医療機器
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医療機器(いりょうきき、medical devices)は、人もしくは動物の疾病診断治療もしくは予防に使用され、または人もしくは動物の身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(医療用品、歯科材料、衛生用品など)である。
用語

日本では、医療機器という用語のほか、医用機器、医療機などと称されることもある。日本における医療機器規制の法規である薬機法及び品質マネジメントシステム規格であるJIS Q13485[1]では「医療機器」が使用される。医療機器のうち電気機器のものは、医用電気機器、あるいは医用機器と呼称されることもあった。
定義

医療機器の定義は、定義づけをしている国・地域の法令や規格によって異なり、一意ではない。

日本EUアメリカ合衆国カナダオーストラリアによって構成されている医療機器規制国際整合化会議(Global Harmonization Task Force。1993年発足)は、「あらゆる計器・機械類、体外診断薬、物質、ソフトウェア、材料やそれに類するもので、人体への使用を意図し、その使用目的が、疾病や負傷の診断、予防、監視、治療、緩和等、解剖学または生物学的な検査等、生命の維持や支援、医療機器の殺菌、受胎の調整等に用いられるもの」と定義しており、GHTFによる医療機器の定義は、医療機器の規制目的の品質マネジメントシステム規格であるISO 13485の第3項において、医療機器の定義として位置付けられている。

GHTF構成国である日本では、医療機器の規制を薬事法(当時)によって行ってきた。2002年改正の薬事法第2条第4項は、「この法律で「医療機器」とは[注釈 1]人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等であつて、政令で定めるものをいう。」とし、政令(同法施行令)で類別を定めている。体外診断薬(薬事法では「体外診断用医薬品」)は、GHTFの定義では医療機器になるが、日本では医薬品扱いになっている点である。ただし、体外診断薬は、医療機器同様の認証制度が導入されているほか、ISO13485を導入した日本規格である厚生労働省令第169号(医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令)が適用され、規制はGHTFの定義にあわせて医療機器同様に扱われている。

GHTF非参加国における定義は、当該国の医療機器規制による。例えば大韓民国は、2003年に医療機器法を制定し同法によって医療機器(????)を行っている。同法における定義は「人又は動物に単独又は組み合わせて使用される器具・機械・装置・材料又はこれと類似の製品であって次の各号の1に該当する製品をいう。ただし、韓国の薬事法による医薬品及び医薬部外品及び障害者福祉法第55条の規定によるリハビリテーション用器具のうち義肢・補助器を除く。1.病気の診断・治療・軽減・処置又は予防の目的で使用されるもの/2.負傷・障害の診断・治療・軽減又は補助の目的で使用されるもの/3.構造や機能の検査・代替の目的で使用される製品 4.受胎調整の目的で使用されるもの」としており、GHTFの定義と類似する。
GHTF(Global Harmonization Task Force) と IMDRF(International Medical Device Regulators Forum)

 2011年2月、IMDRF(International Medical Device Regulators Forum)国際医療機器規制当局フォーラムが成立した。これは、『GHTF(Global Harmonization Task Force)における強固な基盤作業を土台とする、世界各国の医療機器規制当局による任意の活動』(独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページより)となっている。世界保健機関(WHO)が本組織に関与している。
分類

医療機器の種類は広範にわたっているが、その使用目的から大きく分けると治療機器群と診断機器群、分析機器群などに分類可能である。診断機器群には、本来の生理検査機器群のほか、生体情報モニタなどのモニタ機器群が含まれる。これ以外にも設備機器類や衛生用品、家庭用医療機器などもある。また、従来から心電計などの医用電気機器と呼ばれていたものはスモールME(Medical Electronics)、最近のCTやMRIなどに代表される大型機器をラージMEと分類することがある。GHTFルールに基づき各国・地域において、リスクによるクラス分類がされている。
歴史

16世紀の終わりから17世紀のはじめにかけて、顕微鏡体温計の初期のものが登場し、この時期が「医療機器のあけぼの」といわれる。その後、馬の血圧測定や犬の人工呼吸実験などと続き、聴診器が発明された。19世紀の末期から20世紀の初頭に、X線の発見、血圧計の発明、心電図の最初の計測と3つの大きなできごとが続いた。この時期が「医療機器の革命期」と称される。20世紀の中期から、心電計脳波計などのスモールME機器をはじめとして、心臓ペースメーカーAEDの前身となる機器が製品化されるようになった。20世紀の後半に、X線CTMRIなどのラージME機器が発明され、現代の医療機器の礎が築かれた。

近年、各社が中国に進出して生産が増大しつつあるが、アメリカ食品医薬品局(FDA)の管理の行き届かない地域での製造に懸念が高まりつつある[2]
特徴

医療機器は、多くは、直接または間接にヒトもしくは動物に適用される。分析機器や体外診断薬の場合は疾病の診断等に用いられる。こうした特性上、医療機器の設計には、物理的、化学的、生物学的、電気的安全性が要求され、IEC60601(医用電気機器への基本的な要求事項の国際規格)、ISO10993(生物学的安全性の規格)などが制定されており、各国で規制目的に国内規格として取り入れられている。

医用電気機器のイミュニティやエミッションについては、IEC60601-1-2で規制されており、日本、EU等で医療機器の承認を得るにあたっては、同規格に適合することが要求される。しかし、それでも相互干渉リスクはゼロにならないため(重大な残留ハザード)、医用電気機器の添付文書、取扱説明書等で相互干渉リスクについての警告表示が行われている。また、たとえば植込み型の医用電気機器。を装着した旅客が利用する恐れがある鉄道車両等においては、携帯電話の電源を切る等の呼びかけが行われている事例がある。

2004年になり、特例としてAEDが一般人でも取り扱えるようになったのは、救える命をみすみす見過ごしてはいけない、という配慮からである[3]

2021 年になり、新型コロナウイルス[4]の感染拡大がとても目立っていて、人々に及ぼす影響はかなり 多い。私たちの体の健康状態だけでなく心の健康状態にも被害が及んでいる。新型コロナウイルスの 感染拡大で大ダメージを受けている。しかし、現在の死者数のトップはがん[5]である。全体をみると、 がんの死者数はとても多いが、日本はほかの国に比べるとがんの死亡率は低い。なぜかというと現代 の発達した医療機器による早期発見の力があるからだ。現代の医療機器には、例えばハサミ、メスな どの鋼製小物から人工呼吸器麻酔器などの中型機器、X 線 CT や MRI の大型診断機器、埋め込み タイプのペースメーカー人工関節、そのほか人工透析装置内視鏡など多種多様の製品がある。この 発達した医療機器を駆使して、がんの治療に貢献している。
医療機器の規制詳細は「医療品規制」を参照
各国の規制

アメリカ合衆国ではアメリカ食品医薬品局(FDA)が、イギリスでは医薬品・医療製品規制庁(MHRA)が所管する。
アメリカ合衆国におけるFDAへの製品登録「連邦食品・医薬品・化粧品法」も参照

アメリカ合衆国では、既存の医療機器と同等の構造、機能を有する後発医療機器については、簡易な手続きで登録できる制度を設けている。これはいわゆる510(k)といわれるものである。.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節の加筆が望まれています。



日本における医療機器規制

この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

所管と窓口

日本においては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)に医療機器の定義、規制、取扱いが定められている。


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