古細菌
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古細菌
Halobacterium sp. NRC-1
地質時代
太古代先カンブリア代) - 現代
分類

ドメイン:古細菌 Archaea

学名
Archaea Woese et al., 1990[1]
下位分類([注 2]


"ユーリ古細菌界"

ユーリ古細菌


"プロテオ古細菌界"

TACK上門[注 1]

クレン古細菌

タウム古細菌

コル古細菌

バテュ古細菌


アスガルド古細菌上門

ロキ古細菌

ヘイムダル古細菌

トール古細菌門

オーディン古細菌門



DPANN上門

ナノ古細菌

ナノ好塩古細菌

パルウ古細菌

ディアペロトリテス門

アエニグム古細菌門

(詳細は#系統概観を参照)

古細菌(こさいきん) または アーキア(: archaea、アルカエア[4]、単数形: : archaeum、archaeon)は、生物の主要な系統の一つである。細菌(バクテリア)、真核生物(ユーカリオタ)と共に全生物界を3分している。古細菌は形態や名称こそ細菌と類似するが、細菌とは異なる系統である。高度好塩菌メタン菌好熱菌などが良く知られている。

日本語では「古細菌」または「アーキア」が呼称されることが多い。「始原菌(しげんきん)」[5][6]も使われる。「古細菌」という名称は、「菌」および「細菌」を名前に含むが、菌類(真菌)や細菌(真正細菌)とは異なる。
概要

地球上の全ての生物は、細菌、古細菌、真核生物の3つのドメインのいずれかに分類される。細菌と古細菌は合わせて原核生物とも呼ばれ、真核生物と対比される。ドメインによる分類は、リボソームRNA配列などを用いた分子系統解析を基にしており、ドメイン内では基本的な遺伝の仕組みや生化学的性質に共通性が見られる。例えば、植物動物は見た目は大きく異なるが、細胞レベルで見るとDNA複製のメカニズムや細胞膜の主成分などは共通性が高い。ドメインが異なる生物同士は、分子レベルでこれら生命を維持する機構が異なっている(古細菌#他ドメインとの違いを参照)。細菌、古細菌、真核生物の関係。

初期の地球上には古細菌と細菌の2ドメインしか存在せず、真核生物は古細菌(特にアスガルド古細菌)から遅れて進化したとする説が現在有力である(古細菌#古細菌の起源と系統的位置を参照)。古細菌と細菌では、細胞膜や細胞壁の構成、DNA複製機構など様々な点で相違がある(古細菌#細胞の形態・構造などを参照)。

古細菌ドメインは、ユーリ古細菌、TACK群(クレン古細菌タウム古細菌など)、アスガルド古細菌DPANN群に大きく分けられている。タウム古細菌以外はヒトから見れば極端な環境に生息しており、極限環境微生物とも呼ばれる(古細菌#生息環境を参照)。ヒトに身近なのは腸内常在微生物叢の一部を占め、嫌気性の沼などにもいるメタン菌や、窒素循環に関連する亜硝酸古細菌程度(タウム古細菌に含まれる)である。これ以外にも様々な生物が含まれるとみられるが、多くは未培養であり、古細菌の全容は解明されていない。2018年時点で正式に記載されている古細菌は約550種である。
古細菌の分類

古細菌の種から綱までの命名は国際原核生物命名規約に基づいて行われており、基本的な分類方法は細菌と共通している。原核生物は形態の変化に乏しく無性的に増殖するため、動植物でいう種の基準が適用できず、分類は16S rRNA系統解析DNA-DNA分子交雑法、ゲノム構造に基づく平均ヌクレオチド一致度(ANI)といった分子技法が主に用いられる。記載種を含む系統にはクレン古細菌タウム古細菌ユーリ古細菌があるが、DPANN群など多くの未培養系統が存在している。
系統概観古細菌内部の系統樹の一例[7]"Ca. Korarchaeum cryptofilum"(コル古細菌)の電子顕微鏡写真。"Ca. Parvarchaeum acidiphilum"(パルウ古細菌)の電子顕微鏡写真。

分類はNCBIによる。門、綱における太字は記載種を含む系統を表す。各系統の概略もリストの下に記す。

ユーリ古細菌界 / Euryarchaeota

ユーリ古細菌門 / Euryarchaeota

テルモコックス綱 / Thermococci

メタノマダ / Methanomada(クラスI メタン菌)

メタノバクテリウム綱 / Methanobacteria

メタノコックス綱 / Methanococci

メタノピュルス綱 / Methanopyri

アルカエオグロブス綱 / Archaeoglobi

テルモプラズマ綱 / Thermoplasmata


ステノス古細菌 / Stenosarchaea

メタノミクロビウム綱 / Methanomicrobia(クラスII メタン菌)

メタノナトロナルカエウム綱 / Methanonatronarchaeia

ハロバクテリウム綱 / Halobacteria



プロテオ古細菌界 / Proteoarchaeota

TACK群 / TACK superphylum

クレン古細菌門 / Crenarchaeota

テルモプロテウス綱 / Thermoplotei


タウム古細菌門 / Thaumarchaeota

ニトロソスパエラ綱 / Nitrososphaeria

コネクシウィスパエラ綱 / Conexivisphaeria


アイグ古細菌門 / Aigarchaeota

コル古細菌門 / Korarchaeota

バテュ古細菌門 / Bathyarchaeota

ジオ古細菌門 / Geoarchaeota

ジオサーム古細菌門 / Geothermarchaeota

マーズ古細菌門 / Marsarchaeota

ヴェルストレート古細菌門 / Verstraetearchaeota


アスガルド古細菌 / Asgardarchaeota

ロキ古細菌門 / Lokiarchaeota

ヘイムダル古細菌門 / Heimdalarchaeota

オーディン古細菌門 / Odinarchaeota

トール古細菌門 / Torarchaeota

ヘル古細菌門 / Helarchaeota

ゲルド古細菌門 / Gerdarchaeota

フレイヤ古細菌門 / Frejaarchaeota

ゲフィオン古細菌門 / Gefjonarchaeota

フリッグ古細菌門 / Friggarchaeota

イズン古細菌門 / Idunarchaeota

カーリ古細菌門 / Kariarchaeota

バルドル古細菌門 / Balderarchaeota

ヘーダア古細菌門 / Hoderarchaeota

ラグ古細菌門 / Lagarchaeota

シフ古細菌門 / Sifarchaeota

ブロック古細菌門 / Brockarchaeota

ホッド古細菌門 / Hodarchaeota

ウーコン古細菌門 / Wukongarchaeota


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