労働条件
労働条件通知書この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
労働条件(ろうどうじょうけん)とは、労働者が契約を結んで使用者の下で働く際、労働者と使用者の間で取り決められた就労に関する条件である[1]。
使用者は労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。うち絶対的明示事項については、書面の交付(労働条件通知書)によらなければならない。
なお求人においても労働条件の明示が必要とされるが[2]、その明示は賃金については「見込額」でよい。採用面接時にその見込額をそのまま実際の初任給額とする旨の合意がなされたと認められる状況がなければ、見込額を初任給額とする雇用契約が成立したとはいえない。 日本国憲法第27条第2項では、「賃金、労働時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」と規定している。具体的には、労働基準法(昭和22年4月7日法律第49号)のほか、最低賃金法(昭和34年4月15日法律第137号)・賃金の支払の確保等に関する法律(昭和51年5月27日法律第34号)・雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年7月1日法律第113号)などの法律が制定されている。なお、船員(船員法第1条に規定する船員)には労働基準法上の労働条件の規定は適用されず(第116条)、船員の労働条件については船員法によって定めている。 日本国憲法第25条第1項は「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定し、これを受けて労働基準法では、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」(第1条1項)、「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」(第1条2項)、「労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。」(第2条1項)と定められている[注 1]。そして「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として賃金、労働時間その他の労働条件について差別的取扱いをしてはならない。」(第3条)として、差別的取扱いをしてはならない理由を限定列挙している。 第1条~第3条でいう「労働条件」とは、賃金、労働時間はもちろんのこと、解雇、災害補償、安全衛生、寄宿舎等に関する条件をすべて含む労働者の職場における一切の待遇をいう。なお、労働契約締結前の雇入れにおける条件は労働条件の内容にあたらない[注 2]。 国際労働機関(ILO)は「人道的な労働条件」「社会正義の実現」を求め、労働者が「人間らしいまともな労働(ディーセント・ワーク)」を得られることを目標に、労働条件に関する多くの条約を制定している。
本項で労働基準法について以下では条数のみを挙げる。
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労働条件の内容と決定