反マスク
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東京の新宿駅前で反マスク、反ワクチンのデモをする人々 (2021年9月)

反マスク(はんマスク、英語: Anti-mask sentiment)とは、感染症の世界的流行の際、政府や民間施設が公衆衛生上の感染対策としてマスクの着用を求めることに反対すること、またはそういった人々(anti-masker)を指す[1]。また、それによりマスクを着用していない状態のことをノーマスクと呼び、あえて何の防御にもならないマスクを着用したり、口元に穴を空けたり、マスクから鼻を出すなどの方法で着用する人もいる[2][3]

新型コロナウイルス感染症COVID-19)の流行時、多くの国が感染の拡大を抑えるために、マスクの着用を推奨または義務化したが[4][5]、こうした動きに反発し、人にマスクを外すように呼びかけたり、公共の場で着用を拒否する動きが起きた[6][7]。マスクを拒否する理由は「個人の自由の侵害」「マスクの効果に懐疑的」「COVID-19の脅威が誇張されている」「マスクの人にうつさない・うつされないためにするという本質的な意味を理解していない、もしくは否定している」など様々である[1][8][9][10][11]。小売店から飛行機まで、さまざまな場所で発生したマスクの着用拒否は、暴言や暴力による対立に発展することもあり、逮捕・起訴される者もいた[12][13]。また、マスクの着用拒否は、反ワクチン陰謀論とも強く関係し、COVID-19の流行期間中に表面化した分断の象徴の一つとされている[8][14][15]
歴史1918年12月、スペイン風邪の大流行時にマスクを着用するシアトルの警察官

マスク着用の拒否は1918年のスペイン風邪の大流行の際にも起きている[16][17]。アメリカのサンフランシスコでは、公共の場におけるマスク着用が義務づけられ、着用を拒否した場合は「平和を乱す」罪として5ドルの罰金が課されていた[16][17]。しかし、数百人がこれに従わず、着用義務違反で逮捕される者もいた[16][17]。この時代のマスクは現在とは異なる構造で、ほとんどの者はガーゼをテープで留めて着用していた[18]。一部の男性はマスクを着用することは男らしくないと考え、一部の者は政府のマスク着用義務は、市民の自由の侵害であるとみなしていた[19]。「サンフランシスコの反マスク連盟」も参照

マスクは、呼気と吸気の両方の感染性ウイルスを制限し、COVID-19パンデミックにおける重要な感染対策として使われているが、その使用に関する意識や頻度は、過去の感染病の経験、COVID-19の脅威の認識、マスク使用をめぐる社会規範、文化の違いなどによって異なる[20][10]。多くの東アジア諸国では、マスクを着用する文化があり、その理由は呼吸器疾患の蔓延を防ぐ以外に、花粉排気ガス、寒さ、紫外線、乾燥から身を守るため、体調が悪い時のエチケットとして、欠点や化粧をしていない顔を隠すため、顔や表情を見られない安心感のためなど様々である[21][22][23][24]。東アジアの一部では、2002年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)でもマスクが街角の風景として定着し、COVID-19の流行時には、公衆衛生当局の勧告に先立って、公共の場で自発的にマスクを着用し始めた[23][20]。東アジアにおけるマスクは、「他者を守る(社会的行動)」という協力関係のシンボルとみなされ、その普及は、公衆衛生上の危機において、市民の責任とコミュニティの幸福を優先する、多くの東アジア社会の集団的社会規範によって強化された可能性がある[20][25]

欧米では、COVID-19の流行以前は人前でマスクを着用することに馴染みがない人が多く、当初は政府や保健機関の明確な指示がなかったため、マスク着用が拒否された[20][26]。欧米では、マスクを公共の場で着用することは、病気であるとみなされ、奇妙であり、過剰反応であると認識されることが少なくない[20][27][28][29]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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