原子
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「原子」のその他の用法については「原子 (曖昧さ回避)」をご覧ください。

原子
ヘリウム原子の原子核 (赤) と電子雲の分布 (黒) を描いた模式図。ヘリウム4の原子核 (右上) は実際には電子雲とよく似た球対称である。また、より複雑な原子核は必ずしも球対称とならない。黒い横帯は1オングストローム (10?10 mまたは100 pm) の長さを示す。
分類化学元素の最小単位
組成陽子中性子からなる原子核および電子
相互作用弱い相互作用
強い相互作用
電磁相互作用
重力相互作用
反粒子反原子
理論化ジョン・ドルトン(19世紀)
質量1.67×10?27 - 4.52×10?25 kg
電荷ゼロ(中性)またはイオン電荷
荷電半径31 pm (He) - 298 pm (Cs) (原子半径)
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原子(げんし、: atom)は化学的手段では分割できない元素の最小単位であり、陽子中性子からなる原子核と、それを取り囲む電磁気的に束縛された電子の雲から構成される[1]。原子は化学元素の基本粒子であり、化学元素は原子に含まれる陽子の数によって区別される。たとえば、11個の陽子を含む原子はナトリウムであり、29個の陽子を含む原子はである。中性子の数によって元素の同位体が定義される。

原子は非常に小さく、直径は通常100ピコメートル(pm)程度である。人間の毛髪の幅は、約100万個の炭素原子を並べた距離に相当する。これは可視光の最短波長よりも小さいため、従来の顕微鏡では原子を見ることはできない。原子は非常に小さく、量子効果による作用を受けるため、古典物理学では原子の挙動を正確に予測することは不可能である。

原子の質量の99.94%以上は原子核にある。原子核の陽子は正の電荷を、電子は負の電荷を持つが、中性子はあっても電荷を持たない。陽子と電子の数が通常のように等しい場合、原子は電気的に中性である。陽子より電子が多い原子は全体として負の電荷を持ち、陰イオン(または負イオン、アニオン)と呼ばれる。逆に、電子より陽子が多い原子は全体として正の電荷を持ち、陽イオン(または正イオン、カチオン)と呼ばれる。

原子を構成する電子は電磁気力によって原子核内の陽子に引き寄せられる。原子核内の陽子と中性子は核力によって互いに引き合っている。この核力は通常、正電荷を帯びた陽子どうしが反発する電磁気力よりも強い。しかし特定の状況下では、反発する電磁気力が核力よりも強くなる。この場合、原子核は分裂して、さまざまな元素が残る。これは原子核崩壊の一形態である。

原子は化学結合によって1つまたは複数の他の原子と結合し、分子結晶などの化合物を形成することができる。自然界で観察されるほとんどの物理的変化は、原子が互いに結合したり分離する能力が引き起こしている。化学は、こうした変化を研究する学問である。
原子論の歴史詳細は「原子論 (科学)」を参照
哲学において詳細は「原子論」を参照

物質が不可分の小さな粒子からできているという基本的な考え方は、多くの古代文化に登場する古い考え方である。アトム(atom)という言葉は、古代ギリシア語で「切断できない」という意味のアトモス(atomos)に由来する[注釈 1]。この古代の考えは、科学的な推論というよりも、むしろ哲学的な推論に基づいていた。現代の原子論は、こうした古い概念に基づいているわけではない[2][3]。19世紀初頭、科学者ジョン・ドルトンは、化学元素が重量の離散的な単位で結合しているように見えることに気づき、これを物質の基本単位な単位と考え、その単位を指す言葉として「原子」という言葉を使うことにした[4]。約1世紀後、ドルトンの原子は、実際には分割不可能ではないことが発見されたが、この言葉が定着した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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