南くんの恋人
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漫画:南くんの恋人
作者
内田春菊
出版社青林堂
文藝春秋(文春文庫)
青林工藝舎(改訂版)
掲載誌月刊漫画ガロ
発表号1986年10月号 - 1987年6月号
巻数全1巻
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画
ポータル漫画

『南くんの恋人』(みなみくんのこいびと)は、内田春菊漫画作品、またそれを原作としたテレビドラマ
概要

平凡な高校3年生の南くんと、突然身長15cmになってしまったちよみの恋と同棲生活を描いた連作。

写真時代ジュニア』1985年4月号掲載の読切漫画「言いなりになりたい」(単行本『春菊』に収録)を元に、1985年『アニメージュ増刊OZ』で第1話「悲しんだりもしたい」を掲載。第2話から舞台を『ガロ』に移して1986年10月号から1987年6月号まで連載され、描き下ろしの最終話を加えた単行本が1987年7月青林堂から刊行された。1998年7月には文藝春秋より文春文庫として刊行、2004年6月には青林工藝舎より「改訂版」が刊行された。
原作

原作漫画はドラマ版と違い、掲載誌の性質上寓話的な要素が強い。また、原作は登場人物も少なく、ドラマのストーリーも「小さくなった恋人との同棲生活」程度の共通点しかない。また、漫画の内容は決して「プラトニックな恋愛」を描いたわけではなく、あくまで「ガロ系のラブストーリー」といったものであり、青年期の生々しい心情描写や大胆な性描写などが描かれ、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}恋愛漫画における綺麗事を一切排除した特殊な恋愛作品となっている。[独自研究?]

最終話は南くんとちよみが温泉旅行に出かけるが、旅行の帰り際に転落事故に遭い、南くんはかすり傷で済んだものの、ポケットの中にいたちよみが死亡してしまう残酷であっけないものだった。最後のページには「ちよみは小さいから生きられなかった」という本作品の構造に対しての皮肉も描かれている。また、「なぜちよみが小さくなったのか」といった理由や説明が本編で明示されることは一切なかった。

作者の内田春菊は『ガロ』1994年2月号のインタビューで、残酷な結末を描いた経緯について次のように回想している。こーんな小さなちよみの子宮の中で生理が起こってる、とかいうのもいつまでもやっていたらおかしくなるな、と思ってこの話を終わらそうと決心したんですよ。それから話を思い出すたびにシクシク泣いて、やめればいいのにね。自分で勝手に世界を作って自分でそれを壊すことを決めて、でもそれに自分が悲しんでってもうおかしいよねぇ。なんてナルシスティックな商売なんだろう。あのころ、私は子どもを産める気がしていなかった、ちよみを殺してしまったのなんかは、子どもを諦めようという一連の作業だったんじゃないのかもしれない。

また、彼女は「あとがき」で、「この作品、自分は『小美人ポルノ』だと思ってたのに、読者からは『これってプラトニックな恋ですよね?』と手紙が来る」と述べており、読者と自分の認識のギャップを語っている。
初出

作品名初出
言いなりになりたい写真時代ジュニア 1985年
南くんの悩みB-BOY 1985年
悲しんだりもしたいアニメージュ増刊OZ 1985年
野村さんの写真ガロ 1986年10月号
たのしいおふろガロ 1986年11月号
こわい夢ガロ 1986年12月号
ちよみのごはんガロ 1987年1月号
実験ガロ 1987年2・3月号
ちよみの心配ガロ 1987年4月号
南くんの浮気ガロ 1987年5月号
出発の日ガロ1987年6月号
おもいでの旅行描き下ろし

続編

ガロ』連載終了から実に25年を経て『Cocohana』(集英社)誌上で2013年1月号より6月号にかけて続編『南くんは恋人』が連載された。

本作品では『南くんの恋人』とは立場が逆転しており、高校生のちよみと、突然小さくなってしまった南くんの恋と同棲生活を描いた連作となっている。第1話冒頭に於けるちよみのモノローグにより、本作品中設定では、『南くんの恋人』はちよみの見た夢であったことが示唆されている。

内田春菊『南くんは恋人』 集英社〈愛蔵版コミックス〉、2013年8月28日第1刷発行(2013年8月23日発売)、.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-08-782707-1

テレビドラマ

本作品は4度テレビドラマ化されており、本記事ではそれぞれ第1作 - 第4作とする。

エピソードとして、ドラマ版を知った後に原作を読んで残酷な結末に衝撃を受けた視聴者が続出したという逸話がある。これに関して内田自身の「ちよみは本来存在すべきでない」という持論に対しても賛否両論があり、内田に対しても批判があった。内田の弁によると「もうあのページはノリで貼り付けてやりたい」という投書まで送られてきたという[1]

内田によれば、第1作を手掛けたTBSからドラマ化の依頼があった際、フジテレビからも映画化の企画が来たというが、その依頼は断ったという。その経緯について内田は『ガロ』1994年2月号のインタビューで次のように明かしている。

「フジのほうはハイビジョンを全編に使って、ヒロインも募集して大事業みたいにするって言うのね。でもずっと話をしていても、作品に対する話というのが出てこないんですよ。TBSのほうはその辺はすごく愛情を持ってくれていたんだけれど、でも好きでやってくれるんだったら両方受ければいいか、と思ってたんですけどね。でもフジの人が「ちよみは処女じゃないといやだ」って言い始めましてね。で、そのうち「うちだけに使わせろ」みたいな話になってきて、でもそこまで言うのに作品に対する手ごたえっていうものがなかったんですよ。それでフジのほうは断ったんです。」

1994年1月、高橋由美子武田真治主演によるテレビドラマ(第2作)がテレビ朝日月曜ドラマ・イン』枠で放映され、高視聴率を獲得した。しかし、月曜20時台という時間帯の関係で主たる視聴者層が低年齢化し、主に子供たちから「(最終回の結末を踏まえて)ちよみがかわいそうだ」との投書が寄せられた。それを契機として原作にないアナザーストーリー(厳密には続編)を追加することとなり、1995年4月にスペシャルドラマ「もうひとつの完結編」が放映された。本作品の設定上から映像はブルーバック合成という手法がとられ、そのために高橋の収録分の大半はブルーシートを背にしてひたすら一人芝居をするというものだった。他の出演者との絡みがあるのは、ちよみが小さくなる前の回想シーンの収録くらいであり、「何のために女優になったんだろう?」などといった葛藤を抱えながらの撮影だったことを高橋自身が後に回想して語っている[2]

2004年7月、二宮和也深田恭子主演によりテレビ朝日系列の『木曜ドラマ』枠でリメイクされた(第3作)。同一放送局による10年振りのテレビドラマ化であった。

2015年5月、山本舞香中川大志を主演に、『南くんの恋人?my little lover』(第4作)のタイトルで4度目のドラマ化がされ[3]。11月からフジテレビ他で放映された。
第1作

1990年4月28日TBS系列土曜日22:00-23:54(JST)、ドラマチック22枠(単発ドラマ)。視聴率は13.3%。

ちよみが小さくなるのは家系(ちよみのおばあちゃんも若いころ小さくなった)で、ラストは行方不明になったちよみが風船につかまって戻ってくる。

キャスト(第1作)

ちよみ:
石田ひかり

南浩之:工藤正貴

白島靖代

宮下直紀

木内みどり

内田春菊

加藤治子

スタッフ(第1作)

脚本:斎藤博

演出:原隆仁

プロデューサー:田辺隆史、竹本克明、片島謙二

制作:ギャラクシーワン、
TBS

第2作


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