古典電子半径
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古典電子半径
classical electron radius
記号re
値2.8179403205(13)×10?15 m
[1]
相対標準不確かさ4.7×10?10
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古典電子半径(こてんでんしはんけい、: classical electron radius)とは、ローレンツの電子論(ローレンツのでんしろん、: Lorentz's theory of electron)の中で論じられる古典的電子半径の事で、CODATAから発表される物理定数の1つである。その値は r e = e 2 4 π ε 0 m e c 2 = 2.817   940   3205 ( 13 ) × 10 − 15   m {\displaystyle {\begin{aligned}r_{\text{e}}&={\frac {e^{2}}{4\pi \varepsilon _{0}m_{\text{e}}c^{2}}}\\&=2.817~940~3205(13)\times 10^{-15}\ {\text{m}}\end{aligned}}}

と与えられる(2022 CODATA推奨値[1])。ここで e は電気素量、c は真空中の光速、me は電子の質量、ε0 は真空の誘電率である[2]
ローレンツの電子論

現在では電子について空間的な広がりの無い点電荷と見なして種々の物理現象を論じるが[3]1895年ヘンドリック・ローレンツによって提唱され、その後10年間以上にわたって論じられた古典的な電子論では、電子を表面上に一様に負の電荷を帯びた球体と見なして論じ、その時の球の半径を電子の半径としたので、現在ではこの値が古典電子半径と呼ばれている。
歴史的背景

1833年 - マイケル・ファラデーが、電気分解によって析出する物質の量がある一定の電気量に比例すると言う、いわゆるファラデーの法則を発見した。

1874年 - G. J. ストーニーが、物質1グラム原子単体1モル)に含まれる原子数がある一定の値(アボガドロ定数 NA )を取ると言うアボガドロの法則と前述のファラデーの法則とを考え合わせ、電気には素量が存在する事と、これを運ぶ粒子が存在する事とを予想し、電子と命名した。

1897年 - J. J. トムソンが、陰極から陽極へ向かう粒子線静電界及び静磁界の中での曲がりを測定し、その粒子の比電荷 .mw-parser-output .sfrac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .sfrac.tion,.mw-parser-output .sfrac .tion{display:inline-block;vertical-align:-0.5em;font-size:85%;text-align:center}.mw-parser-output .sfrac .num,.mw-parser-output .sfrac .den{display:block;line-height:1em;margin:0 0.1em}.mw-parser-output .sfrac .den{border-top:1px solid}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}e/me を求める事で電子の存在を確認した。

1906年 - ロバート・ミリカンが、1916年まで約10年間にわたって行なった自身の油滴実験によって、電気素量 e の存在とその値の精密な測定に成功し、それから電子の質量 me の値も知られる様になった。

以上の様な歴史的背景の中で、ローレンツは1895年頃に自身の電子論について提唱し、今もローレンツの電子論としてその名を残している。
電子の半径

ローレンツの電子論では、物質を電子と正の荷電粒子陽子に相当する)とからなる集合体と見なし、物質の熱的光学的電磁気的その他の諸性質を古典力学古典電磁気学とを適用して論じていた。この理論の中で、電子は表面上に一様に荷電分布した帯電球と見なされ、その静止エネルギー静電エネルギーとが等しいとして考察した際に、数式の中に出て来る球の半径が電子の半径として捉えられた。

電荷 q で半径 r の荷電粒子の静電エネルギーはクーロン定数を用いて

E = 1 4 π ε 0 q 2 r {\displaystyle E={\frac {1}{4\pi \varepsilon _{0}}}{\frac {q^{2}}{r}}}

で与えられるので、電子の電荷を e、半径を re とおくと、電子の静電エネルギーは

E = 1 4 π ε 0 e 2 r e {\displaystyle E={\frac {1}{4\pi \varepsilon _{0}}}{\frac {e^{2}}{r_{\text{e}}}}}


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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