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倍数性(ばいすうせい、英語: ploidy または polyploidy)とは、生物あるいはその生活環の一時期において、生存に必要な最小限の染色体の1組(ゲノム)を何セット持つかを示す概念。 ゲノムの最初の定義は「配偶子がもつ1組の染色体」であったが、その後定義が変更され、使われる分野も広がった。倍数性の説明に用いる「ゲノム」は、現在の「生物をその生物たらしめるのに必須な遺伝情報」という定義から外れるものではないが、最初の定義に近く、「生存に必要な最小限の1組の染色体」を指す。生物のゲノム構成を記号で示すときは、二倍体であれば AA や BB のように、四倍体であれば AAAA や AABB のようにあらわす。 倍数性とは、ゲノムを何セット持つかを示す概念である。 ゲノム1セットに相当する染色体数を基本数といい、x(まれに b)で示す。倍数性は基本数の倍数で x, 2x, 3x, ... のように表され、それぞれ一倍性(半数性: monoploidy, haploidy)、二倍性 (diploidy)、三倍性 (triploidy)、... という。それらの倍数性の生物(倍数体)は、それぞれ一倍体(半数体)、二倍体、三倍体、... という。 例えば、基本数が 9 (x = 9) の四倍性 (4x) の倍数体生物がいるとすると、その生物の体細胞 (2n) における染色体数は、「2n = 4x = 36」「2n = 36 の四倍体」などと示される。動物の場合、特殊なものを除いてほぼ全てが二倍体 (2x) であり、二倍体であることを強調したい場合でない限り、「2x =」という表現はされない。 倍数性を、しばしば n, 2n, 3n, 4n, ... のように表現することがあり、生物学の教科書などでもこのような表現をしている場合があるが、これは誤りである[要出典]。 n と 2n は、生物体またはその細胞の核相を示すものである。n と 2n は、それぞれ単相世代、複相世代であることを示す(生活環を参照)ものであり、核相と倍数性の表現で直接的な関連はない(2n の 2 は、2倍体の 2 と関係ない)。染色体数の「n = ・・・」「2n = ・・・」という表現は、あくまで「どの核相の細胞における染色体数であるか」を示すものであり、たとえ半数体生物や3倍体生物でも、体細胞における染色体数は「2n = ・・・」、配偶子細胞における染色体数は「n = ・・・」で表す。 生物の核相は基本的に単相か複相のどちらかであり、3n, 4n, ... という核相は、特殊なもの(一般的な被子植物の二次胚乳細胞など)を除き、存在しない。 英語では二倍体以上の倍数性を示すpolyploidy(倍数性・多倍性)も同様に使われる用語である。多倍性の生物を多倍体という。 また、一倍体ゲノムのDNA量はC値と定義される。 倍数体(ばいすうたい、英語: polyploid)とは、倍数性に基づいて表現した生物の分け方。一倍体(半数体)、二倍体、三倍体など。 有性生殖をする動物の多くは、両親から配偶子を通してそれぞれ1セットのゲノムを受け取り、計2セットのゲノムを持つ二倍体(ヒト, 2n = 46 など)である。 一方、植物には様々な倍数体が存在している。それらは、農業で役に立つ特性を持つことがあり、作物の品種・種として成立している。 植物の倍数体は、同質倍数体と異質倍数体とに分けられる。1種類のゲノムを複数持つ場合を同質倍数体といい、2種類以上のゲノムで構成されている場合を異質倍数体という。動物の場合は異質倍数体は少ないが、生殖能力がない種間雑種(レオポンやラバ)は異質二倍体と考えることもできる。アフリカツメガエル (Xenopus laevis) は異質4倍体と考えられており、Xenopus属にはさらに異質8倍体や異質12倍体のカエルもいる。 同質倍数体 (autopolyploid) とは、同じ種類のゲノムを複数持つ倍数体。しばしば、「同質」を省略して表記される。
用語としての「ゲノム」と倍数性の関連
倍数性
倍数体
同質倍数体
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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