労働時間(ろうどうじかん)とは、使用者または監督者の下で労働に服しなければならない時間のことを指す。労働者が使用者の下で労働に服するにあたり、労働者は使用者の指揮命令下におかれ、その間の時間を労働のために費やすこととなる。つまり、労働者はこの時間において使用者によって拘束され、労働者の行動は大きく制限される。
カール・マルクスの『資本論』においては、資本家に対して労働者が己の労働力そして時間を売り、その対価として資本家から賃金を得るものとされている。
国際労働機関(ILO)1号条約では、家内労働者を除いた工業におけるすべての労働者の労働時間は1日8時間、1週48時間を超えてはならないとされている[2]。さらに第30号条約[3]などにより商業および他の業種も同じ程度の労働時間が決められている。 国際労働機関(ILO)1号条約は、その正式名称を工業的企業に於ける労働時間を1日8時間かつ1週48時間に制限する条約としており、以下の企業における労働時間を規制している(第1条)。 なお以下の例外条項が存在する(第2条) なお商業および事務所においては、国際労働機関30号条約が同様に1週48時間かつ1日8時間以内と規定している。 世界の労働時間は1980年以降、減少傾向にある国と横ばいで推移する国とに二分される。OECDの報告において、2019年でOECD加盟諸国のうちで労働者の就労時間が最も長いのは、年間2,137時間を計上したメキシコであった。次点が1,967時間で2011年までトップだった大韓民国、更に、ギリシャ、チリ、イスラエル、ポーランド、チェコと続く。日本は1990年ごろまでは2000時間を超えトップグループに位置し、勤勉だと思われていたが、近年はアメリカよりも労働時間が短い。但し、労働力調査による日本の年間労働時間は、2019年で年間1,981時間であり、その場合は、メキシコに次いで2番目に高い国となる[4] 。 独立行政法人労働政策研究・研修機構発行「データブック国際労働比較2019」[5]によれば、主要諸外国についても、概ね減少傾向なっており、2018年には、韓国は2,005時間、アメリカが1,786時間、イタリア1,723時間、日本1,680時間(労働力調査では1,997時間)、イギリス1,538時間、フランス1,520時間、スウェーデン1,474時間、ドイツ1,363時間などとなっている[注 1]。 欧州連合の労働時間指令(Working Time Directive 2003, 2003/88/EC)では、労働時間、休息期間について以下と規制している。
八時間労働制
山業、石切業其の他土地より鉱物を採取する事業
物品の製造、改造、浄洗、修理、装飾、仕上、販売の為にする仕立、破壊若は解体、材料の変造を為す工業(造船並電気又は各種動力の発生、変更及伝導を含む)
建物、鉄道、軌道、港、船渠、棧橋、運河、内地水路、道路、隧道、橋梁、陸橋、下水道、排水道、井、電信電話装置、電気工作物、瓦斯工作物、水道其の他の工作物の建設、改造、保存、修理、変更又は解体及上記の工作物又は建設物の準備又は基礎工事
道路、鉄軌道、海又は内地水路に依る旅客又は貨物の運送(船渠、岸壁、波止場又は倉庫に於ける貨物の取扱を含むも人力に依る運送を含まず。)
管理監督者、機密の事務を処理する者は除外される
政令または団体協約が存在する場合、週において労働時間が1日あたり8時間未満であった場合には、その分を同じ週の他の日において振替可能。
シフト勤務の場合、3週以下の期間において、その間の労働時間の平均が1日8時間または1週48時間を超えない範囲において。
各国の労働時間OECD各国における一日の時間配分(15-64歳人口)。
赤は有償労働、橙は無償労働、青はパーソナルケア、緑はレジャー。
OECD各国の週平均労働時間(男性)
OECD各国の週平均労働時間(女性)
EU労働時間指令
Article 3 ? 24時間のうち、連続した11時間を休息期間として確保すること(勤務間インターバル)。
Article 4 - 6時間を超える労働では、途中休憩時間を確保すること。
Article 5 - 7日間ごとに最低24時間の中断されない休憩期間(週休)を設けること。
Article 6 - (b).平均労働時間は各7日間につき、時間外労働を含め48時間を超えてはならない。