双子
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「双子」はこの項目へ転送されています。その他の用法については「双子 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

映画については「双生児 (映画)」をご覧ください。
「慈悲」(Charity 1859年)、作:ウィリアム・ブーグロー

双生児(そうせいじ)は、同じ母親の胎内で同時期に発育して生まれた2人の子供である。所謂双子(ふたご)の事であり、多胎児の一種である。多胎児の中では最も件数が多い。受胎時の受精卵の数により、一卵性双生児(いちらんせいそうせいじ)と二卵性双生児(にらんせいそうせいじ)に大別される。

出産の時には数分程度の時間差で産まれることが多いが、中には数時間から数十日の間隔で生まれる場合もある(双子が一度の分娩で生まれるとは限らない)ので、誕生日・誕生年が異なってしまう兄弟姉妹もいる。

また日本では、かつて後から生まれた方を兄または姉、先に生まれた方を弟または妹として扱う慣習があったが、戸籍法上は生まれた順に記載する事となっている。

双子は多くの哺乳類(猫や羊、フェレットなど)で一般的に観察される出生形態の一つであるが、一般に犬猫の一腹の仔は双子等とは呼ばれず、単に兄弟として扱われる。ただし、類人猿(ヒト上科)の多胎妊娠および多胎出産は非常に珍しい[1]
双生児の卵性

一つの受精卵(卵子)が分裂(多胚化)して生れる一卵性双生児 (英: identical twins / monozygotic twins) と、何らかの原因によって二つの卵子が排出(多排卵)されそれぞれ別の精子と受精して生まれる二卵性双生児 (英: fraternal twins / dizygotic twins) がある。

2007年3月には、どちらにも分類し難い準一卵性双生児 (semi-identical twins) という双生児の例が研究者によって報告された[2]
一卵性双生児一卵性双生児(ワトソン姉妹)

受精卵の多胚化による一卵性双胎(多胎)妊娠は偶然の産物であり、一卵性双生児の出生は遺伝やホルモン分泌量などの外的要因に影響をほとんど受けない(ただし、生殖補助医療(不妊治療)の種類によっては一卵性の発生確率を上昇させることもある[3][4])。古来より人種に関わりなく、1000組(1000分娩)に4組の割合で一卵性双生児が誕生する[5]。ただし、下記の双生児の出生頻度に見られるように、多胚化の発生機序に何らかの遺伝的要素が関係する可能性も近年では指摘されている。また、肉用牛では卵分割技術を用いて一卵性双子を人為的に作出することもできる[6]

一卵性双生児は基本的に同じ遺伝情報(遺伝子型)を持っている。そのため、性別血液型等は基本的に(発生段階で変異がなければ)一致し、顔形もよく似ている。一般に一卵性双生児の身体能力や学力の類似性は高い。さらに成長に従って遺伝的規定性の強い因子の発現量が増大するため、双生児間の類似度が上昇する傾向がある[7]。しかし同一のDNAを持つ一卵性双生児であっても、DNA情報は個々人の獲得形質に直接的な影響を与えることはないため、身体能力なども(似ているが)個々人で異なり学校の得意科目やスポーツの得意・不得意が分かれることも多い。

遺伝子の同質性については、実際には受精胚は不均一な細胞量で分裂することが大半であり、僅かではあるが異なる遺伝情報を有する(ただし完全に同質な遺伝情報となる場合もある)[8]。また胎児期から双子の各々は独自の成長をするため脳の発達過程も異なり[9]、出生時には大脳皮質の形状も違うものとなっている。食物アレルギーの有無・種別・度合いなども、既に離乳期の時点で双子の各々で異なっている。

一緒に育った一卵性双生児(MZT)と離れて育った一卵性双生児(離別双子;MZA)の体重類似度を調べると、MZTの相関係数は0.87、MZAの相関係数は0.69であった。これは体重などの身体的特徴においては、環境要因が強い影響力を持つことを示すものである[10]。さらに双生児の成長に伴って遺伝子のメチル化などにより、個々の双子の絶対的な表現型の差は次第に広がるため、病気に対する抵抗力の差などは次第に大きくなっていく(下記双子研究参照)。

また指紋も遺伝以外の要因が大きいため、よく似た形状の指紋にはなるが同一のものとはならない[11]。よって、一卵性双生児の各々を生体認証(バイオメトリクス)で識別することもほとんどの場合で可能である。一般に遺伝情報に左右されないものとして、ほくろあざの位置、虹彩や静脈パターンなどがあり、静脈認証などを用いた個人認証はまったく問題なく可能である。またiPhone X等のFace IDは一般的に一卵性双生児の顔を識別できず、メーカーも認証について保証をしていないが[12]、高精度の顔認証システムならば一卵性双生児を識別することもできる[13]。しかし、双生児以外では最も確実と言われているDNA認証では一卵性双生児の各々を個人認証することができない。
ミラー・ツイン
一卵性双生児の中には利き手が左右に分かれていたり、つむじが右巻き・左巻きと対称になったりする場合がある。このような左右対称の特徴を多く持っている双子を、ミラー・ツイン(あるいはミラー・イメージ・ツイン)と呼ぶ。受精卵の分裂が受精9-12日以降で発生した場合、ミラー・ツインになると考えられている
[14]。外胚葉由来の形質に不一致が発生しやすいことが原因の一つと言われているが、確たる原因は判明していない[15]。ミラー・ツインの中には、様々な外的要因の累積によりごく稀に全臓器反転症、すなわち内臓位置の逆転(心臓が右にある 等)が生じる場合もある[16]。(ただし一卵性双生児で内臓逆位が生じる意味は、内臓逆位は遺伝要因や発生時点の変異ではないことを示すものであり、受精胚の発達過程で独立確率事象として発生したものと解釈される[17]。よってミラー・ツインとしての様態と考えるべきではない。)ミラー・ツインは単に顔などの外観が鏡像になっているだけではなく生物学的な相違点で示されることもあり、鏡像的に異なった人格の形成や生活嗜好・睡眠パターンなどにも鏡像的相違が見られる場合もある[18]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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