博物誌
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「博物誌」のその他の用法については「博物誌 (曖昧さ回避)」をご覧ください。
1669年版の表紙

『博物誌』(はくぶつし、ラテン語: Naturalis historia)は、古代ローマ大プリニウスが著した書。全37巻。地理学天文学動植物鉱物などあらゆる知識に関して記述している。数多くの先行書を参照しており、必ずしも本人が見聞、検証した事柄だけではない。怪獣巨人狼人間などの非科学的な内容も多く含まれ、学問的な体系を完全に成しているわけではない。

古くから知られていたが、特にルネサンス期15世紀活版印刷で刊行されて以来、ヨーロッパの知識人たちに愛読され、引用されてきた。科学史・技術史上の貴重な記述を含むほか、芸術作品についての記述は古代ローマ芸術についての資料として美術史上も珍重された。また、幻想文学にも影響を与えた。
主な内容

第1巻 序文

第2巻
天文

第3 - 6巻 地理

第7巻 人間

第8 - 10巻 動物

第11巻 昆虫

第12 - 19巻 植物

第20 - 27巻 薬草

第28 - 32巻 動物性薬品

第33巻 鉱物

第34巻 彫刻

第35巻 絵画

第36巻 建築

第37巻 宝石  

『博物誌』に記された怪物

プリニウスが記した『博物誌』には、実在する生物に混ざって、ペガサスモノセロスユニコーン)、スフィンクスマンティコアサラマンダーといった有名なものから、コロコッタ、アンフィスバエナカトブレパスなど、あまり知られていないものまで、多数の怪物が記されている。
アピス(Apis)
右腹に三日月型の白斑がある雄牛。エジプトの神牛。( ⇒第8巻第71(46)章第184 - 186節
アンフィスバエナ(Amphisbaena)
双頭の毒蛇。( ⇒第8巻第35(23)章第85節
エアレー(Eale)
カバぐらいの大きさで、ゾウの尾をもち、毛色は黒あるいは黄褐色で、イノシシの顎をもち、どの角度にも動かすことの出来る2本の長い角をもつ動物。( ⇒第8巻第30(21)章第73節
カトブレパス(Catoblepas)
頭をいつも地面に垂れ下げていて、その目を見た者は誰でも即座に絶命する。( ⇒第8巻第32(21)章第77節
コロコッタ(Crocota, Corocotta)
ハイエナと雌ライオンとの交配によって生まれる怪物。人間や牛の声を真似る。( ⇒第8巻第30(21)章第72節、 ⇒第8巻第45(30)章第107節
サラマンダー(Salamandra)
トカゲのような形をした、全身を斑点に覆われている動物。( ⇒第10巻第86(66)章第188節、 ⇒第11巻第116(53)章第280 ? 281節、 ⇒第29巻第23(4)章第74 - 76節
スフィンクス(Sphinx)
毛が褐色で胸に一対の乳房がある獣。( ⇒第8巻第30(21)章第72節
ドラゴン(Draco)
インドに棲むドラゴンは象と戦う際に、体を巻きつけ、動けないようにする。( ⇒第8巻第11(11)章第32節
トリトン(Triton)
半人半魚の姿をした海神。( ⇒第9巻第4(5)章第9節
ナウプリウス(Nauplius)
船の形をした貝。( ⇒第9巻第49(30)章第94節
ネレイス(Nereis)
半人半魚の姿をした海の精霊。
バシリスク(Basiliscus)
キュレナイカリビア東半)に生息する猛毒のヘビの一種。その目で見られた者は即死、もしくは石化するといわれる。( ⇒第8巻第33(21)章第78 - 79節
フェニックス(Phoenix)
アラビアに生息し、大きさは鷲ぐらいで、頸まわりは金色、尾は青く、薔薇色の毛が点々と混ざり、体は紫。( ⇒第10巻第2(2)章第3 - 5節
ペガサス(Pegasus)
エチオピアに生息する翼の生えた角を持つ馬。( ⇒第8巻第30(21)章第72節、 ⇒第10巻第70(49)章第136節
マンティコア(Mantichora)
エチオピアに生息し、顔は人間、体は獅子、尻尾はサソリのようで、人間の声を真似るという。( ⇒第8巻第30(21)章第75節、 ⇒第8巻第45(30)章第107節
モノセロス(Monoceros)
インドに生息し、馬の体、鹿の頭、象の肢、猪の尾を持ち、額の中央に黒く、長い一本の角が生えている獰猛な獣。後世にユニコーンと同一視される。( ⇒第8巻第31(21)章第76節
レウクロコタ(Leucrocota)
ハイエナの異種。ロバほどの大きさで、鹿の肢、獅子の首、尾、胸、穴熊の頭、割れた蹄、耳まで裂けた口を持ち、歯のかわりに一本の連続した骨がある。人間の声を真似る。( ⇒第8巻第30(21)章第72節
訳書

プリニウス『プリニウスの博物誌』〈I・II・III〉 
中野定雄・中野里美・中野美代訳、雄山閣出版1986年。新版1995年。

『プリニウスの博物誌〈縮刷版I・II・III・IV・V・VI〉』
上記の縮刷版で、6分冊。雄山閣出版、2012年。縮刷第二版2021年。

『プリニウス博物誌』〈植物篇・植物薬剤篇〉
大槻真一郎責任編集、岸本良彦ほか訳、八坂書房、1994年。新装版2009年
日本語入門書

ウェザーレッド『古代へのいざない プリニウスの博物誌』中野里美訳、雄山閣出版、1990年

中野里美『ローマのプリニウス』 光陽出版社、2008年 

澁澤龍彦『私のプリニウス』 青土社河出文庫

外部リンク.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィキソースにプリニウスの博物誌の原文があります。ウィキメディア・コモンズには、博物誌に関連するカテゴリがあります。

LacusCurtius, Pliny the Elder's Natural History

Pliny the Elder, The Natural History(eds. John Bostock, M.D., F.R.S., H.T. Riley, Esq., B.A.)

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