2016年の映画については「十字架 (2016年の映画)」をご覧ください。
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十字架(じゅうじか)は、イエス・キリストが磔刑に処されたときの刑具と伝えられ、主要なキリスト教教派が、最も重要な宗教的象徴とするもの。イエスの十字架を象り、立体のものを作ったり画布や板に描いたりしたものを崇敬の対象とする。また、祈祷の一部として手で自分の胸に画いたり、相手の頭上に画いたりする。十字の色々な種類やデザインについては十字を参照祈祷の一部としての「十字を画く」「十字を切る」行為については十字の描き方を参照エホバの証人が主張する十字架の形状否定については苦しみの杭を参照
歴史と受容クレタのセオファニスによって16世紀に描かれた、キリストの磔刑とそれを見守る人々が描かれた正教会のイコン。アトス山のスタヴロニキタ修道院所蔵。
十字架を意味するギリシャ語σταυρ??(stauros)は本来直立した杭のことを表す。十字架の形態には垂直で先の尖った杭、T字である直立した木とその上の横木、同じ長さの2つの交差する木からなるものの3つがある。十字架刑はペルシャ人が考案し、最初に使用したものと考えられている。処刑された者の死体によってゾロアスター教のアフラ・マズダに奉献された大地を汚さないようにしたのではないかと推測される。後に十字架はアレクサンダー大王やディアドコイの王子たち、特にカルタゴ人たちによって使用された。ギリシャでは十字架刑は奴隷に限られており、自由人を十字架にかけたのはバルバロイであった。ローマにおいては共和国時代から既に奴隷の処刑方法であり、帝政期にはローマ市民ではない外国人にも行われた。ただし独裁的な為政者は必ずしもこの原則を守っておらず、マカベアの王アレクサンドル1世は、反乱を起こしたベトメを占領したとき、捕虜をエルサレムに連行し、800人のユダヤ人を十字架につけた。ローマでは十字架への磔刑は「国家反逆罪」への罰であった。十字架刑は死刑囚自身が横木となる梁を持って処刑場に行き、梁は身体と共に持ち上げられ、直立した支柱に固定された。十字架の高さは様々だが、人の背丈よりやや高いか、遠くから死刑囚が見えるようにさらに高くなる場合もあった。十字架には罪状書きが貼り付けられた。キケロは十字架刑を最大の死刑と呼び、最も苦痛で恐ろしく、醜いものとした。遺体は通常腐敗するにまかせるため放置されるが、埋葬のために引き渡されることがあった。十字架上では緩慢な死が訪れるため、想像を絶する苦しみがあった。[1]
旧約聖書において、磔刑に処されたものは「呪われる」とある。もし人が死にあたる罪を犯して殺され、あなたがそれを木の上にかける時は、翌朝までその死体を木の上に留めておいてはならない。必ずそれをその日のうちに埋めなければならない。木にかけられた者は神にのろわれた者だからである。あなたの神、主が嗣業として賜わる地を汚してはならない。