動力織機
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織機(しょっき、おりき、英語:loom)とは、織物へと織りあげる機械[1]。「はた[2]」とも。「機」と漢字一字でも「はた」と読ませる。
概要

織機は織物に織りあげる機械のことで[1][3]、経糸(たていと)に緯糸(よこいと)を交互に組み合わせる織り(製織工程)を機能的に行う機械の総称である[1]

織りの技術は主に農耕民や牧畜民によって伝承されてきたもので[4]、密度の高い織物組織を効率よく織り上げるには織機の使用が不可欠とされる[4]。@media all and (max-width:720px){.mw-parser-output .mod-gallery{width:100%!important}}.mw-parser-output .mod-gallery{display:table}.mw-parser-output .mod-gallery-default{background:transparent;margin-top:.3em}.mw-parser-output .mod-gallery-center{margin-left:auto;margin-right:auto}.mw-parser-output .mod-gallery-left{float:left;margin-right:1em}.mw-parser-output .mod-gallery-right{float:right}.mw-parser-output .mod-gallery-none{float:none}.mw-parser-output .mod-gallery-collapsible{width:100%}.mw-parser-output .mod-gallery .title,.mw-parser-output .mod-gallery .main,.mw-parser-output .mod-gallery .footer{display:table-row}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div{display:table-cell;text-align:center;font-weight:bold}.mw-parser-output .mod-gallery .main>div{display:table-cell}.mw-parser-output .mod-gallery .gallery{line-height:1.35em}.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div{display:table-cell;text-align:right;font-size:80%;line-height:1em}.mw-parser-output .mod-gallery .title>div *,.mw-parser-output .mod-gallery .footer>div *{overflow:visible}.mw-parser-output .mod-gallery .gallerybox img{background:none!important}.mw-parser-output .mod-gallery .bordered-images .thumb img{outline:solid #eaecf0 1px;border:none}.mw-parser-output .mod-gallery .whitebg .thumb{background:#fff!important}

垂直織機。垂直織機はおそらく最初に発明されたものである。(トルココンヤにて)

腰機、つまり2つあるビーム(布や糸をまきつける棒)の片方を腰にとりつける織機。(バングラデシュにて)

足踏織機つまり足で綜絖の上下を操作する織機(日本、1914年)

基本原理水平織機の仕組み。左右の2本のビームの間に経糸が張られている。aがまだ織られていない経糸を巻くためのビーム。v が織られた布を巻くビーム。中央部は緯糸を通すための器具類。布を織る人は左側、vのほうに座る。 手順の概略を解説する。
準備 まず、織る作業の前に、経糸を織機にセットしなければならない。布を織り始める前に、まず、多数ある経糸をすべて c の綜絖の眼(経糸を通すための小さな穴)に通す作業をしておかなければならない。
もっとも基本的な織りかたである平織について解説すると、c の綜絖(そうこう、ヘドル、heddle)は2つある。多数ある経糸は、1枚目と二枚目の綜絖を交互に通す。ふたつの綜絖を仮に[綜絖1]と[綜絖2]と呼ぶとしたら、ある経糸を [綜絖1] の眼に通したら、その隣の経糸は[綜絖2]の眼を通す。さらにその隣は [綜絖1]… といった調子で交互に通してゆくのである。(#準備作業と後始末も参照)
織り(横糸を通す作業)
@ e が踏み板(ペダル、pedal / treadle)で、これの片方を踏むことで、前述の綜絖の一方が上がり、同時にもう一方の綜絖が下がり、経糸は一本おきに交互に高低差ができる。経糸を横からみると、織る人の手元を頂点とした長い三角形の空間(三角形のトンネルのような空間)ができることになる。
Aそのトンネルの中を通るように、i のシャトル(杼、ひ)を、スナップをきかせて投げ通す。これによって、緯糸を通すのである。
B緯糸を通し終わったら、通したばかりの緯糸について、(一旦その端をつまみ、身体から遠ざかる方向に一定の「遊び」をつくっておいてから)他の緯糸と平行にするために、h の筬を手前に1度?数度 打ち込む。
C ペダルを踏み替え、経糸の交互の上下を入れ替える。
あとはA?Cを繰り返すことで、布を織ってゆく。 ある程度の長さ(数センチ程度)布を織ったら、vのビームを回転させ布を巻きとり、綜絖との間の距離を調節する(三角形のトンネルが長さが小さくなりすぎないようにする)。「杼口」(ひぐち)と呼ばれるシャトルを投げ入れるトンネル状の空間の入口が分かる写真。4つのシャフトのある織機を裏から見たところ。色鮮やかな経糸が、銀色の金属棒(綜絖、そうこう)に開けられた「目」に通されている。経糸は上下に分けられているが、この菱形(というよりその半分の三角形)の空間「杼口」に、緯糸を巻いたシャトルが投げ入れられる

織物(おりもの)というものは前後に張り渡した糸「経糸(たていと、warp)」に、左右方向の糸「緯糸(よこいと、woof、weft)」を交差させて作るものである。織機はこれを行うための機械である。経糸はビーム(beam)と呼ばれる横棒2本の間に張られ、その間に緯糸を通すための(ひ、シャトル、shuttle)、経糸の間に杼が一気に通る隙間(杼口、ひぐち、shed)を開けるための綜絖(そうこう、ヘドル、heddle)、綜絖を固定する綜絖枠(シャフト、shaft)、綜絖枠を上下させ経糸を開口させる踏み板(ペダル、pedal / treadle)、経糸の幅や密度の決定と開口し上下に分かれた経糸の間を左右に通した緯糸を打ち込むための、櫛の目が並んだような形態の筬(おさ、リード、reed)などが配置されている。

なお、手織機の型式や構造や構成部品については通文化的な研究が少なく、国際的に統一された用語が確立されていなかったり、用語の設定の違いによる混乱が指摘されている[4]。日本国内でも染織分野と従来の民族学では「単綜絖」の意味に違いがあることが指摘されている[4]
基本動作

次の3つの動作が織機の基本動作となっており、この基本3動作を繰り返して織物は作られる。
((杼口を開ける)) - ペダルを踏み、経糸を上下に分けて、その間を一気に緯糸が通ることができるよう杼口を開口する。(※)

((杼を通す)) - 開口した経糸の間に、杼(ひ、シャトル)につないだ緯糸を入れて反対側へ届かせる。

((打ち込み)) - 通った緯糸を筬(おさ、リード)で手前へ打つことで経糸と緯糸をしっかりと組む。

その他、ときどき行う基本動作としては次のものがある。

織り終わった布を手前の<< クロスビーム >>(cloth beam、千巻、布巻)を回転させて巻き取る動作、およびそれと連動して 奥の<< 経糸ビーム >>(warp beam、緒巻、男巻、経糸巻、千切り)を回転させて巻経糸(巻かれているたていと)を送り出す動作。2つのビームは基本的に連動するように回転させる。片方だけ回転させると、経糸がつっぱってしまったり逆にたるんでしまったりする。

なお杼口を開ける際に、どのようなパターンで経糸を上げ下げするかで布目(糸の上下による模様)が変化する。あらかじめ2つだけ綜絖を用意し経糸をひとつおきに通しておいて織る際に経糸1本おきに上下させて経糸と横糸が単純に交互に組み合わさるようにすると、もっとも単純なパターンの平織ができる。綜絖を3つ以上使うと経糸を複雑なパターンで上下でき複雑な織りができる。斜文織朱子織はこのように作られる。もう少し理論的に説明すると、たとえば綜絖A,B,Cがあるとすると、上に上げる綜絖の組み合わせのパターンとしては、「Aだけ」「Bだけ」「Cだけ」「AとB」「AとC」「BとC」の総計6パターンを選べる。(ちなみに3つの綜絖を全て上げたり3つの綜絖を全て下げたりしてしまうと杼を通すための「杼口」ができず織れないのでそのパターンは除外され、結局この6パターンになる)。綜絖を4枚にするとさらに組み合わせパターンが増え、織れる布目(模様)の種類が増える。織機はこうして複雑化してきた。経糸に数種類の異なった色のものを用意し、上下させるパターンを変化させると、表側から見える色彩的パターンも変化する。織りはこうして複雑化してきた。
準備作業と後始末

織る前には、準備作業として次のような作業を行う。
整経(せいけい、warping) - これは、数百本におよぶ経糸を、整経台に順番どおり巻いてゆき、20本などごとに糸でまとめてばらつかないようそろえてゆく作業である。

仮筬(かりおさ、pre sleying) - 整経台から外した経糸の束を筬に一本ずつ通して筬の幅にそろえ、経糸を通した筬を織機の筬枠にはめる。

ビーミング(beaming) - 経糸を経糸ビームへ、平行に、均等な力で、ゆるまないように巻いてゆく。

綜絖通し(そうこうとおし、threading): 綜絖をシャフトに並べて織機にはめこみ、組織図(設計図)の通りに経糸が緯糸と織り込まれるよう、経糸を一本一本綜絖の目に通してゆく。

筬通し(おさとおし、sleying): 仮筬のときと同様、経糸を筬に通す。

タイアップ(tie-up) - 組織図どおりに布が織れるように、綜絖と踏み板(ペダル)を連結する。

経糸結び(たていとむすび、tying) - 経糸の束を張りを確かめながらクロスビームに結ぶ。

緯糸巻き(よこいとまき、winding) - 緯糸の一方を小管(こくだ、
ボビン)に紡錘型に巻き、巻いたボビンを杼(シャトル)の中にセットする。

これらが終わった後に織り始めを行い、織り終われば両端を切断し、端の経糸を数本ずつ巻いてフリンジにするなどの始末を行う。
織機の分類
人力織機と動力織機

織機には人力で織る手織り機(手機(てばた))と、機械の動力で織る力織機(りきしょっき)がある[5]。分類上、この動力の有無は人力織機と動力織機(力織機)に分けられる[4]

動力のない織機を人力織機といい、人力織機はさらに手織機と足踏織機に下位分類される[4]
垂直織機と水平織機

経糸が床に対して垂直に張られる垂直機(垂直織機、竪機、たてばた、vertical loom)と経糸が床に対して水平に張られる水平機(水平織機、すいへいばた、horizontal loom)のような分類もある[4]。しかし垂直機と水平機のような外見的特徴だけの分類法は相互の境界を明確にすることが困難という問題点がある[4]
その他特殊用途の織機
haute lisse、タペストリーを織る垂直織機

リボン織機 - リボンはオランダのリントモーレン(Lintmolen)という小幅の織物専用の手織機によって作られたことに由来する[6]

タペストリー織機 - タペストリーペルシャ絨毯を織る織機は、ほとんどの織機とは違い垂直織機である。伝統的なタペストリー織機は「haute lisse」と呼ばれ、緯糸が二本のロールの間に垂直に張られている。一方、緯糸が水平になっている、「basse lisse」とよばれるタペストリー用水平織機もある。

人力織機の歴史
手織機
経糸おもり織機経糸おもり織機の例。


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