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原始生命体(げんしせいめいたい、羅: Protobionta、英: Protobiont)とは化学進化による生命誕生直後の状態を有する生命のことである。現在の研究では共通祖先は古細菌および細菌にそれぞれ進化したとされているが、共通祖先が誕生する以前の生命についても論じられており、そのような生命を『原始生命体』と定義する。記事の内容では共通祖先と重複する部分はあるが、時系列的には
化学進化
原始生命体
共通祖先
細菌と古細菌
という順番で進化が行なわれたと定義されている。なお、本記事では共通祖先では余り論じられなかった初期の生命の遺伝、代謝などの生化学について記述する。
別名、原始生命、原始細胞、共通祖先以前、など。 上記に述べているが、原始生命体と共通祖先の違いとは、第一に『定義されている時間がことなる』点である。ただし、この時間自体は柔軟に考えられ、ある程度の重複が存在したと考えられる。 また、共通祖先という概念自体はカール・ウーズが古細菌を発見し、3ドメインの系統樹を描いた結果、細菌と古細菌はもともと1つの系統から分化したという系統樹の結果から生まれたものである。一方、原始生命体は化学進化による生命誕生以降の細胞(あるいは生命としても良いかもしれない)を定義したものであり、その概念を生じた発想は異なる。 つまり、化学進化によるものがより古い部分を論じていることから、それらの論じている時間のずれが生じるという第一の違いとリンクされる。 また共通祖先はその生化学がほとんど論じられることは無く、遺伝的仕組みを有するか否か、のみが論じられ、それぞれ共通祖先を意味する異語が提案されている(コモノート、プロゲノート、センアンセスター、詳しくは共通祖先を参照)。一方原始生命体は科学的な実証が行なわれることは無いが既存の生物群より、その細胞の形態、代謝系 生命の起源でも述べているが生命誕生を論じるうえではどのような物体が生命なのかということを定義しなければならない。生命の起源の記事では、 という上記の3点を有する物質が生命と定義された。したがって、原始生命体とはいえ上記の3点を有しなければ生命とはいえないとしたいところだが、表面代謝説に代表される生命の起源に関する多くの新説の提案よりこの定義すら曖昧になりつつあるのが現状である。 原始生命体の細胞、あるいはその生命のあり方は多くの提案がなされているが、オパーリンの提案したコアセルベート説
原始生命体と共通祖先の具体的な違い
共通祖先:生物進化による生命の起源を論じた結果生じた概念
原始生命体:化学進化による生命の起源を論じた結果生じた概念
原始生命体の細胞
代謝系を有する。
細胞という形状を有する。
自己複製が可能である。
アミノ酸、核酸、脂質等有機物が複雑に重合したミセル
が原始生命体に進化したとしている。ただし、どのようなミセルが生命となったかという点については、上記3点の定義を有するものとしている。
1988年にドイツ人弁護士ギュンター・ヴェヒターショイザーによって提案された表面代謝説では、
黄鉄鉱上に吸着したアミノ酸、核酸、脂質などが触媒(そのまま黄鉄鉱がその役割を果たした)され、構築された代謝系
が原始生命体に進化したとしている。この表面代謝説では生命の定義として代謝系を有することと言うよりはむしろ、代謝系そのものが生命と考えられている。そして
吸着しやすい炭化水素(イソプレノイドアルコール)からなる膜脂質が表面代謝系ごと遊離したもの
が、細胞を有する生命が誕生したというモデルへとつながる。
東京薬科大学の大島泰郎教授によると、コモノート以前の生命は、
個体ゲノムは代謝系を構築できず、個体間同士の遺伝子産物の交換によって代謝系を構築していた
としている。この後、1つの細胞内に遺伝子が集合し個体内での完全なる代謝系を構築したものがコモノートへ進化したというモデルへつながる。この説は化学進化的考えよりはむしろ生物進化的考えに近いものがあるが、代謝系は遺伝的仕組みが成立していない複数の個体間で行なわれていたという点で原始生命体のあり方に信憑性を持たせた。
様々なフェーズの生命が原始生命体1つとっても論じられるが、やはり表面代謝や進化することが不可能な細胞間代謝によって形作られる生命の生化学を論じることは困難である。したがって、本項においては生命の定義3点を有する最初の生命を原始生命体とする。 代謝系
代謝系
光合成:約27億年前に成立 ⇒[1]
酸素呼吸:光合成よりも古い時代に成立(正確な年代は不明だが35億年前には成立していたと考えられる)