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やノートページでの議論にご協力ください。原子力船(げんしりょくせん)とは、原子炉を動力源として使う船舶である。原子炉で水を沸騰させた蒸気でタービンを動かし、スクリューを駆動して航行する。軍艦の場合には「原子力艦」と呼ばれることもある。 舶用機関としての原子力は、以下のように数多くの利点と欠点を併せ持つ。全般に大規模用途と水中用途に向く機関であり、利点を生かせる用途は軍艦(潜水艦および航空母艦)及び砕氷船に限られている。
特徴
舶用機関としての原子力の利点
大気に依存せず運転できる
酸素等の吸気を必要としない。二酸化炭素や、窒素酸化物・粒子状物質・硫黄酸化物などの排気も出さない。
供給不安の石油に依存しなくてすむ
長期間燃料補給をする必要がなく、原油価格上昇により経済的損失を蒙るリスクがない。
石油輸入国の場合、艦艇燃料の準自給になり、シーレーン依存度を下げられる。
大型艦/船の場合、航海燃料の容積と重量が浮くメリットがある
原子力機関は大規模なほど出力/重量比が改善する。大型高速船の場合、他の動力機関と「燃料・機関合計」で比べて、重量・容積の割りに出力が大きい分、ペイロードを多くできる[1]。
潜水艦・航空母艦用に向いている
詳細は軍用船舶としての原子力船舶の項参照
舶用機関としての原子力の欠点
機関取得コストが高額(下記は目安。「むつ」は原子力委員会試算の2-3倍掛かった)
アメリカ海軍空母においては28万馬力 (206MW) で通常型と原子力での取得価格差は排水量比例1,782億円(87万円/Kw・8万馬力で509億円)
「むつ」建造時代の原子力委員会の試算では2万馬力 (15MW) の原子力機関で21億円であり、同出力のディーゼル機関より大幅に高価であった。
軍艦であっても数を揃えねばならない駆逐艦やフリゲートでは(原油が高騰した場合を除き)原子力機関の高い取得・保守・廃棄コストは問題とされる。
原子炉点検人員コストが掛かり、燃料交換・点検時、長期不稼動を強いられる。
原子炉は1-2年に1回、熱交換器パイプの肉厚損耗や被覆管の傷みなどを点検せねばならず、アメリカ空母の場合10-20年に保守点検に間接運航人件費が掛かっている。アメリカ空母の場合、40年の寿命の20年目に燃料交換と近代化改装を行うが、同排水量の通常動力空母より1,520億円(1ドル115円換算)高価である。また長期間空母が拘束される。
日本原子力研究所の開発した新舶用炉MRXは原子炉をモジュールごと片方ずつ年1回交換して船体を休まず稼動させ、モジュール保守点検と燃料交換を修理工場で集中処理できる仕様として、上記の問題を回避する試みがなされている。