労働者派遣事業
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「派遣労働者」はこの項目へ転送されています。その他の派遣については「派遣」をご覧ください。

アウトソーシング」あるいは「業務請負」とは異なります。
OECD定義による一時雇用者の割合[1]有期労働契約、派遣労働、季節労働日雇いなどが含まれる。

労働者派遣事業(ろうどうしゃはけんじぎょう、英語: Temporary employment agency services[2])は、職業紹介事業の一つである[3]。雇用の分類においては一時雇用者(Temporary workers)に分類される[4]。人材派遣(じんざいはけん)、労働者派遣(ろうどうしゃはけん)とも呼ばれる。

派遣元となる人材派遣会社(英語: Temporary work agency[4])に登録している労働者を、派遣先(取引先)となる事業所へ派遣して、かつ派遣先担当者の指揮命令のもとで派遣労働を提供する雇用形態のことである[5]。こうした雇用形態で働く労働者を派遣労働者(はけんろうどうしゃ)と呼び、俗語では略して単に「派遣」と呼ばれることもある。
国際労働条約

国際労働条約181号においては、労働者派遣事業を許可もしくは届出制とし、公的保護を与えるよう規制している。日本はこれを批准している。

第一条1 この条約の適用上、「民間職業仲介事業所」とは、公の機関から独立した自然人又は法人であって、労働市場における次のサービスの一又は二以上を提供するものをいう。(b) 労働者に対して業務を割り当て及びその業務の遂行を監督する自然人又は法人である第三者(以下「利用者企業」という。)の利用に供することを目的として労働者を雇用することから成るサービス

第十一条 加盟国は、国内法及び国内慣行に従い、第一条1(b)に規定する民間職業仲介事業所に雇用される労働者に対し次の事項について十分な保護が与えられることを確保するため必要な措置をとる。 (a) 結社の自由 (b) 団体交渉 (c) 最低賃金 (d) 労働時間その他の労働条件 (e) 法令上の社会保障給付 (f) 訓練を受ける機会 (g) 職業上の安全及び健康 (h) 職業上の災害又は疾病の場合における補償 (i) 支払不能の場合における補償及び労働者債権の保護 (j) 母性保護及び母性給付並びに父母であることに対する保護及び給付

第十二条 加盟国は、国内法及び国内慣行に従い、次の事項について、第一条1(b)に規定するサービスを提供する民間職業仲介事業所及び利用者企業のそれぞれの責任を決定し及び割り当てる。 (a) 団体交渉 (b) 最低賃金 (c) 労働時間その他の労働条件 (d) 法令上の社会保障給付 (e) 訓練を受ける機会 (f) 職業上の安全及び健康の分野における保護 (g) 職業上の災害又は疾病の場合における補償 (h) 支払不能の場合における補償及び労働者債権の保護 (i) 母性保護及び母性給付並びに父母であることに対する保護及び給付 ?  1997年の民間職業仲介事業所条約(第181号)
各国の制度

各国の全雇用者に占める、一時雇用エージェント契約割合(2019年)[6]国割合(%)
エストニア0.01
ギリシャ0.19
ノルウェー0.25
ハンガリー0.27
ポーランド0.52
デンマーク0.57
イタリア0.80
米国0.90
スイス0.97
英国0.97
チェコ1.04
スウェーデン1.14
ラトビア1.18
ポルトガル1.48
フィンランド1.65
リトアニア1.98
オーストリー2.00
ドイツ2.06
ベルギー2.07
アイルランド2.37
フランス2.73
オランダ3.28
スペイン3.45
スロバキア4.07
スロベニア4.08
各国における規制の比較については「雇用保護規制#一時雇用」を参照
アメリカ

労働法制の発達が限定的なアメリカでは、労働者派遣を規制する法律がなく、過去の判例の積み重ねや、州によっては派遣業者の届出や手数料の上限を定める規制があるにとどまる。個別法を持たないため、議論の中心は包括的な制度やその運用をどのように行うかに向かう。

企業は一時的、臨時的な雇用として労働者派遣を利用するが、一般的には所定の期間経過時に職務遂行状況が良好な場合には派遣先が自社の労働者として採用する旨を当初から契約で定めている場合が多く、結果的には日本でいう紹介予定派遣(このような労働者派遣契約をTemporary to Hireという)として機能している。

規制が少ないため、自由かつ柔軟な労働者派遣ビジネスを設計することができ、現に多くの派遣会社が士業などの専門職から単純労働まで多彩なサービスを提供し、労働市場の円滑化に資している。一方、正規社員との賃金格差や、医療保険の無保険者の問題は深刻である[7]
欧州連合

欧州連合の派遣労働指令においては、第5条で「平等な扱いの原則」として同一労働同一賃金を義務としている。

Article.5.1. The basic working and employment conditions of temporary agency workers shall be, for the duration of their assignment at a user undertaking, at least those that would apply if they had been recruited directly by that undertaking to occupy the same job.

派遣労働者の基本的な労働・雇用条件は、利用者事業における派遣期間中、少なくとも、当該事業が同じ職務に就くために直接採用した場合に適用される条件でなければならない。 ? Temporary Agency Work Directive 2008/104/EC
デンマーク

デンマークでは、派遣エージェントとの契約最長期間には制限がない[8]。エージェントは規制当局に対して認可も報告も必要としないが、正規労働者との賃金および労働条件の平等が求められる[8]
ドイツ

ドイツにおいては、派遣エージェントとの契約最長期間は18カ月であるが、契約更新回数の上限はない[9]。エージェントは労働省に認可を受ける必要があり、報告義務を負う[9]
中国

「労働契約法」(2007年6月29日公布)の施行により規制される。日本と同様、労働者派遣は通常、臨時的、補助的または代替的な職場に制限され、また二重派遣や専ら派遣は、明確に禁止されている。さらに2014年3月1日施行の「労務派遣暫定規定」により、労務派遣事業に対する規制を強化し、派遣労働者の比率を全従業員の10%以内に制限した。
日本.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。

日本では労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法、以下「派遣法」と略す)を根拠とする。派遣法第2条では、労働者派遣を以下のように定義している[10]

自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする。 ? 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 第2条1項

厚生労働大臣は、労働者派遣事業に係る派遣法の規定の運用に当たっては、労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行並びに派遣就業は臨時的かつ一時的なものであることを原則とするとの考え方を考慮するとともに、労働者派遣事業による労働力の需給の調整が職業安定法に定める他の労働力の需給の調整に関する制度に基づくものとの調和の下に行われるように配慮しなければならない(派遣法第25条)。 日本における役員を除く雇用者(年齢別)[11]
青は正規雇用、橙はパートタイム、緑はアルバイト、赤は派遣労働者、緑は契約社員、茶は嘱託社員、ピンクはその他。
業務請負契約との相違「アウトソーシング」および「業務請負」も参照


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