化学元素
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現代の化学での元素の説明。19世紀後半にその原型が提唱された周期表は、元素の種類と基本的な特徴や関係をその周期的な配列の中で説明する表である。

元素(げんそ、: elementum、: element)は、古代から中世においては、万物(物質)の根源をなす不可欠な究極的要素[1][2]を指しており、現代では、「原子」が《物質を構成する具体的要素》を指すのに対し「元素」は《性質を包括する抽象的概念》を示す用語となった[2][3]化学の分野では、化学物質を構成する基礎的な成分(要素)を指す概念を指し、これは特に「化学元素」と呼ばれる[1][4]

化学物質を構成する基礎的な要素と「万物の根源をなす究極的要素」[1]としての元素とは異なるが、自然科学における元素に言及している文献では、混同や説明不足も見られる[注釈 1]。「元素周期表」も参照
概要

古代から中世において、万物の根源は仮説を積み上げる手段で考えられ、その源にある不可分なものを「元素」と捉えていた[2]ヨーロッパで成立した近代科学の成立以降、物質の基礎単位は原子、とする理論が構築されてからは、原子は「物質を構成する具体的要素」、元素は「性質を包括する抽象的概念」というように変わった[2][3]

原子》は構造的な概念であるのに対して、《元素》は特性の違いを示す概念である[5]。具体的には、各元素の差異は原子番号すなわち原子核に存在する陽子の数(核種)で区分される。したがって中性子の総数により質量数が異なる同位体も同じ元素として扱われる[3]。これに対し原子は中性子の個数を厳密に捉える。したがって、元素とは原子の集合名詞ということもできる[2]電子の増減によって生じる状態であるイオンは、原子が電荷を帯びた状態として考えられる[6]。英語 "element" は「根本にあるもの」を意味する。他の用例では電気回路の「素子」も同じ単語が用いられる[5]

いろいろなモノが一体何からできているのかという疑問と考察は洋の東西を問わず古代からあり、物質観・自然観世界観と関連づけながらそれぞれの文明圏で体系がなされた。それらが「火」「水」「土」など自然現象から抽出された少数の「元素」であり、宗教と関連づけられることもあった[7]。物質の根源が(現在に似た方向で)体系づけられたことはアイルランド自然哲学者ロバート・ボイル(1627年?1691年)に始まるといわれる(彼の考え方が後の科学者[注釈 2]に共通認識として広がることになった)。彼は実験測定分析を重視し、それらの結果から「これ以上細かく分けられない物質」を元素と定義した[5]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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