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即興劇(そっきょうげき、英: Improvisational theatre)は、台本を用意せずに、即興的な演技手法を用いて、俳優が自発的に演じる形式の演劇である。たんに「即興」とも、インプロヴィゼーション(improvisation)、インプロブ(improv)、インプロ(impro)とも呼ばれる。 即興劇は、大まかに以下のように分けられる。 即興劇の全ての形式において、役者は会話や動作をその場で創作する。本質的に予測不能であり、予期し得ない様々な事件が起きる為に、即興劇は自然と喜劇風になる。情緒に溢れる感動的なシーンや、物語とは言わないような芸術的なシーンも、即興で演じることが可能である。 即興はまた、役者のトレーニングのツールとしても有用である。多くの企業や芸術家たちが、発想力や文章構成力の訓練に即興を用いている。これらはしばしば「有機的な舞台」と呼ばれ、ドラマセラピーの分野などでも支持を得ている。 既に1,000近い数のエクササイズ、ゲーム、テクニック及び形式が、劇場での上演向けに考案されており、今なお増加している。多くは、演技や演習につながるようなレクリエーション型のゲームである。各ゲームはそれぞれ、特定のスキルをディスプレイすること、あるいは訓練することが出来るように設計されている。ここでいうスキルとは、身体表現、人格の創出、対応力、緊張を解くこと、提案に寛容であること、信頼すること、といったことである。 即興によるシーンを成功させるためには、話の中心(focus)を定め、出演者たちが協力し、それぞれが責任を持ってその物語の性格や流れを定義していかなければならない。シーン中のセリフや動きによって、他のキャラクタに名前を与えたり、場所や関係を明確にしたり、あるいはジェスチャを用いて空間を定義してゆく。このように、シーンを構成してゆく行為を特に「オファー(offer)」と呼ぶ。これは「エンダーメント(endowment)」とも呼ばれている。出演者は、共演者のオファーを受け入れる(accept)ことが重要である。オファーを受け入れない行為をブロッキング(blocking)と呼ぶ。これは往々にしてシーンの進行を妨げることにつながる。中には、故意にブロッキングをする(あるいは役柄を抜け出す)ことによって笑いを得ようとする役者もいるが、一般的にはシーンの進行を妨げる行為であり、多くのインプロバイザは敬遠する。オファーを受け入れることによってそれは同時に新たなオファーを追加することになり、結果的にシーンをより早く構成することができる。これこそが、インプロバイザたちが「イエス、アンド…(Yes and)」と呼ぶものであり、即興劇の技術の要となるものである。すなわち、相手からのオファーを「イエス」と受け入れた上で、さらに「アンド」する、つまり自分から出したアイディアを追加することで、即興劇中の世界観・設定・登場人物たちの関係・ストーリーなどが構築されていくのである。 即興はまた、観客との間に強い関係を作る。演者たちは、しばしば観客に提案を要求する。それは、単に発想のタネを得るばかりでなく、観客をより一層巻き込み、楽しませることにも貢献する。さらに、それが本当に即興であって台本は用意されていないということの証明にもなる。 即興劇の中で、喜劇的なエンタテイメント性に重点を置いたものを特に即興コメディと呼ぶ。 即興劇においては、通常の演劇で用いられるような「小道具」は準備することができない。汎用的な小道具を用意していることもあるが、多くのパフォーマーはパントマイムの技術を用いてモノを作り出す。すなわち、手の形や動きでモノを表現する。作られたモノは、安定して存在し続けることが要求される。机や壁を歩いて通り抜けるようなことがあってはならない。 即興役者は準備無しに様々な役柄を演じ分けなければならないため、キャラクタの物理的特性、仕草、言葉のなまり、声質、などを瞬時に切り替える技術が要求される。異なる性別、かけ離れた年齢を与えられる場面も少なくない。作られたキャラクタの「行動目的」は、シーンを成功させる重要な要素である。即興役者は、その演じている役がいったい何をしたいのかを感じ取らなければならない。 多くの即興役者は、通常の台本芝居の役者としても活躍している。
概要
ショート・フォーム: 特に関連の無い、短いシーンを次々と見せてゆくスタイル。
シアタースポーツ
マエストロ
ゴリラシアター
ロング・フォーム: いくつかのシーンが互いに関連付けられて、1つの物語になってゆくスタイル
ハロルド
リトルタウン
スポークン
インプロ・ゲーム: 決められたルールに基づいて、明快なシーンを作り上げるパフォーマンス
即興の工程