元来、「相手がまばゆいほどに(地位などで)優れていて、向けしにくい」という感覚で「気恥ずかしい」の意であり、それが転じて、「かはゆし」の「正視しにくいが放置しておけない」の感覚から、先述の「いたわしい」「気の毒だ」の意に転じ、不憫な相手を気遣っていたわる感覚から、さらに「かはゆし」(「かわゆい」「かわいい」)は、現代日本語で一般的な「愛らしい」の意に転じた。

「かわいい」の漢字送り仮名による表記の「可愛い」は、当て字との説もあるが、中国から伝来した文学等の文書に見られる、「愛らしい」の意の語「可愛(可?)」に由来するとも思われる[要出典]。この語は現代中国語普通話で「クゥーァアィ(普通話?音:k?'ai〈日本語音写例:クゥーァアィ、クゥーアィ〉)」という音形を持つため、日本語「かわいい」と音も近似する(cf. #可愛)。現代中国語でも「愛らしい」の意では一般に使用される。

形容詞に「?そう」をつけることで、推定を表す単語にすることが可能だが、「かわいい」の場合、「かわいそう」となり「哀れみ」などの意味にもとれることになり、話者の意図に合わない。そこで、最近では、「かわいい」の語源である「かわゆい」に「?そう」をつけた形である「かわゆそう」という表現が適切だという見解もみられる。
意味

「可愛い」は幼いもの、小さいもの、愛嬌のある外観をもつ様子に対する情愛や愛着などを表現する意味合いが強い。そのため、恋人などを「かわゆく」思う場合は別として成人に使う場合は失礼とされていた。

「可愛い」の感情が内部から沸き出る主たるものが、生物の幼体に対する肯定的な感情の動きである。柔らかみを感じさせ、他者に対し攻撃・威圧的な印象を持たせない、丸みを帯びた曲線的な体の輪郭、大きな目とふっくらとした頬、見たものの保護感情をくすぐる小さな体躯と、発達の未熟さからくる不器用でたどたどしい身振りは可愛さの要素として不可欠なものである。さらにそこにはそれだけに留まらない生命力の発露を十分に感じさせる感情の躍動感も同時に必須となる。だから、動きもままならない生後間もない時期より、赤ちゃん自身の躍動をより肯定的な感情で表現できる笑いが豊かな時期の方がより望ましい。

さらに、上記の特徴を満たしている場合ならば、2次元的・抽象的絵画イラスト類に対してもこの感情の働きが起きる。

赤ちゃんの様子を見た時の内部の肯定的な感情が可愛いの実体であり、それを喚起させるものを「可愛い」と呼んで肯定的な価値を与えている。

しかし、現代においては、主に若年層が人物に対して「かわいい」と表現する場合、対象者の年齢社会地位などに対する敬意表現はほとんど考慮されず、目上の高齢者成人男性、場合によっては、神仏天皇に対して使用される例も散見される[2][3]。これは「愛すべき」対象の適用範囲が、単なる外見にとどまらず性格イメージに関してまで広がったことにより、対象に対して敵意を抱く要素や威圧的な要素がなく、自身の心を和ませる美点を持つと判断された場合に使われるようになったことによる。

また、客観的な優位者に対する場合に留まらず、若年層の女性が憧憬の念を含めて、自身の価値観に基づいて自身より優れていると認識した人物に対して使用する例もしばしば見られる。特にその人の社会的地位や役割からして自分と距離があっても仕方ないと感じている相手の距離感が近かったり、一時的に縮まった場合に「かわいい」と感じられやすい(例:気さくに話しかけてくれる校長先生や、普段とても冷静で落ち着いた上級生が恋に悩んでおろおろしていたりするのを見たとき)。そこには言葉の意味の変化にとどまらず、現代日本の若者の感情規範に変化があったものと推測される[2][* 2]

認知心理生理学の入戸野宏は「可愛い」を対象が持つ属性ではなく、ある対象にふれて生じる個人の感情と捉え、生物学的な基盤を持つ「可愛い」という感情と、文化的価値観としての「可愛い」からなる二層モデルを提案した。入戸野は「可愛い」と幼さは直接の相関が無いこと、「可愛い」という感情は対象に接近して社会的な関係を持とうとする動機と関連していることを実験によって示唆した[5]
意味の転用

現代では、人間や生物の特徴を持たない人工物などに対しても「可愛い」と認識・評価する場合がある。例えば、輸入雑貨店の洗濯ばさみも「可愛い」対象になりえる。感性工学の大倉典子は「かわいい」と評価される人工物の持つ属性の傾向を以下のように挙げている[6]


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