反ユダヤ主義と新約聖書
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反ユダヤ主義と新約聖書(英:Antisemitism In The New Testament)は、ユダヤ人クリスチャンの関係を研究する分野で先駆者として知られるA・ロイ・エカード[1]の説。

反ユダヤ主義の根幹とショアの責任は究極的には新約聖書にあるとした[2]

エカードは反ユダヤ主義に効果的に対処するためには、クリスチャンの悔い改めはユダヤ人と新約聖書に対する基本的な神学的態度の再検討を含まなければならないと主張した[3]

一方でナチズム自体はキリスト教と関係がなく、ナチスに対して積極的に反対したクリスチャンも多かったということも歴史家たちのあいだでコンセンサスがとれている[4]

ジェームズ・ダンは新約聖書がクリスチャン・コミュニティーで発生した反ユダヤ主義の原因となったと述べた[5]
新約聖書とクリスチャンの反ユダヤ主義
新約聖書の具体例
ヨハネによる福音書

ヨハネによる福音書 (第四福音書) では ?ουδα?οι, つまり「ユダヤ人たち (the Jews) 」という単語は63回使われていて[6][7] 、そのうち31回は敵意をもって使用されおり[8]、ユダヤ人たちのグループの間で何の区別もされていない。例えば、他の福音書で顕著なサドカイ派も区別されない[9]。他の福音記者たちと異なり、イエスの死の責任をまとめて「ユダヤ人たち」に帰して[10]、イエスの敵は「ユダヤ人たち」とまとめて描写される。共観福音書では、イエスを処刑する計画は常に祭司と支配階級であるサドカイ派のなかの小さなグループによるものとして記述されている[7][11]。第四福音書はイエスの敵としてまとめて行動する「ユダヤ人たち」という誤ったイメージの主因であり、それが後にクリスチャンの固定観念となった[12]

記者はイエスに「救いはユダヤ人たちから来る」とサマリアの女に対して語らせている[9][13]一方で、ヨハネ7:1-9[14]で、イエスは「ユダヤ人たち」が彼を殺すチャンスを覗っていたので、ユダヤ地方を避け、ガリラヤ地方を巡っている。7:12-13[15]では、人々がイエスを肯定的にも否定的にも捉えているが、これらは全て「ささやき合い」であり、「ユダヤ人たちへの怖れ」から、誰も公には話さなかった。ユダヤ人たちによる拒絶は7:45-52,[16] 8:39-59,[17] 10:22-42,[18] や12:36-43[19] にも記録されている。ヨハネ12:42によると、多くの人々が信じたが、ファリサイ派によってシナゴーグから追放されるのを怖れて、それを秘密にした[20] 。十字架刑の後、20:19でイエスの弟子たちは、「ユダヤ人たちを怖れて」施錠した家に隠れている。複数の箇所で、第四福音書は「ユダヤ人たち」を闇と悪魔に関連付けている(8:37-39;[21] 44?47,[22] )。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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