南極海(なんきょくかい、英語: Southern Ocean)は、南極大陸のまわりを囲む、南緯60度以南の海域である[1]。南大洋(なんたいよう)や南氷洋(なんぴょうよう)、南極洋(なんきょくよう)とも呼ばれる。世界で最も南にある海である。五大洋のうちでは、太平洋、大西洋、インド洋に次ぐ第4位の大きさであり、北極海よりも広い[2]。
南極海の北の境界は地理学者たちの間でも厳密には合意が得られておらず、太平洋、大西洋、インド洋との間にはどちらに所属するか意見の分かれる海域が存在している。何人かの学者は南極海は60度で分割されるのではなく、季節によって変動する南極収束線に合わせるべきと主張している[3]。オーストラリアは、オーストラリア南岸以南のすべての海域を南極海に含めるべきと主張している[4][5]。 面積は約20,327,000km2で、最深部はサウスサンドウィッチ海溝南部のファクトリアン海淵で水深7,434m、平均深度は約4,000mである。 南極海は、南極大陸の周りを囲んでいる。時計回りにロス海、アムンゼン海、ベリングスハウゼン海、スコシア海の一部、ウェッデル海、ラザレフ海、リーセルラルセン海、デービス海を含む。南太平洋、南大西洋、インド洋南部とつながっている。 南極海には、サウス・オークニー諸島、サウス・シェトランド諸島、スコット島、バレニー諸島、ピョートル1世島などの島々が存在する。 インド洋、太平洋、大西洋との明確な地理的境界はないが、南極前線が生物分布での境界線にあたる。なお地理上の南極圏は南緯66度33分から南であるため、南極海がすべて南極圏に属しているわけではない。 南極海が他の海洋から分かれたのは南極周回流ができた時だが、これは3000万年前に南極大陸と南アメリカ大陸が離れてドレーク海峡ができてからであり、極めて若い大洋である。それ以前は南極大陸まで暖流が届いていたので、今のような氷の大陸ではなかった。 南極海は南極前線以北の海域よりも水温は2 - 3℃低く、塩分濃度も高いので、浅海に棲息する生物は南極海と北側の海との間を行き来することができない[6]。
概要