「勅令」とは異なります。
この項目では、法学における「ロイヤル・チャーター」について説明しています。19世紀のイギリスの蒸気船については「ロイヤル・チャーター
」をご覧ください。勅許(ちょっきょ、英: royal charter)または勅許状(ちょっきょじょう)とは、君主が、大権に基づき発する公的な認可である。英米法系の国々と、日本などの国では法的位置付けが異なる。
英米法系の国々においては、歴史的には公法の公布のために用いられてきた。最も知られた例はイギリスの1215年のマグナ・カルタ(またの名を大憲章、英: great charter)である。14世紀以降は、個人または団体に法的な権利または法人格を与える私法としてのみ用いられてきた[1][2][3]。自治体(自治体勅許(英語版))、大学や学会などの重要な組織の設立のため用いられることもあり、この点は現代においても同様である。
勅許は、御用達や 紋章の授与(英語版)[注釈 1]とは異なる[4][5][6][7]。イギリス王室がこれまでに発した勅許の数は1,000以上にのぼる(英語版)[5]。このうち約750の組織は現在においても存続している。
記録上最も古い勅許は、1231年にケンブリッジ大学の設立を認可したヘンリー3世のものである[8]。 さらに古い勅許として、ロンドンの織布工名誉組合(英語版)(1150年)[9]や、スコットランドのテイン(英語版)(1066年)[10] に関するものが知られている。イギリス国王による勅許の発行は現在でも続けられており、近年においては2014年に勅許人間工学協会(英語版)に与えられている[11]。 中世ヨーロッパにおいて、勅許は町・自治体・都市などに権利や特権を与えるために用いられてきた。勅許によって地方自治体を組織化するという考え方は、14世紀から15世紀にかけて発展した[12]。 過去存在しまたは現在も存在する勅許団体には、東インド会社(1600年)、ハドソン湾会社、スタンダードチャータード銀行、P&O、南アフリカ会社、北アメリカのイギリス植民地のいくつか、リヴァリ・カンパニー、イングランド銀行、そして英国放送協会(BBC)などがある。 14世紀から19世紀にかけて、勅許は勅許会社の設立に用いられた。すなわち、株主を有する営利目的の企業体で、探検や、貿易や植民地化を目的とするものである。この種の会社に対する初期の勅許は貿易の独占を認めることが多かったが、17世紀にはその権限は議会のみが有することとされた[13] 。19世紀の終わりまで、法律による以外に唯一会社を設立する方法であった。イギリスにおいては、1844年登記法
沿革
組織の設立に勅許を用いたことにより、「時効による設立(英: corporation by prescription)」の考え方が生み出された。これにより、超記憶時代(英語版)から存在していた組織も、「失われた勅許」という法的擬制を用いることにより法人として認められた[16]。