古書
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古本

古本(ふるほん)または古書(こしょ)とは、出版後に一度は消費者(所有者)の手元に置かれた中古の呼称。雑誌などを含む場合もある。新本(新刊本)と対応した言葉。古書店(古本屋)やインターネット売買を通じて再度流通することが多い。詳細は「古書店」を参照

売れ残るなどして新刊なのに安価で販売される本をゾッキ本(バーゲンブック、自由価格本とも)という。ゾッキ本は「新古本」と呼ばれることもあるが、それと類似した表現で、比較的近年に刊行された本の中古を販売する店を新古書店と分類することもある。詳細は「新古書店」を参照
概要京都・下鴨神社での夏の古本市

は出版された時代の文化の影響を強く記すものであり、歴史的な価値を持つ。絶版になったままの本や、後世に覆刻されても古い版本に骨董文化遺産としての、新刊にはない魅力・価値を見出して、探し求める愛好家は珍しくない。特に、江戸時代およびそれ以前に出版・書写された文献資料、清朝およびそれ以前に出版・書写された漢籍(及び、同時代の韓本)、日本の古代から近代に至る一次資料文書書簡原稿拓本等)などは古典籍と称され[1][2]近世以前に著された和装本の一部は国宝文化財に指定されている。文学館や美術館博物館図書館などが購入あるいは寄贈を受け付けて、厳重に保管している稀覯書・希少本も多い。

そうした希少価値がなくても、「中古でいいから本を安く買いたい」という消費者も多く、古書の需要流通を支えている。

多くの古本は、所有者が古本屋(古書店)に持ち込み、売却することで再び市場に流通する。業者を経由せず、個人がフリーマーケットインターネットオークションで他の消費者に直接販売する事例も見受けられる。新刊時の販売価格を大幅に下回る価格で買い取られるのが一般的だが、極端に流通が少なく需要が多い書籍(希少本・レア本)は、新刊時の販売価格を上回ることもある。流通に乗った古本は、買い取った古本屋でネット販売(「日本の古本屋」など)も含め販売されるほか、業者間の市(交換会や入札会と呼ばれる)に出され流通する。店頭での販売価格は各古本屋が、需給関係や本のコンディション(日焼け、汚れ、書込み等)から決定するため、まったく同じ古本でも、店によって価格が異なる。そのために「せどり」という商売が成立する。ネットの普及で「どこにどんな古本があるか」や相場を調べたり、売買したりが容易になり、古本を巡る状況は大きく変わっている。

近年の中国では、1911年以前の書籍は一律輸出禁止(文物局規定)とされており、日本で制作され流出した和装本などをはじめとする海外から流入した古書であっても持ち出せない制約が設けられている。
古本の価値・価格

コンディションが良好な方が価格が高いことが一般的だが、それ以外にも、古本の値段や価値を左右する要因は多い。新刊時の出荷部数や重版の回数、電子書籍化を含む復刊や著作権保護期間切れによるデジタル公開の有無、著作権保護期間中でも国立国会図書館の「個人向けデジタル化資料送信サービス」での公開[3]、本の内容が流行や実務的な需要(法律などの制度やビジネス知識)に合っているかどうか??などである。装丁が凝っていたり、古風(レトロ)だったりする本や初版、著者の署名入り(特に知人・著名人宛ての場合)、有名人の蔵書印が捺してある場合などは付加価値とみなされ、価格が上乗せされることもある。戦前戦後すぐの刊行で、有名書籍で保存状態が良好であれば、初版の方が高価なこともある。

同じ中身の本であっても、古本の価格は時期や店により変わる。ある古書店が高く販売している本が、別の店では店頭に置かれたワゴンや書棚で100円、10円といった廉価で販売されていたことは昭和期にもあった(せどりは、こうした価格差を活用したビジネスである)。

また高額な絶版本が文庫化や復刊、新装版や完全版の刊行、電子書籍化などにより、古本価格が一気に安くなることもある。ネット販売普及後、古本の購入を検討する人は価格の検索・比較がしやすくなったため、低価格競争の結果、需要が少ないまたは供給が多い本は値下がりする傾向にある。Amazon.co.jpでは1円で売られている本もある。

一方、かつては読み捨てられていたような本が高騰することもある。昭和中期?後期に刊行された貸本時代の漫画や児童向け読み物、単行本に比べ保管されにくい一部の雑誌などがその例である。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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