『収集』(しゅうしゅう、原題:Collectors)は、アメリカの小説家レイモンド・カーヴァーの短編小説。 『エスクァイア』1975年8月号に掲載された。カーヴァーの最初の短編集である『頼むから静かにしてくれ』(マグロー・ヒル社、1976年3月9日[1])に収録。生前に出版された精選作品集『Where I'm Calling From: New and Selected Stories』(アトランティック・マンスリー・プレス、1988年5月)にも収録された。 カーヴァー全集第1巻『頼むから静かにしてくれ』の解題で村上は本作品について次のように述べている。「これは見事な出来の短篇だと思う。リアリズムでありながら、リアリズムではない。具象でありながら、具象ではない。その不思議な世界のバランスを破綻なく支えきっているのが、カーヴァーの文章の強靱さである」[2] 映画監督のロバート・アルトマンはカーヴァーの9つの短編と1編の詩をもとに『ショート・カッツ』(1993年)を作るが、本作品もその中のひとつに選ばれている。 翻訳は3種類存在する。 失業中の「僕」はソファーに横になって雨の音を聞いていた。誰かがポーチを上がりドアをノックした。オーブリー・ベルと申します、ミセス・スレーターにあるものをお持ちしたんです、懸賞に当選なすったんですよ、と男は言った。ミセス・スレーターはもうここには住んでないことを「僕」は伝えるが、結局オーブリー・ベルを家の中に入れる。 W・H・オーデンは初めて中国を訪れたとき、初めから終わりまでずっと室内履きを履いていたんですよ、うおのめのせいです、とオーブリー・ベルは言った。そしてケースから電気掃除機を取り出し、コンセントをみつけ動かし始めた。 リルケは成人してからはずっと、城から城へと移り住んでおりました。後援者たちがおったんですな、と彼は機械の唸りに負けないような大声で言った。それから緑の液体が5、6オンス入った瓶を持って台所に入り、その瓶を水道の水でいっぱいにした。コーヒー飲みますか、と「僕」は尋ねた。
概要
日本語版
村上春樹の訳。『THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER 1 頼むから静かにしてくれ』(中央公論社、1991年2月20日)が初出。12編の作品から成る『Carver's Dozen レイモンド・カーヴァー傑作選』(中央公論社、1994年12月7日)にも収録されている。
柴田元幸の訳。村上と柴田の共著『翻訳夜話』(文藝春秋、2000年10月20日)に、村上の翻訳と柴田の翻訳が原文と共にそれぞれ収録されている。柴田訳のタイトルは「集める人たち」。
青山南の訳。『エスクァイア日本版』1988年12月号が初出。青山が編纂した『世界は何回も消滅する』(筑摩書房、1990年6月27日)に収録されている。青山訳のタイトルは「集めるひと」。
あらすじ
脚注^ キャロル・スクレナカ 『レイモンド・カーヴァー 作家としての人生』中央公論新社、2013年7月、星野真理訳、436頁。
^ 『THE COMPLETE WORKS OF RAYMOND CARVER 1 頼むから静かにしてくれ』中央公論社、1991年2月20日、510-511頁。
表
話
編
歴
レイモンド・カーヴァー - Raymond Carver
短編集
でぶ - 隣人 - 人の考えつくこと - ダイエット騒動 - あなたお医者さま? - 父親 - サマー・スティールヘッド (夏にじます) - 60エーカー - アラスカに何があるというのか? - ナイト・スクール - 収集 - サン・フランシスコで何をするの? - 学生の妻 - 他人の身になってみること - ジェリーとモリーとサム - 嘘つき - 鴨 - こういうのはどう? - 自転車と筋肉と煙草 - 何か用かい? - 合図をしたら - 頼むから静かにしてくれ
愛について語るときに
我々の語ること
ダンスしないか? - ファインダー - ミスター・コーヒーとミスター修理屋 - ガゼボ - 私にはどんな小さなものも見えた - 菓子袋 - 風呂 - 出かけるって女たちに言ってくるよ - デニムのあとで - 足もとに流れる深い川 - 私の父が死んだ三番めの原因 - 深刻な話 - 静けさ - ある日常的力学 - 何もかもが彼にくっついていた - 愛について語るときに我々の語ること - もうひとつだけ
ファイアズ (炎)
父の肖像 - 書くことについて - ファイアズ (炎) - ジョン・ガードナー、教師としての作家 - 詩選 - 隔たり(何もかもが彼にくっついていた) - 嘘 - キャビン - ハリーの死 - 雉子 - みんなは何処に行ったのか? - 足もとに流れる深い川
大聖堂
羽根 - シェフの家 - 保存されたもの - コンパートメント - ささやかだけれど、役にたつこと - ビタミン - 注意深く - ぼくが電話をかけている場所 - 列車 - 熱 - 轡 - 大聖堂