匂い
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「臭い」はこの項目へ転送されています。臭い(くさい)については「悪臭」をご覧ください。

「匂」と「にほひ」はこの項目へ転送されています。襲の色目の匂(にほひ)については「襲の色目」をご覧ください。

においとは

空気中を漂ってきて嗅覚を刺激するもの[1](注. 『広辞苑』では嗅覚系の説明は2番目以降である)。

赤などのあざやかな色彩が美しく映えること[2]視覚で捉えられる美しい色彩のこと。「匂い」。

語義

まず『広辞苑』でどう解説しているか紹介する。次の順番で掲載されている。

赤などのあざやかな色彩が美しく映えること
[3]視覚で捉えられる美しい色彩のこと。「匂い」。

空気中を漂ってきて嗅覚を刺激するもの[1][4]

現代では後者のような、嗅覚を刺激され、人が感じる物質や感覚という意味で用いることの方が増えている。
表記.mw-parser-output .side-box{margin:4px 0;box-sizing:border-box;border:1px solid #aaa;font-size:88%;line-height:1.25em;background-color:#f9f9f9;display:flow-root}.mw-parser-output .side-box-abovebelow,.mw-parser-output .side-box-text{padding:0.25em 0.9em}.mw-parser-output .side-box-image{padding:2px 0 2px 0.9em;text-align:center}.mw-parser-output .side-box-imageright{padding:2px 0.9em 2px 0;text-align:center}@media(min-width:500px){.mw-parser-output .side-box-flex{display:flex;align-items:center}.mw-parser-output .side-box-text{flex:1}}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .side-box{width:238px}.mw-parser-output .side-box-right{clear:right;float:right;margin-left:1em}.mw-parser-output .side-box-left{margin-right:1em}}ウィクショナリーに関連の辞書項目があります。におい、匂、臭、香、薫、芳

「におい」は大和言葉で、漢字を当てる場合、基本的には「匂」「匂い」と表記する。ただし、「匂」は国字である。良いにおいを「匂い」、悪いにおいは「臭(にお)い」と書くことが多い[注 1]

良いにおい(匂い)は大和言葉で「かおり」や、漢語で「香気(こうき)」とも言う[5]。「かおり」に漢字を当てる場合は「香り」「薫り」「芳り」などであり、「芳香」といった熟語もある。いずれも当用漢字で、「芳」は表外訓などを当てる。
色彩

においには、赤などのあざやかな色彩が美しく映えることという意味がある[3]視覚で捉えられる美しい色彩のこと。「匂い」。

例えば『万葉集』には次のような歌がある。黄葉(もみじは)のにほひは茂し[6] -(『万葉集』10)

また『いろは歌』の冒頭でも「いろはにほへと(色は匂えど)」とある。

伝統的に花の雄蕊雌蕊をまとめて「におい」と言う。日本画友禅などの和柄、焼物漆器蒔絵、絞り細工など細工の花の中心部分のこと。奥により強い存在を感じさせる表に一部が表出したものを「匂い」と呼ぶ。
嗅覚の発生機構

五感のうちの嗅覚と味覚は、化学物質の刺激によってもたらされる感覚であり「化学感覚」と呼ばれることがある[7]
器官

物質の匂い分子空気によって運ばれ、から(食べ物の場合はから)嗅上皮に到達し、嗅上皮にある嗅細胞の粘膜になっているひげ状の嗅繊毛に付くことで匂い分子を捉え、嗅神経を通って大脳まで伝達される[7]
物質

においを持つ物質は約10万から40万種とされるが、リチャード・アクセルリンダ・バックの研究によると、そのうちヒトが感じ取ることができる匂い物質は1万種類程度であるのに対し、受け取る側の受容タンパク質の形は1,000種類ぐらいしかなく、一対一対応でないことがわかっている[7]

匂い分子には条件があり、大きな分子では空気中で運ばれず低分子である必要があり、かつ揮発性のあるものでなければならない[7]。また、粘膜への付着に関して、ある程度に溶ける必要がある[7]。さらに受け取る側の受容タンパク質との関係から、分子構造(立体構造)が鍵と鍵穴のように相互作用するものでなければならない[7]
嗅覚の感覚内容
主観的な分類
匂い・香り

においの中でも、特に好ましいものを「かおり」「香り」「香気(こうき)」「芳香(ほうこう)」と呼び分けることがある。

良い香りを身体・衣服・住居などに漂わせる文化は洋の東西を問わず古来あり、人々はハーブを採集したり、香水を発達させてきた歴史がある。たとえば、西洋では古代ローマで西暦1世紀頃に書かれたペダニウス・ディオスコリデスの書De Materia Medica(『薬物学』)には、「ラベンダーを蒸留して作るラベンダー油は他のいかなる香料もしのぐ香りだ」と記述され、着衣や髪につけて用いたり入浴剤などにも使われていたようである。それは現代でもフランスなど地中海沿岸の国々の家庭で盛んに用いられているし、東洋では香を探究してゆくうちに香道も行われるようになった。現在でも様々な芳香剤が開発・販売されている。

飲食においても匂い・香りは重要な要素である。人は口に入れたもの(食品・料理)を咀嚼しつつ、その香りも感じ取っている。人間は、香りの良い食材選びや、香辛料の使用、香りが良くなる調理法の選択などにより、匂いや香りの面でも食生活を充実させようと努力してきた。たとえば菓子などでも、同一の基本材料でつくるもので栄養価的にも、テクスチャー(かみごこち)面でも、何ら変わらないと分かっていても、(そして品種を増やすと、生産コストや輸送コストが増えてしまうことが分かっていても)菓子メーカーは、あえて様々な香り(フレイバー)のものをラインナップとして用意することで、人々の多様なフレイバーに対する需要に応えようとすることが(そして結果として総売上を伸ばすことが)広く行われている。人々は、口に入れるものの栄養価(あるいは空腹感を抑える作用)や かみごこち ばかりだけでなく、香り(フレイバー)も大いに楽しんでいるのである[注 2]

香水や芳香剤、洗濯用の洗剤柔軟剤のように、企業が良いにおいとして開発・販売する製品であっても、嗅ぐ人によっては香りが強過ぎると感じたり、不快な臭いとして心身に影響が出たりすることもある。これを現代の日本では、公害とかけて香害(こうがい)と呼ぶこともある。詳細は「香害」を参照
臭い・悪臭

不快なにおい、くさい(臭い)においは、現代では「臭気」と言う。「臭」という漢字をあて「臭い(におい)」とも書く。

臭いの中でも特に強い不快感をもたらすものを悪臭と言い、日本では悪臭防止法により規制対象となっている。また刺激性の化学物質が撒かれたり、物が腐敗したり、焼け焦げたりした時には「異臭」騒ぎと報道されることもある[9]

法律や条例による規制対象ではなくても、口臭加齢臭腋臭症を含めた過度の体臭洗濯していない衣服、喫煙などによる不快な臭いについて、トラブルの原因になったり、抑えることがエチケットとされたりする。悪意の有無にかかわらず、臭気で周囲を不快にさせることをスメルハラスメントと呼ぶ。

また上記のように、ある人が好ましいと感じて使っている芳香剤などが、別の人には不快感や身体症状を催させる香害問題も起きている[10]

悪臭や刺激臭は、腐敗や有害物質などの危険性を人間に知らせることも多い。近現代に開発された化学兵器には、無色無臭でありながら致死性が高いものもある。

一方で人間は、文化圏や嗜好が異なる人々が悪臭と感じるにおいを放つ発酵食品などを好んで食べたり[11]、好奇心から悪臭を嗅いでみたりすることもある。後者の例としては、アメリカ合衆国で開催されている「最も臭いスニーカーコンテスト」[12]ロッテン・スニーカー・コンテスト)があるほか、東京の池袋PARCOが2018年1?2月、シュールストレミングのにおいなどを嗅げる「におい展」を開催した[13]


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