十日の菊
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十日の菊
作者
三島由紀夫
日本
言語日本語
ジャンル戯曲
幕数3幕30場
初出情報
初出『文學界1961年12月号
刊本情報
収録『三島由紀夫戯曲全集』 新潮社 1962年3月20日
英霊の聲河出書房新社 1966年6月30日 装幀:榛地和
初演情報
公演名文学座創立25年記念公演
場所第一生命ホール
初演公開日1961年11月29日
劇団文学座
演出松浦竹夫
主演杉村春子中村伸郎
受賞
第13回(1961年度)読売文学賞(戯曲部門)
ポータル 文学 ポータル 舞台芸術
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『十日の菊』(とおかのきく)は、三島由紀夫戯曲。全3幕30場から成る。二・二六事件を、命を狙われた側から描いた悲喜劇である。クーデターで難を逃れ命拾いした大蔵大臣と、命を張って主君を助けた心の女中との16年後の再会から、人間の性格運命との関わり合いを描いている[1][2]。作中では実際の事件を「十・一三事件」に変え、ヒロイン「菊」の名は、主君への一般的忠節を表しているが、すでにその(忠節)は、9月9日の重陽の佳節をすぎて廃物となった「十日の菊」と化していることを寓意させている[1][注釈 1]。第13回(1961年度)読売文学賞(戯曲部門)を受賞[3]
発表経過

1961年(昭和36年)、『文學界』12月号に掲載され、初演はその号の発売直後の11月29日に文学座により第一生命ホールで上演された[4][3]。単行本は、翌年1962年(昭和37年)3月20日に新潮社より刊行の『三島由紀夫戯曲全集』に初収録されたのち、1966年(昭和41年)6月30日に河出書房新社より刊行の作品集『英霊の聲』に、二・二六事件三部作(英霊の聲、憂国、十日の菊)の一つとして収められた[3]
設定・構成

『十日の菊』の背景となるクーデターは二・二六事件を変造し、10月13日に「十・一三事件」が起こったという設定で、1936年(昭和11年)の過去から、現在に結ぶ時点を1952年(昭和27年)に設定している[1]

これは作中では物語られていないが、昭和27年が正月から日共が暴力化し、2月には植民地闘争のデモ、4月には岸信介らの最後の追放解除があり、同時に日米平和条約が発効し、5月1日は血のメーデーがあった年で、いろいろな意味で〈戦後に一つの時期を劃した年〉であるからと三島は語っている[2]

また、登場人物の名前の、〈奥山菊〉〈森重臣〉には、昔なつかしい家族合わせ的な命名法を用いているとし、以下のように三島は説明している[1]。戯曲「十日の菊」は、二・二六事件を重臣側から描いてみた悲喜劇である。の名にはもちろん寓意があり、主君への一般的誠を象徴して、のちに「英霊の聲」であらはにされるやうな天皇制の問題が、そこはかとなく匂はせてある。しかしすでに忠節のその菊は、九月九日の重陽の佳節をすぎて廃物になつた「十日の菊」と化してゐるのである。 ? 三島由紀夫「二・二六事件と私」[1]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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