勝率(しょうりつ、英:winning percentage、WP)は、勝利した割合を表す。主に、グループ トーナメント方式の競技大会などで順位決定に使用される。割合であるため、勝点制と異なり試合数の違いに直接は影響されず、試合の消化数の違いに順位が直接的に左右されない利点を持つ。一方で後述の野球における順位決定のように定義によっては直感と異なる順位の変動が生じうる。 一般的な定義、または競技横断的に定義がなされているものではないが、簡単な例として試合数が有限回でその結果が勝利とそれ以外に分類できる場合、勝率 WP {\displaystyle {\text{WP}}} を、勝利した試合数を T win {\displaystyle T_{\text{win}}} 、試合数を T all {\displaystyle T_{\text{all}}} として、 WP := T win T all {\displaystyle {\text{WP}}:={\frac {T_{\text{win}}}{T_{\text{all}}}}} と定義することができる。 この方法が採用される例としてメジャーリーグベースボールにおける例や、将棋大賞における、勝率一位賞の選考が挙げられる。また、総当たりのリーグ戦において勝数を競う場合には、リーグ戦終了時の順位が勝率に基づく順位決定と一致する。 上記とは異なる勝率の定義としては以下を挙げることができる。 プロ野球や将棋などでは、十進法で「十分率」「百分率」「千分率」として算出される例が多い。この他、十進法以外が用いられることもある。十進法以外の例として、サイコロにおける六進法が挙げられる。サイコロでは、「10」となる六の目を「0」として、「0から555まで」「0から5555まで」というように出目や勝率を六進数で示し、1/6を「0.1」として「六分率」「三十六分率」「二百十六分率」「千二百九十六分率」として算出する。桁の最高値は、三桁の場合は 5556 = 21510 = 63?1 となり、四桁の場合は 55556 = 1295 引き分けが認められている競技の場合、多くは勝点制などが採用されており、勝率で順位決定を行うことは少ない。あえて勝率を使用する場合の計算方法として、以下のようなものがある。 もしくは勝利数 ÷ (勝利数 + 敗戦数)で求めることができる。 引き分け試合を省いて計算する方法。引き分け試合を成績の要素から排除しているように見えるが、実際はその影響が無視できない。 1引き分けを0.5勝0.5敗に換算する方法。引き分けのない場合と同様に、ゲーム差(貯金数・借金数 / 勝ち越し数・負け越し数)・マジックナンバーなどの指標が矛盾なく機能する。 引き分けを敗戦とみなす方法。他の基準と併用することがある(「勝率で並んだ場合は引き分け試合数の多い方を上位とする」など)。 引き分けを勝利とみなす方法。 競馬では、JRA賞でJRA賞最高勝率騎手・JRA賞最高勝率調教師の2つのタイトルが制定されており、日本中央競馬会によって表彰される。 順位選手名勝率 順位選手名勝率
計算方法
競馬では、レースで1着になることを勝利とみなし「勝利数 ÷ 参加レース数」で勝率を計算する。競馬の騎手の場合「勝利数 ÷ 騎乗数」、調教師の場合は「勝利数 ÷ 出走数」となる。
野球の投手の勝率は「勝利数 ÷ (勝利数 + 敗戦数)」で計算する(勝利数=勝利投手となった回数、敗戦数=敗戦投手となった回数)。
競艇においては、選手の「着順点の平均値」を勝率と呼んでおり、その他の競技と大きく異なる。この場合の計算式は「着順点の合計 ÷ 出走回数」である。
引き分けの扱い
引き分けを除外勝利数 ÷ (試合数 - 引き分け試合数)
特徴:
引き分け試合数が増えるにつれて、1試合の勝敗の持つ意味が増大する。このためゲーム差を指標として使えない[1]。(例)Aチーム92勝50敗1分(貯金42)勝率.648、Bチーム87勝47敗9分(貯金40)勝率.649とBチームがマイナス1ゲーム差で上位となる。
極端な例ではAチーム1勝142分で勝率1.000、Bチーム142勝1敗で勝率.993となり、Aチームが上位となる。
2つの試合を2引き分けと1勝1敗になった場合を比較すると、勝率が5割超の場合は2引き分けの方が勝率が高くなり 勝率が5割未満の場合は1勝1敗の方が勝率が高くなる。(例)Aチーム86勝54敗3分(貯金32)勝率.614、Bチーム87勝55敗1分(貯金32)勝率.613とAチームが上位となる。また、Cチーム64勝76敗3分(借金12)勝率.457、Dチーム65勝77敗1分(借金12)勝率.458とDチームが上位となる。
総試合数が充分に多くないと、問題のある結果を導くことがある(勝率10割・0割の場合、それぞれ「引き分け=勝利」「引き分け=敗退」となる)。
(勝率10割または0割の場合を除き)成績の異なる2者が、同率で並ぶことは少ない。
全試合引き分けの状態では、勝率が計算できない(別に定義する必要がある)。
採用例:
日本プロ野球で現用。
韓国プロ野球で現用。
NFLで1972年度まで使用されていた。[2]
0.5勝0.5敗に換算{勝利数 + (引き分け試合数 × 0.5)} ÷ 試合数
特徴:
1勝の価値が常に同じとなり、"ゲーム差" と "勝率上の差" との間に誤差が生じない。
「勝利=2点・敗退=0点・引き分け=1点 の勝点制」の、暫定順位の問題を解消したものとみなせる。
最終消化試合数が異なる場合に矛盾が生じる場合がある。(勝率5割超の例)Aチーム20試合15勝5敗(貯金10)勝率.750、Bチーム22試合15勝5敗2分(貯金10)の場合16勝6敗換算になる事で勝率.727とAチームが上位となる。(勝率5割未満の例)Cチーム22試合9勝13敗(借金4)勝率.409、Dチーム24試合9勝13敗2分(借金4)の場合10勝14敗換算になる事で勝率.417とDチームが上位となる。同勝利数・同敗戦数で引き分けが存在するか否かの場合のみに矛盾が生じる事になる。
採用例:
日本プロ野球で1956年から1961年まで使用されていた(ただし1959-60年はセントラル・リーグのみ)。
プロ野球サントリーカップ(1999, 2000)で採用された。
韓国プロ野球で2003年から2008年まで使用されていた(ただし2003-04年は勝利数優先)。
2006 ワールド・ベースボール・クラシックで採用された。
日本の大学野球で現用になっている例がある(北東北大学野球連盟など)。
NFL(1972年度より)
負け試合として扱う勝利数 ÷ 試合数
特徴:
引き分け = 敗退
「勝利=1点・敗退=0点・引き分け=0点 の勝点制」または「勝利数で順位を決定する方法」の、暫定順位の問題を解消したものとみなせる。
リーグ全体の平均勝率が5割以下となる。このため、極端な場合「勝率5割未満で単独首位」という状況も起こり得る。
採用例:
韓国プロ野球で2009年から2010年まで使用されていた。
勝ち試合として扱う(勝利数 + 引き分け試合数) ÷ 試合数
特徴:
引き分け = 勝利
「勝利=1点・敗退=1点・引き分け=0点 の勝点制」または「敗北数で順位を決定する方法」の、暫定順位の問題を解消したものとみなせる。
リーグ全体の平均勝率が5割以上となる。このため、極端な場合「勝率5割以上で単独最下位」という状況も起こり得る。
採用例:
競馬で実質的に採用されているが、競技の特性上ほぼ確実に敗者が複数現れるため、「勝率5割以上で単独最下位」という可能性が問題視されていない。
勝率に関するタイトル
NPBの投手成績詳細は「最高勝率 (野球)」を参照
JRAの騎手、調教師成績
日本プロ野球
個人通算記録
1藤本英雄.697
2稲尾和久.668
3斎藤雅樹.652
4杉内俊哉.648
5和田毅.645
6杉浦忠.638
7杉下茂.636
8別所毅彦.635
9V.スタルヒン.633
10山田久志.631
11野口二郎.630
12若林忠志.62204
13中尾碩志.62202
14荒巻淳.618
15皆川睦雄.614
16工藤公康.612
17西口文也.607
18北別府学.60169
19村山実.60162
20大野豊.597
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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