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陰茎の勃起
ヒトの陰茎の勃起(左が勃起時、右が通常時)
男性器の解剖図
ラテン語erectione
英語Erection
器官陰茎
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勃起(ぼっき、英: erection)は、陰茎・陰核・乳首が硬く大きくなる生理現象。
勃起は心理、神経、血管系、内分泌系などの要因の相互作用により引き起こされ、必ずではないが、性的興奮にも関係している。無意識的に起きることもある。
陰茎の勃起
ヒトの陰茎勃起ヒトの陰茎の勃起
通常状態では柔軟で、男性の股間に懸下している陰茎は、勃起状態
で太く長く硬くなり前方へ突き出ることで、性行為の時に女性器に挿入することが可能となる。常に不十分な勃起状態にしかならない疾患を勃起不全(ED)と言い、硬度の不足によって膣に挿入することができず、逆に膣圧に抗えず押し戻されてしまい膣性交が不可能となるため、治療が必要である。ヒトの勃起は、陰茎内部の海綿体に血液が溜まり、血液を排出する静脈が調節され、内部の圧力が上昇することによって支えられる。これは陰茎内圧の上昇によって行われるため、当然伸縮性のある陰茎は内圧の高まりに拠って非勃起時よりも太くなる。普段の血圧では内部構造の関係で鬱血しないようになっている。
陰茎への機械的刺激の他、視覚刺激や想像などにより大脳皮質から引き起こされることもある。
主に思春期に入り第二次性徴が始まると、性に対する知識や興味が増え頻繁に勃起するようになる。また、思春期前でも、触るなどの外的刺激を受ければ陰茎は勃起する。露骨な性的表現を含んだ画像があります。
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(モバイル版の場合はタップして表示)。被服の上から確認できる勃起した陰茎の例
勃起した状態は被服の上からでも外見によってわかる場合があり、特に水着やジャージ、短パン、ブルマー、レオタードなど、身体にフィットした体操着や被服を着用する機会の多い児童、生徒、学生においては目立つことがある。勃起した陰茎によって被服下腹部の布地が直線状あるいは突起状に隆起することを指して「テントを張る」とも形容される。
本人や周囲の者の年齢、周囲の者の性別、嗜好、TPOなどによって受け止められ方は異なるものの、勃起した陰茎は女性器(膣)への挿入(性交)の準備が整った状態であり、性的興奮と関連付けられるため、勃起していることを周囲に知られることは、からかいの対象となったり、気恥ずかしい雰囲気、気まずい雰囲気、あるいは不快感を与えたりすることがあり、露骨にわかる状態はセクシャルハラスメントとして受け止められることがある。状態によっては、陰茎のサイズの大小や亀頭冠の発達度合いが他人に知られる場合もある。
ヒトの陰茎。陰茎内部の海綿体は柔軟でスポンジのような構造である。ここに血液が充満し硬度を保つ。右上の簡略図の位置が勃起状態における陰茎の位置で上方に向く。
ヒト陰茎の断面。勃起時の陰茎を支える「陰茎海綿体」の他、尿道が陰茎内部や挿入時の圧力で閉塞しないよう尿道を支える「尿道海綿体」がある。
勃起時の陰茎の長さには、個人差が見られるが、あるドイツ人研究者の統計によると平均で13.6cm程度、ダイヤグラム・グループの調査によれば平均15.6cm程度で、90%の男性は12.5cmから17.5cmの範囲に収まるとなっている。また、小学生でも高学年で勃起時の長さは7?14cmとされている。[1](詳細は、ヒトの陰茎のサイズを参照)。ただ、平均より小さくとも女性の膣の長さは7cmから10cmほどなので、生殖行為としての性行為には支障はない。勃起時の長さ・太さ・膨張率は人によってまちまちで、平常時(非勃起時)の長さ・太さが同じでも、勃起時の長さ・太さは同じにはならない。一般に、若いほど勃起時の陰茎の角度が急となり、加齢とともに角度が緩やかになっていく傾向がある。角度は以下のような統計がある。真上を向き腹につくのを0°とし、水平が90°、真下を向くのが180°である。露骨な性器を含んだ画像があります。
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(モバイル版の場合はタップして表示)。さまざまな成人男性の陰茎の勃起角度や形状の実例
勃起の角度の統計[2]角度(o)%
0から305
30から6030
60から8531
85から9510
95から12020
120から1805
真っ直ぐしているかどうかは、くせづけなどで変化する。たとえば1970年代には上向きに反り返っているのが珍しいといわれ、1980年代には右曲りが普通と逆で珍しいといわれた。[注 1]
また、平常時亀頭に包皮が被っていても、勃起または勃起時に指などで根本方向に引っ張り、ずり下げれば包皮が反転し亀頭が露出し、痛みを伴わない状態を「仮性包茎」と呼び、日本人には一定割合で存在するとされるが、この仮性包茎は性行為の上では全く問題はない。膣内で亀頭が膣壁と包皮で同時に刺激を受けるので早漏になりやすいという俗説もあるが、これはまったく医学的根拠がない。挿入前に包皮を剥いておけば膣内で包皮が戻ることはなく、包皮によって無駄に性的な刺激が加わることはない。コンドーム装着時は包皮を剥いた状態で装着しなければ、挿入時に脱落してしまう危険性がある。
包茎(真性包茎)や嵌頓包茎の場合は、包皮口が狭く、亀頭の露出に困難が生じ、健康保険適用の治療もなされる疾患である。自分で根気よく皮を伸ばすなどして修正できないわけではないが[注 2]、段階的に時間がかかる方法である。一方の仮性包茎とされる陰茎は、治療の必要性はないため包皮切除手術に健康保険は適用されず、そもそも手術の必要性もない。性交時のデメリットも、上記のコンドームの脱落は剥いた状態で正しく装着すればほぼ防げ、恥垢や臭いで相手が嫌がるケースも、性交前に洗うことで容易に解決する。
朝勃ち詳細は「夜間陰茎勃起現象」を参照
睡眠のメカニズムにより、性的な夢を見た性的興奮や自意識とは関係のない状態でペニス(陰茎)が勃起することがある。 ヒト以外の動物については、陰茎骨という骨を持ち、この骨が筋肉の働きに拠って陰茎を伸ばすものも見られる。クジラなどの海洋哺乳類では、普段陰茎は皮下にS字状にしまいこまれた状態で埋没しており、性交時にはこの陰茎骨が陰茎を突き出させる。 亀頭球は、イヌ科の陰茎基部に見られる丸く膨らんだ部位[3]。勃起時に膨満することで、交尾時に陰茎が抜けないようにし、膣内が精液で満たされやすくする役割を持つ。 ヒト陰茎は勃起時に強い衝撃を受けると内部の圧力を支える白膜が「裂ける」ことがある。これを陰茎折症または陰茎骨折という。その過半数程度は自慰や性交時に急に折り曲げたりなど無理な圧力が掛かることで発生するが、骨折一般と違い骨が損傷しているわけではないものの、白膜が裂ける瞬間はそれと分かる「何かが折れる」ような音がする場合もあるといわれている。この場合は外科的に手術で治療しないと勃起障害などの原因となる[4]。
動物の陰茎勃起
亀頭球「亀頭球」も参照勃起したラブラドールレトリバーの陰茎。基部の膨らんだ部位が亀頭球。
陰茎折症