本項では、日本の勲章(にほんの くんしょう)について解説する。 日本における勲章は、個人の功績や業績を国家が表彰するための制度として明治以降に整備された、叙位、叙爵(1947年廃止)、叙勲及び褒章の栄典、並びに賜杯や記章などのうち、叙勲に属する章飾とされている[1][2]。つまり、勲章は叙勲によって勲位などと共に与えられるものの一つである。栄誉を示すために身に着ける佩章で、賞勲局所管の法令によって定められるものには勲章の他に褒章及び記章があり、これらは総称して「勲章等」と表記される(「勲章等着用規程」(昭和39年4月28日総理府告示第16号)第1条)。 日本において勲章は、天皇の名で授与される[3]。日本国憲法第7条7号は天皇の国事行為の一つとして「栄典を授与すること」を定め、同条を根拠に「栄典」の一つとして天皇が勲章を授与する。栄典授与の実質的決定権について日本国憲法には明文の規定がないが、日本国憲法第7条の助言と承認及び行政権の主体であることから内閣が実質的決定権を有する[4]。 勲章制度を定める法律はなく、政令(政令とみなされる太政官布告、勅令)及び内閣府令(内閣府令とみなされる太政官達、閣令)に基づいて運用されている[3]。なお、栄典制度・叙勲制度に関しては、いくつかの点が議論となっている(栄典制度・叙勲制度に関する論点の節を参照)。 現在22種類存在する勲章[5]は、明治8年太政官布告第54号「勲章制定ノ件
概要
現行22種の勲章は、菊花章、桐花章、旭日章、瑞宝章、宝冠章および文化勲章に大別される[5]。菊花章(大勲位菊花章)と桐花章(桐花大綬章)は、「旭日大綬章又は瑞宝大綬章を授与されるべき功労より優れた功労のある者」に対して特に授与することができるものとされる[6]。旭日章、瑞宝章は「国家又は公共に対し功労のある者」に授与され、旭日章は「社会の様々な分野における功績の内容に着目し、顕著な功績を挙げた者」、瑞宝章は「国及び地方公共団体の公務又は…公共的な業務に長年にわたり従事して功労を積み重ね、成績を挙げた者」とその対象に違いが設けられている[6]。宝冠章は「特別ノ場合婦人ノ勲労アル者」に授与すると定められ(宝冠章及大勲位菊花章頸飾ニ関スル件1条1項)、現在は外国人に対する儀礼叙勲や皇族女子に対する叙勲など特別な場合に限り運用されている[7]。文化勲章は「文化ノ発達ニ関シ勲績卓絶ナル者」に授与される(文化勲章令、文化勲章受章候補者推薦要綱 (PDF) )。いずれも個人のみを授与の対象としており、団体・法人に授与されることはない。個人であれば、生存者であると死亡者であるとを問わない。また、日本国民であると外国人であるとをも問わない。
叙勲は、春秋叙勲、危険業務従事者叙勲、高齢者叙勲、死亡叙勲、外国人叙勲の区分がある[8]。