勇者ライディーン
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勇者ライディーン
ジャンル
ロボットアニメ
アニメ
原作鈴木良武
監督富野喜幸(第1話 - 第26話)
長浜忠夫(第27話 - 第50話)
キャラクターデザイン安彦良和
メカニックデザイン村上克司
スタジオぬえ
音楽小森昭宏
製作NETテレビ東北新社
放送局NETテレビ
放送期間1975年4月4日 - 1976年3月26日
話数全50話
テンプレート - ノート
プロジェクトアニメ
ポータルアニメ

『勇者ライディーン』(ゆうしゃライディーン)は、1975年(昭和50年)4月4日から1976年(昭和51年)3月26日まで、金曜日19時00分 - 19時30分にNETテレビ系列で放送されたテレビアニメ。全50話。

この時間枠は長らくMBS担当だったが、1975年3月31日の「ネットチェンジ」によってNETが獲得。関西地区では朝日放送に系列局が変わり、第2期ウルトラシリーズの最終作となった『ウルトラマンレオ』終了後に本番組が始まった。

企画東北新社、アニメーション制作は創映社広告代理店旭通信社、主提供スポンサーポピー。創映社による初のロボットアニメで、前作『ゼロテスター』の制作スタッフが担当し後の路線の礎となった。安彦良和は本作で初めてキャラクターデザインを担当した。
作品解説
製作経緯

東北新社当時社長の植村伴次郎の「東映動画ではマジンガーZをやって儲かっているから、でかいロボットをつくればいい」の一言から本作品の企画は始動した[1]

目標は「マジンガーを越える」ことに据えられた[2]。ただし関係者によって若干の意識相違はあり、富野喜幸は「マジンガーZとゲッターロボを越える」、安彦良和は「グレートマジンガーを越える」であったと述べている。ただ、いずれにしても当時は『マジンガーZ』の続編『グレートマジンガー』が苦戦状態にあり、ただ似せただけではヒットしない[3]ことは明白だったため、従来のロボットアニメ作品に使われていない、斬新な設定、物語、キャラクターデザイン等の導入や開発が図られた。

主役ロボットには後述の外見意匠上の差別化だけでなく、玩具会社提案を積極採用した結果としての比較的無理の少ない別形態への変身能力付与、それ自体が未知の古代文明による兵器であること、ロボットが搭乗者を選ぶこと、いわゆる乗り物操縦でなく搭乗者の身体動作をなぞって動作すること、光線兵器が強力な切断力をも合わせ持つ等の設定が与えられた。

物語・演出面では伝奇/オカルト要素、古代王家の子孫という貴種流離譚要素、消えた母への思慕や高貴で美形な敵役の配置といった舞台劇ではオーソドックスなドラマ要素の導入、ロボット物未経験の富野喜幸長浜忠夫の監督起用が図られた。脚本は五武冬史のほか、伊上勝高久進辻真先らが担当した。

ライディーンという名称は、江戸時代の力士「雷電」をもじった物[4]。放映開始前には当時の人気雑誌『テレビマガジン』誌上で主役ロボット名の投票が行われた。候補は「ザマンダーキング」「エメランダー」と「ライディーン」。「ザマンダーキング」は本作の企画段階の名称。「エメランダー」は決定済みだった彩色ではなく、緑塗装版のイラストを掲載したことによる。
受容と影響

放送後、関連商品はヒットし、ポピーの売上は『マジンガーZ』を越えた[5]。その利益は東北新社を潤したが、制作請負の創映社には回ってこず、この不満が後年の同社の独立のきっかけともなった[6]

安彦良和の描く、細くはかなげな主人公[7]と美形敵役シャーキンは、多くの女子ファンを獲得した。参加資格が女子中高生のみで男子禁制の「ライディーンファンクラブ・ムートロン」なども存在し、会員数は最盛期に1000人を越えた。ファンは制作スタジオに押しかけたり、第27話でシャーキンが死んだ際には、長浜宛にカミソリ入りの恨みの手紙が多数届いた[8]

シャーキンは以後のサンライズが自社作品に頻出させる美形悪役の始祖であり、後年の『機動戦士ガンダム』の有名キャラクターであるシャアの名もシャーキンにあやかっている[9]
ストーリーの伝奇性と監督交代劇

当時のユリ・ゲラー出演番組などに代表される超常現象ブームに便乗する形で、チーフ・ディレクターの富野喜幸が『海のトリトン』でも得意とした伝奇ロマンを狙った企画だった。しかし、ロボットアニメというジャンルへの気負いもあり、伏線やキャラクター設定を活かしきれず、シリーズ展開も混迷した末に監督の交代へと至った。更にはそのオカルト路線が、NETテレビの株主・朝日新聞の「スプーン曲げなどのオカルト(超常現象)ブームには迎合せず、徹底批判する」という当時のキャンペーンに反していたことで、その内容から超常現象などの描写を封じる路線変更を余儀なくされた。

この経緯について後年、富野はインタビューで述懐している。本作は元々、先行する『マジンガーZ』『ゲッターロボ』等と差別化を図るため、スポンサーの了承の下でオカルト設定を取り入れて企画された。しかし、第3話までの作画・1クール(第13話)までの話が固まったところで、後から決まったNETプロデューサーからオカルト色排除の業務命令が出された。やむなく第4話から路線転換を図り、コミカルな要素も盛り込んだ痛快活劇の王道への修正を行うが、その後も「ちゃんと直っていない」と更なる直しを要求するNET、「局の言いなりになるな」と反発する制作現場、代理店、スポンサー等、富野の元にはそれぞれの立場からバラバラの要求が出される。板挟みになった富野はこれらをまとめ切れず、騒動の責任を取らされて降板させられた[10]

だが、脚本の五武冬史と富野に代わって監督となった長浜忠夫の頑張りで明朗な物語を紡ぎ出し、後に「長浜アニメ」と称される路線を確立した。富野自身も後任となった長浜の下で引き続き制作に関わり、その演出を見てかなりの影響を受けたことを述べるなど、後の『無敵超人ザンボット3』から始まり、『機動戦士ガンダム』を経て開花した、富野ロボットアニメの萌芽をうかがわせる作品となった。また、皮肉にも交代後の長浜の下で、ムー帝国の遺跡の出現、ムー帝国の末裔の登場といった伝奇性の強い演出が行われ、物語の進行にインパクトを持たせる結果となる。
主人公ロボットデザイン

前述のように本作は『マジンガーZ』を強く意識しており、マジンガーが黒、悪人顔、西洋甲冑、飛び道具による遠距離戦などのイメージを持っていたのに対し、ライディーンはトリコロール(赤、青、白)、善人顔、日本甲冑、接近戦(チャンバラ)というイメージである[11]。いずれもリサーチの結果、『マジンガーZ』が当時の子供達に不評だった点を『ライディーン』で修正した。

大鎧ベルボトムツタンカーメンのマスクと(変形時)がモチーフになっている。デザインは安彦良和とポピーの村上克司との共同によるもので、クリンナップは安彦が行った。以後に通例となるポピー側からのマスターデザインの提示はなかったようで、安彦は「とにかく白紙からやらされたっていう覚えはある」と語っている[12]

村上克司によると『仮面ライダー』のような変身による二面性をロボットに持たせようとした結果、鳥に変形することを思いついたそうである[3]

2006年にはアサヒ飲料缶コーヒーWONDA 100年BLACK」(現・BLACK WONDA ?ブラックワンダ?)のTVCMに数秒間、モノクロの映像で登場した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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