この項目では、ラクロの小説について説明しています。その他の用法については「危険な関係 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
危険な関係
Les Liaisons dangereuses
1796年の版の挿絵。
著者ピエール・ショデルロ・ド・ラクロ
国フランス
言語フランス語
ウィキポータル 文学
『危険な関係』(きけんなかんけい、Les Liaisons dangereuses)は、1782年にフランスの作家ピエール・ショデルロ・ド・ラクロによって書かれた、175通の手紙で構成される書簡体小説。18世紀後半のフランス貴族社会を舞台に、貴族社会の道徳的退廃と風紀の紊乱を往復書簡という形で活写した。なお、ラクロの本職は職業軍人であり、恋の駆け引きの描写は本格的な(軍事的な意味での)心理戦の域にまで達していると評される。 メルトイユ侯爵夫人は、自分を裏切った愛人が15歳の清純な少女セシルと婚約したことを聞く。愛人への復讐のために、メルトイユは以前から関係のあるヴァルモン子爵にセシルを誘惑して堕落させるように依頼する。だがヴァルモンは貞節と評判の高いツールヴェル法院長夫人を誘惑し堕とすことに興味を持っており、メルトイユの依頼をいったんは断る。 しかしセシルの母ヴォランジュ夫人がツールヴェル法院長夫人に、ヴァルモンの事を非難し近づいてはならないと忠告したと聞き、ヴォランジュ夫人への復讐のために、ヴァルモンはメルトイユの依頼を受ける。 メルトイユ侯爵夫人とヴァルモン子爵、2人が仕掛ける退廃に満ちた恋愛ゲームが始まる。
あらすじ
日本語訳
『危険なる知己』 矢口達訳 国際文献刊行会(猟奇叢書 第1巻) 1929年
『危険な関係』 竹重頼久編訳 京橋出版社 1951年。以上は抄訳版。
『危険な関係』 伊吹武彦訳 各上下巻、岩波文庫 1965年 / 初版 創元社〈創元選書〉 1947年 - 1948年。文庫はたびたび復刊。
『危険な関係』 竹村猛訳 角川文庫(上下巻) 1960年、映画化で1冊本に改版2004年
『危険な関係』 近田武訳 潮文庫 1972年
『危険な関係』 新庄嘉章・窪田般弥訳 新潮文庫(上下巻) 1972年、映画化で復刊1988年
『危険な関係』 大久保洋訳、講談社文庫(上下巻) 1977年 / 講談社『世界文学全集15 ルソー・ラクロ』1983年
『危険な関係』 桑瀬章二郎・早川文敏訳、白水社〈エクス・リブリス・クラシックス〉2014年
映画化作品
危険な関係(1959年、フランス) 監督はロジェ・ヴァディム、主演はジェラール・フィリップ、ジャンヌ・モロー。舞台は現代パリの上流社会。
華麗な関係(1976年、フランス) 再びヴァディム監督で映画化。主演はシルヴィア・クリステル、ジョン・フィンチ、ナタリー・ドロン。DVDはアミューズソフトエンタテインメント、2005年。
危険な関係
危険な関係(1988年、アメリカ) ハリウッドで映画化、出演はグレン・クローズ、ジョン・マルコビッチ、ミシェル・ファイファー、キアヌ・リーブスほか、アカデミー脚色賞などを受賞している。DVDはワーナー・ブラザースで数度出された。
恋の掟(1988年、イギリス・フランス合作) 監督はミロス・フォアマン、主演はアネット・ベニング、コリン・ファース。
クルーエル・インテンションズ(1999年、アメリカ) 舞台を現代のアメリカに移し、登場人物も高校生中心に置き換えた。