北朝鮮サイバー軍
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北朝鮮サイバー軍(きたちょうせんサイバーぐん)は、北朝鮮の電子戦部隊。実行部隊は朝鮮人民軍偵察総局所属だが、統括センターは参謀部所属とされ、軍事大学機関も関係しており全容が分かっていない。複数の呼び名で報道されており統一した名称が確定していない。
概要

暗号解読、機密の入手、産業技術入手、世論操作、資金獲得、Webサイトの書き換え、通信破壊、ウイルスの制作と拡散、他国の会社員を買収してのユーザーIDパスワードの大量入手、サイバー攻撃による企業活動の妨害などの行動が確認されている。当組織に関係していた脱北者が複数存在しており、彼らの証言から一部明らかになっているものの、組織改編や名称変更を繰り返しており、実態把握を困難にしている。規模人員についても諸説あり2014年現時点で5,900人で近年3,000人態勢から増員されたとの報道がある[1]その一方で中国系メディアでは3万人規模にて美林大学・牡丹峰大学・金日成軍事総合大学などで毎年1,000人ほどハッカー育成して増員している[2]ともあり、報道で数字にばらつきがある。2011年時点では、朝鮮人民軍総参謀部の「情報統制センター」が統括しており、実行部隊として偵察総局の「121局」、心理戦部隊として情報・心理戦を担当する同総局の「204局」、「情報偵察部隊」などがある[3]金正日総書記体制から設立されており、これまでも、北朝鮮の国家規模からは考えられない程の巨額資金と人員を投入しているとされ、小学生から才能ある人材を探してはスカウトし英才教育を施しているとされる[4]金正恩は特にサイバー戦を重視しており現体制に移って規模が倍増した[5][1]韓国に対して2009年7月、2011年3月、2013年3月20日、2013年6月に大規模なサイバー攻撃が行われている。2009年の際にはおよそ11万台のパソコンに不正侵入したとされ、韓国内の協力者が逮捕されている[6]。また、2013年3月の韓国大規模攻撃にはおよそ5万台のコンピュータが使用不能にされATMも停止した[7]。また、2014年5月から4か月間に2万台以上のスマホをハッキングしたと韓国政府は発表している[8]。なお、北朝鮮はこれら一連のサイバー攻撃について否定している。中華人民共和国武漢市などの学校で訓練や教育を受けているとする資料もあり[9]中国サイバー軍との連携の報道が存在する[10]。サイバー攻撃に重要な北朝鮮のネット回線は中国の国営企業である中国聯合通信が全て独占してきたが[11]、2014年に北朝鮮でネット障害が起きた際は米国の要請を受けた中国によるものとも報道され[11][12][13]国連の制裁に同調する中国によるネット遮断を恐れた北朝鮮は2017年からロシア企業にもネット回線を開設させた[14]。また、2018年の米朝首脳会談の前には中国サイバー軍と技術や外交情報の交換を積極的に行ってると報じられた[15]
沿革

1986年に軍指揮自動化大学(現・金一軍事大学)にて米国暗号解読に100人規模の組織が立ち上げられたのが最初とされる。

1991年には暗号解読と情報分析から湾岸戦争の正確な開始時刻を的中させ、それにより金正日が重要視するようになり、北朝鮮の大使館など出先機関に出向いてハッキング行為を開始した。

1996年に専門の部隊として北朝鮮労働党作戦部所属として本格的に設立された。当時コンピュータ委員会委員長だった金正男の後押しもあったとされている[9]。2009年に組織改編され人民武力部(国防省に相当)偵察総局傘下に統合された。

2014年12月23日には、金正恩が視察激励に訪れている事が朝鮮中央テレビにて報道されている。
名称

「北朝鮮サイバー部隊」「北朝鮮ハッカー部隊」「北朝鮮サイバーテロ部隊」あるいは「北朝鮮サイバー攻撃」など複数の呼び名で報道されており2014年時点では名称統一されていない。脱北者のチャン・セユルは取材にて、「サイバー攻撃は秘密戦争」と北朝鮮国内で語り合っていた事を証言[16][17]しており、秘匿性を重視している事が窺い知れる。そのため正式名称も不明な点が多く、また正式名称が判明しても組織改編や名称変更も多く各国報道機関などでの名称も統一を見ない。
部隊
121局

偵察総局に121局 (Bureau_121) と呼ばれる部隊が存在しており最精鋭とされる。2010年に所から局に昇格した[18][19]。この121局がソニーを攻撃したと報じられている[20]。この部隊に所属したものは、高級マンションを与えられるなど極めて優遇されるため多くの子供たちが競って技術を磨いているとの報道が存在する。なお、すでに増員により2師団に分割されているとの報道[21]も存在するが、詳細は不明である。

本拠地は平壌だが、中国国内にも複数の活動拠点を複数置いており、司令所は北朝鮮との国境近くで領事館もある中国遼寧省瀋陽市との報告があり[22][23][24]、瀋陽七宝山飯店が本拠地ともされる[25]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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