労働安全衛生法による健康診断
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この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。
検診車(宝くじ号

労働安全衛生法による健康診断(ろうどうあんぜんえいせいほうによるけんこうしんだん)は、事業者健診とも呼ばれ、労働安全衛生の観点から実施され「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない(第66条1項)」と規定される。これは一般健康診断とされ、雇入時および年1回以上行う必要がある。

さらに第66条2項では「事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。」と規定され、これは特殊健康診断とされる。

加えて2015年平成27年)12月からは産業精神保健の観念より、職業性ストレスチェックの実施が、常時使用する労働者数が50人以上の事業者の義務となった。

この健康診断の水準については、一般企業においては、一般医療水準に照らし相当と認められる程度の健康診断を実施するか、あるいはこれを行い得る医療機関に委嘱すれば、事業者の安全配慮義務違反は認められないとされる(判例として、東京高判平成10年2月26日[1]

労働安全衛生法について、以下では条数のみ記す。

一般健康診断

規則第44条に定める以下の11項目(一般項目)について行われる健康診断のことを一般健康診断という。派遣労働者については、派遣元が実施しなければならない。

なお多くの企業では、事業者健診と同時に生活習慣病予防健診を組み合わせて実施していることも多い。

一般健康診断の検査項目
既往歴、業務歴の調査

自覚症状、他覚症状の有無の検査

身長、体重、腹囲、視力、聴力の検査

胸部エックス線検査、喀痰検査

血圧の測定

貧血検査

機能検査(GOT、GPT、ガンマGTP)

血中脂質検査(LDL、HDL、中性脂肪)

血糖検査

尿検査

心電図検査
?  労働安全衛生規則44条

パートタイム労働者については、以下の1,2いずれにも該当する場合には、「常時使用する労働者」に該当する。
1週間の所定労働時間が、当該事業場の同種の業務に従事する通常の労働者(常勤)の1週間の所定労働時間の4分の3以上であること

期間の定めのない労働契約により使用される者、又は有期労働契約により使用される者であって「当該有期労働契約の契約期間が1年(特定業務従事者は6か月)以上である者」「契約の更新により1年(特定業務従事者は6か月)以上使用されることが予定されている者及び1年(特定業務従事者は6か月)以上引き続き使用されている者」のいずれかに該当する者

一般健康診断に含まれるのは、以下の健康診断である。なお、2009年(平成21年)6月の改正法施行により、結核健康診断(法定の健康診断の際結核発病のおそれがあると診断された労働者に対し、その後おおむね6月後に行わなければならないこととされている健康診断)の規定は廃止された(改正前の規則第46条)
雇入時健康診断

事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、一般項目(喀痰検査を除く)について医師による健康診断を行わなければならない(規則第43条)。他の健康診断と異なり、医師の判断で省略できる項目はない。ただし、医師による健康診断を受けた後、3か月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については省略できる(規則第43条但書)。

「既往歴」については、雇入れの際までにかかった疾病を、経時的に調査すること。「業務歴」については、雇入れの際までにおいて従事したことのある主要な業務についての経歴を調査するものとすること。「自覚症状、他覚症状の有無の検査」には、当該労働者が就業を予定される業務に応じて必要とする身体特性を把握するための感覚器、循環器、呼吸器、消化器、神経系、皮膚および運動機能の検査が含まれ、その検査項目の選定は当該労働者の性、年齢、既往歴、問視診等を通じての所見などもあわせて医師の判断にゆだねられるものであること(昭和47年9月18日基発601号の1)。

なお雇い入れ時の健康診断は常時使用する労働者を雇い入れた際における適性配置、入職後の健康管理に役立てるために実施するものであり、採用選考時に実施することを義務付けたものではなく、また応募者の採否を決定するために実施するものでもない。健康診断の必要性を慎重に検討することなく、採用選考時に健康診断を実施することは、応募者の適性と能力を判断する上で必要のない事項を把握する可能性があり、結果として就職差別につながるおそれがあることから、採用選考時に健康診断を実施する場合には、健康診断が応募者の適性と能力を判断する上で真に必要かどうか慎重に検討する必要がある[2]
定期健康診断

事業者は、常時使用する労働者(特定業務従事者を除く)に対し、1年以内ごとに1回、定期に、一般項目について医師による健康診断を行わなければならない(規則第44条)。ただし、雇い入れ時の健康診断・海外派遣労働者の健康診断・特殊健康診断を受けた者については、当該健康診断の実施日から1年間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略できる。

「既往歴」または「業務歴」は、直近に実施した健康診断以降のものをいうこと。「自覚症状、他覚症状の有無の検査」は、規則第13条1項3号に掲げる業務(
産業医の専属が義務付けられる業務)に従事する受診者については、その者の業務の種類、性別、年齢等に応じ必要な内容にわたる検査を加えるものとすること。「自覚症状」に関するものについては、最近において受診者本人が自覚する事項を中心に聴取することとし、この際本人の業務に関連が強いと医学的に想定されるものをあわせて行なうものとすること。「他覚症状」に関するものについては、受診者本人の訴えおよび問視診に基づき異常の疑いのある事項を中心として医師の判断により検査項目を選定して行なうこと。なお、この際医師が本人の業務に関連が強いと判断した事項をあわせ行なうものとすること(昭和47年9月18日基発601号の1)。

医師が必要でないと認めるときは、以下の検査項目を省略できる[注釈 1]
20歳以上の者については、身長の検査を省略できる。

40歳未満の者(35歳の者を除く)、妊娠中の女性等で腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された者、BMIが所定値未満の者については、腹囲の検査を省略できる。

40歳未満の者(35歳の者を除く)については、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査及び心電図検査を省略できる。

40歳未満の者(20歳、25歳、30歳及び35歳の者を除く。以下同じ。)で、以下のいずれにも該当しないものについては、医師が必要でないと認めるときは、胸部エックス線検査を省略することができる[3]。また、胸部エックス線検査を省略できるものについては、医師が必要でないと認めるときは、喀痰検査を省略することができる。


感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令第12条第1項第1号に掲げる者(具体的には、学校(専修学校及び各種学校を含み、幼稚園を除く)、病院診療所助産所介護老人保健施設又は特定の社会福祉施設において業務に従事する者であること)

じん肺法第8条第1項第1号又は第3号に掲げる者(具体的には、常時粉じん作業に従事する労働者で、じん肺管理区分が管理1のもの又は常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理2である労働者であること)

特定業務従事者の健康診断

事業者は、特定業務に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び6か月以内ごとに1回、定期に、一般項目について医師による健康診断を行わなければならない(規則第45条)。この場合において、胸部エックス線検査、喀痰検査については、1年以内ごとに1回、定期に、行えば足りる。ただし、雇い入れ時の健康診断・海外派遣労働者の健康診断・特殊健康診断を受けた者については、当該健康診断の実施日から6か月間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略できる。

省略できる検査項目は胸部エックス線検査、喀痰検査を除き、定期健康診断と共通である。

「特定業務」とは、その業務に常時500人以上の労働者を従事させる場合に、産業医の専属が義務付けられる有害業務(規則第13条2項)のことをいう。なお、産業医の選任義務のある事業場においては、事業者は、当該事業場の労働者の健康管理を担当する産業医に対して、健康診断の計画や実施上の注意等について助言を求めることが必要であるとされる[4]
海外派遣労働者の健康診断

事業者は、労働者を本邦外の地域に6か月以上派遣しようとするときは、あらかじめ、当該労働者に対し、一般項目及び以下の項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない(規則第45条の2第1項)。事業者は、本邦外の地域に6か月以上派遣した労働者を本邦の地域内における業務に就かせるとき(一時的に就かせるときを除く。)は、当該労働者に対し、一般項目及び以下の項目のうち医師が必要であると認める項目について、医師による健康診断を行わなければならない(規則第45条の2第2項)。1989年10月の改正法施行により設けられた。body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper{margin-top:0.3em}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ul,body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper>ol{margin-top:0}body:not(.skin-minerva) .mw-parser-output .columns-list__wrapper--small-font{font-size:90%}
腹部画像検査

血液中の尿酸の量の検査

B型肝炎ウイルス抗体検査

ABO式及びRh式の血液検査(派遣前のみ)

糞便塗抹検査(帰国後のみ)

海外において疾病の増悪や新たな疾病の発症があると、職場環境、日常生活環境、医療事情等が国内と異なる面も多いため、医療をはじめとして様々な負担を労働者に強いることとなる。このため、海外に派遣する労働者の健康状態の適切な判断及び派遣中の労働者の健康管理に資するため、派遣前の健康診断に関する規定を新設したものである。また、海外勤務を終了した労働者を国内勤務に就かせる場合の就業上の配慮を行うとともに、その後の健康管理にも資するため、帰国後の健康診断に関する規定を新設したものである(平成元年8月22日基発462号)。

派遣前の健康診断においては、雇い入れ時の健康診断・定期健康診断・特定業務者の健康診断・特殊健康診断を受けた者については、当該健康診断の実施日から6か月間に限り、その者が受けた当該健康診断の項目に相当する項目を省略できる。また派遣前・帰国後とも、医師が必要ないと認めるときは、20歳以上の者についての身長の検査と、胸部エックス線検査で病変の発見されなかった者についての喀痰検査は省略できる。

査証申請の際に、健康診断(またはその証明書)が必要とされる場合がある。
給食従業員の健康診断

事業者は、事業に附属する食堂又は炊事場における給食の業務に従事する労働者に対し、その雇入れの際又は当該業務への配置替えの際、検便による健康診断を行なわなければならない(規則第47条)。事業者によっては一般健康診断に分類しないところもある。
特殊健康診断

法文上は「医師による特別の項目についての健康診断」という。一定の有害業務に従事する労働者を対象として行う。派遣労働者については、派遣先が実施しなければならない。

配置替えの際に行う特殊健康診断には、業務適性の判断と、その後の業務の影響を調べるための基礎資料を得る目的がある。また特殊健康診断では、対象とする特定の健康障害と類似の他の疾患との判別が、一般健康診断よりも一層強く求められる。

一般健康診断と特殊健康診断双方の対象となる労働者に係る健康診断の評価に際しては、一般健康診断と特殊健康診断の結果を経時的な変化を含め総合的に評価することが重要であること。従って、これらの健康診断結果については、医療機関への紹介状やその回答等を含め、労働者ごとに一括保存することが望ましいものであること(平成元年8月22日基発462号)。
有害業務従事者の健康診断

事業者は、以下の有害業務に従事する労働者に対し、その業務の区分に応じ、雇入れ又は当該業務への配置替えの際及びその後所定の期間(四アルキル鉛業務は3ヶ月、その他は6ヶ月)以内ごとに1回、定期に、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない(第66条2項)。有害業務に従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、労働者が常時従事していた業務の区分に応じ、6か月以内ごとに1回(一定項目については1年以内ごとに1回)、定期に、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。
粉じん業務

高圧室内業務および潜水業務

放射線業務(電離放射線障害防止規則による)

特定化学物質等の製造、取扱業務及び製造等禁止物質の試験研究のための製造、使用業務(第3類物質を除く)

業務(遠隔操作によって行う隔離室におけるものを除く)

四アルキル鉛業務(遠隔操作によって行う隔離室におけるものを除く)

有機溶剤業務

石綿業務

除染業務

歯科医師による健康診断

事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに常時従事する労働者に対し、その雇入れの際、当該業務への配置替えの際及び当該業務についた後6か月以内ごとに1回、定期に、歯科医師による健康診断を行なわなければならない(第66条3項)。 「有害な業務で、政令で定めるもの」とは、以下の物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務とする(施行令第22条3項)。
塩酸

硝酸

硫酸

亜硫酸

弗化水素

黄リン

その他歯又はその支持組織に有害なもの

ストレスチェック「産業精神保健#日本の状況」、「職業性ストレス」、および「ストレスチェック制度」も参照

医師等による「心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)」の実施が、2015年(平成27年)12月より、常時使用する労働者数が50人以上の事業者の義務となった(第66条の10)。50人未満の事業場については当面の間努力義務とされる(附則第4条)。派遣労働者については、派遣元が事業者としての義務を負う。なお、ストレスチェック制度自体は、メンタルヘルス不調の労働者を把握することを目的とした制度ではない[5]

事業者は、常時使用する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、次に掲げる事項について検査を行わなければならない(規則第52条の9)。

職場における当該労働者の心理的な負担(職業性ストレス)の原因に関する事項

当該労働者の心理的な負担による心身の自覚症状に関する項目

職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目

ストレスチェックの実施者は、次に掲げる者とする(規則第52条の10)。ストレスチェックを受ける労働者の所属する事業場の状況を日頃から把握している者が行うことが望ましい[5]

医師

保健師

ストレスチェックを行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師看護師精神保健福祉士又は公認心理師


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