千夜一夜物語_(1969年の映画)
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千夜一夜物語
監督
山本暎一
脚本深沢一夫
製作虫プロダクション
出演者青島幸男
岸田今日子
芥川比呂志
音楽冨田勲
主題歌「アルディンのテーマ」
演奏:ザ・ヘルプフル・ソウル
歌:チャーリー・コーセイ
配給日本ヘラルド映画
公開 1969年6月14日
製作国 日本
言語日本語
配給収入2億9000万円
次作クレオパトラ
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『千夜一夜物語』(せんやいちやものがたり)は、虫プロダクションが製作した劇場用アニメーション映画である。予告編等では「アニメラマ」のキャッチフレーズが付けられた。有名な一大説話集『千夜一夜物語』を自由奔放に翻案し、一人の冒険商人を中心とした一大叙事詩が描かれる。配給日本ヘラルド映画。封切は1969年6月14日。日本初の大人のためのアニメーション映画[1]である。
あらすじ

貧乏な水売りアルディンは、バグダッドの奴隷市場で売られている美女ミリアムに魅了され、竜巻のどさくさで彼女を誘拐する。二人は束の間の愛を育み、ミリアムは身ごもるものの、野心的な官吏バドリーが使う40人の盗賊に捕らえられてしまい、アルディンが拷問を受けている間にミリアムは世を去った。失意のアルディンは盗賊の娘マーディアと共に女護島に着くと、女であるマーディアは放逐され、アルディンは女性のみの島で快楽の時をすごす。しかし彼女たちの正体は蛇だった。ほうほうのていで逃げ出したアルディンは、やがて巨万の富を積んだ難破船を得、大金持ちの船乗りシンドバッドと名乗るようになる。

15年の時が過ぎ、アルディン=シンドバッドはバグダッドに戻る。同じ頃、ミリアムとアルディンの間に生まれた娘ジャリスの成長した姿もそこにあった。シンドバッドは王位を賭けた勝負に勝ち、バグダッドの王となる。シンドバッドは外征や天に達する塔を建築するなど放蕩の限りを尽くし、さらに、自分のハレムに娘ジャリスを迎えてしまう。狡猾に王に取り入っていたバドリーはシンドバットとジャリスを近親相姦の罪で告発するが[2]、魔王女ジニーの転機で難を逃れ、また仇敵バドリーはマーディアの弓に倒れる。シンドバッドは結局王位を追われ、死刑にならんとするその時、塔は倒壊しその隙にバグダッドを脱出する。王座によって何も得ることが出来ないと悟ったシンドバッドは、再び元のアルディンに戻り旅に出る。
作品概要
製作までのいきさつ

漫画家手塚治虫は幼少期からアニメーションに強い興味を持ち、1960年には東映動画の長編第三作である『西遊記』に参画、翌年には虫プロダクションを設立し『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』などの黎明期のテレビアニメーションを創出した。また『ある街角の物語』などの大人向けの実験作品を自主製作していた。

1967年[3]、当時洋画配給会社であった日本ヘラルドより、手塚に自社製作の作品製作について打診があった。両者により、アニメーション作品にすること、大人ものの、エロチズムを含む大衆娯楽作品とすることとの方針が決定し、企画は手塚側に任された。手塚は、当初ヨハン・ファウストの映像化を企画し[4]メフィストフェレスを女性とするなどのアイデアも出されたが、同時期に、リチャード・バートンエリザベス・テイラー主演の『ファウスト悪のたのしみ(英語版)』が公開されることとなり取り下げられた。他『デカメロン』なども候補にあがったものの、性的表現もあり、かつまた当時翻訳が複数の出版社から出されたこともあって、『千夜一夜物語』を取り上げると決まった。

日本ヘラルドと虫プロとの契約は、最終的に虫プロに過酷なもので1億円の配収でも赤字となる計算であった。これは、虫プロ側が制作費を調達できずヘラルドからの借り入れに頼る必要があったためという。それでも手塚は、この企画にゴーを出した。手塚自身も虫プロのスタッフも乗り気になってこの企画に邁進することになる。
脚本・プロット

あらすじにある通り、原案として『千夜一夜物語』を題材としているものの、本来のエピソードを縦断し自由にストーリーを組み立てている。また、本来アラビアンナイトと関係がない、女護ヶ島やバベルの塔のエピソードも組み込まれている。ストーリの骨子は、アルディンという野心ある若者が、数々の冒険の結果地位と財産を得るものの、結果としてそれらの無常に気づいてまた旅立つというストーリーに、アラビアンナイトの数々のエピソードが絡むという構成になっている。

プロットは当初手塚が書き、同じ頃に『太陽の王子 ホルスの大冒険』の脚本を書いていた深沢一夫と、東京演劇アンサンブルの熊井宏之が手直ししたものを[5]、さらに手塚が絵コンテに書き起こした。手塚の絵コンテにはさらに山本暎一が手を入れ、それを元にストーリーボードが組み立てられた[6][7]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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