原田 泰(はらだ ゆたか、1950年9月1日[1] - )は、日本の経済学者、エコノミスト[2]、名古屋商科大学ビジネススクール教授。日本銀行政策委員会審議委員、早稲田大学政治経済学術院公共経営研究科教授、大和総研チーフエコノミストを歴任。経済学(学習院大学)博士[3]。研究分野は経済政策[4]。
岩田規久男とともに[3]、「リフレ派」の一人とされる[5][6]。バブル崩壊直後より一貫して日本銀行の金融政策を批判していた[7]。
来歴
1950年、東京都生まれ[1]。
学歴
1974年 東京大学農学部農業経済学専攻卒業[8]
1979年 ハワイ大学マノア校校経済学研究科修士課程修了(経済学修士)(イースト・ウエスト・センター)[8]
2012年6月 経済学博士(学習院大学(乙第154号)、学位請求論文『昭和恐慌における金融政策の役割』)[9]
職歴
1974年 経済企画庁入庁ハワイ大学大学院留学、外務省出向(在タイ大使館一等書記官[10])などを経て、同庁で国民生活調査課長、海外調査課長、財務省財務総合政策研究所次長[11]等を歴任。主な上司に加藤雅がおり経済白書の執筆にも携わる。
2004年3月31日 内閣府退官、大和総研就職。2004年4月1日 チーフエコノミスト2008年4月1日 常務理事チーフエコノミスト2010年4月1日 専務理事チーフエコノミスト2011年4月1日 顧問
2011年 東京財団上席研究員(客員)
2012年3月31日 同社退社、早稲田大学政治経済学術院特任教授
2015年3月26日 同大学退職、日本銀行政策委員会審議委員
2020年3月25日 日本銀行政策委員会審議委員を任期満了に伴い退任
受賞
2004年 第47回日経・経済図書文化賞受賞(『昭和恐慌の研究』(岩田規久男、中澤正彦他との共著)、東洋経済新報社、2004年による)
2008年 石橋湛山賞を受賞する[12]。
公益活動
内閣府経済社会総合研究所『経済分析』編集委員、編集評議委員
政策分析ネットワーク『政策分析』共同編集長
政策分析ネットワーク共同代表
内閣府経済社会総合研究所「バブルの発生・崩壊からデフレ克服までの日本経済とマクロ経済政策に関する研究会」分科会委員
政策分析ネットワーク賞選考委員
行政刷新会議分科会(ワーキンググループ)事業仕分け(評価者)
内閣府男女共同参画会議専門委員
など 金融政策によって過度な円高・デフレを防ぎ、日本の経済を成長させる重要であるとしている[5]。 日本の雇用・賃金について「重要なのは、増税と金融引き締めのショックを無用に与えないことと、誤った格差対策をとらないことである。格差は構造改革のせいという意見があるが、証拠がない。稼いでいる人の足を引っ張るのではなく、頑張ってもうまくいかなかった人を助けるのがあるべき格差対策である」「(2007年の)日本経済が良い要因は雇用の拡大にある。雇用が増えたのは賃金上昇を抑えたからである。賃金が上がらずに雇用が増えたのはジレンマだが、仕方がない。賃金を上げれば、失業率が高かった元に戻ってしまう。2002年までの『失われた10年』の間は、景気が悪いのに賃金が上がり続けた」と述べている[18]。 若者の格差拡大は景気低迷によるものであり、景気が回復すれば格差は縮小すると主張している[19]。2009年の時点で高齢者への社会保障支出を削減し、若者負担の軽減を主張している[20]。 消費税と社会保障について「日本の財政状況は異常であり、財政赤字を削減する必要がある。そのためにも、高齢者1人当たりの社会保障支出を抑制することは避けられない。それを怠った先に待っているのは、とんでもない大増税である[21]」「財政赤字を消費増税によって賄おうという議論はいいが、増税分を社会保障に回すとの考えは根本的に間違っている[22]」「消費税増税で物価が上昇するとき、年金や医療など社会保障給付を物価スライドさせれば、税収が増える一方で歳出も増える。消費税増税分の物価スライドを実施したのでは、必要になる消費税率の引上げ幅がますます大きくなってしまう。社会保障給付について消費税増税分の物価スライドを行わず、実質給付を引き下げる必要がある[23]」と述べている。 経済学の原理から、バラマキ政策は正しいとする一方で、国が景気対策をする場合公共事業をやるよりも給付金を配った方がよいとしている[24]。公共事業について「公共事業はお金がかかり過ぎるし、鉄とかコンクリートにしかならない」と述べている[25]。 環境問題について「CO2をどうしても減らす必要があるなら、日本で減らさなくても、地球全体で減らせばよい。日本のまわりには中国やロシアのようにエネルギー効率が悪くてCO2を大量に排出している国がある。これらの国に技術援助してCO2排出量を減らせば、地球全体では低いコストでCO2を減らせる」と述べている[26]。 原子力発電所について「原発を推進してきた経済産業省は、原子力は他の発電方法に比べて安価なのではなくて、同等だと言っている。しかも、福島での事故が起きた後ではなくて、従来からそうだったと言っている。さらに、コスト計算に廃炉や使用済み核燃料の処理コスト、原発立地促進のために地元自治体に支払う交付金、送電費用、出力を調整することができないために必要となる揚水発電のコスト、原子力安全・保安院など規制官庁のコストなどは、十分に考慮されていない。勿論、事故が起こった場合の補償費などは入っていない[27]」「原子力を3割も使っている日本の電力料金は世界的に高い[27]」「政府がコストに利益を乗せて電力料金を決めてくれる総括原価方式を採用してくれている限り、利益が必ず上がる。
人物
内閣府(旧経済企画庁)の官庁エコノミスト時代は『経済白書』の執筆にも携わった[13]。かつては「企画庁の文豪」と呼ばれていた[14]。
2015年2月5日、政府は原田を日銀審議委員に充てる国会同意人事案を衆参両院に提示した[15][16]。民主党は国会の同意人事で原田について「党の政策と見解を異にする」とし、不同意とすることを決めた[17]。2015年2月25日、政府の同意人事案は可決し、原田の日銀審議委員就任が決まった[3]。
主張
デフレと円高
雇用と賃金
消費税と社会保障
財政政策
環境問題
原子力発電所
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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