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補助金(ほじょきん、英: subsidy)とは、政府が私企業や個人などの民間部門に対して行う一方的な貨幣の給付[1]。中央政府(「国」)または地方政府(地方公共団体)が、行政上の目的・効果を達成するために、公共団体・経済団体・企業・私人(個人)などに対して、なんら反対給付を受けることなく一方的に支出する現金給付[2]。
なお、経済学上はより広義に補助政策全体(特別減税や公共事業・公共サービスなどを含む)を指すこともあるが、一般には一方的な貨幣の給付のみを補助金という[1]。 補助金は、中央政府(国)から地方政府(地方公共団体)に対して支出されるものと、政府(中央政府、地方政府)から民間に支出されるものとに分けられる[2]。 中央政府から地方政府への補助金には、使途が限定されていない「一般補助金」と、使途が限定されている「特定補助金」(個別補助金)とがある[2]。 政府から民間への補助金には、「私人(個人、消費者)に対する補助金」と、「企業に対する補助金」とがある[2]。「私人に対する補助金」は福祉(たとえば医療・教育など)の水準の維持や向上のためのものや、さまざまな製品の消費維持・拡大のためなどの目的でつかわれる[2]。「企業に対する補助金」は、芽吹いたばかりで未熟な産業の保護・育成、外部性の大きい産業の育成、戦略的重要産業育成、消費財の供給価格の抑制などのために使われる[2]。 なお近年では、補助金支出の代わりに、『租税の減免』によって類似効果を達成しようと手法(つまり、本来なら徴収する予定だった租税を減らす、という手法)が使われることも増えている[2]。これは「隠れた補助金」と言えるものであり、日本の租税特別措置などもこれにあたる[2]。 公共経済学などにおいて、補助金が恣意的に配分されることの経済的不合理性に付いての指摘がある。しかし、新エネルギーや省エネルギー設備の普及のための補助金など、「CO2削減効果」などの数値判断基準が作れる場合、最も基準達成の費用対効果の高いものから補助金を配分する制度とすることでこの問題は回避が可能である。 中央政府から地方政府への補助金の起源は、欧米では19世紀の産業革命期に認められる[2]。 地方財政の中で補助金の重要性が認識されるようになったのは、1930年代の不況期以降である[2]。 イギリスの国の補助金は1825年に創設されたexchequer grantに始まるといわれている[3]。産業革命以後、国が地方自治体に対して労働者の公衆衛生や公害対策を強化し、労働者向け住宅の建設を強制するために制度化された[3]。 アメリカ合衆国は連邦制国家であり州が相対的に自立しており、市町村間の財政上の調整も州が主体となって行ってきた[4]。19世紀には州立大学の用地とするための国有地の付与などを除き特筆すべきものはない[4]。連邦政府が地方行政に積極的に介入するようになったのは1930年代の不況以後のことで、公共事業の代行などを通じて景気政策の促進を図るようになった[4]。補助金は臨時的なものから恒久的なものとなりナショナルミニマム(国家的必要行政水準)の維持という性格をもつようになった[4]。1964年にリンドン・ジョンソン大統領が貧困との戦いを宣言すると連邦補助金は急拡大した[4]。 日本では、法令または予算関連文書で補助金という名称そのものになっているもの以外にも、広義には「補給金」「助成金」「奨励金」「給付金」「交付金」「負担金」「委託金」などという名称になっているものも含まれ、狭義には国庫支出金を指している[2]。法令上の補助金の定義は必ずしも明確でなく、補助金適正化法(後述)も明確な定義を与えていない。民間が政府に、もしくは下位の政府が上位または等格の政府に対して、両者の同意を経て移譲する金銭は「負担金」と称されることが多いが、以下ではこれについてもまとめて取り扱う。補助金、負担金に類するものとして、「給付金」「助成金」などがあるが、中には実質的に補助金同様の性格を持つものも少なくなく、それらについては政令指定により補助金適正化法の対象とされている。 概説で説明したように、国から地方公共団体への補助金には使途が限定されていない一般補助金と使途が限定されている特定補助金(個別補助金)があるわけだが、日本では、前者として地方交付税、後者として国庫支出金がある[2]。 国庫支出金は、国庫負担金・国庫委託金・国庫補助金に分けられる。国庫負担金には、法令で定められているもの(義務教育職員費や生活保護費の国庫負担など)や、国が策定した計画に基づく公共事業に対するものなどがある。「国庫委託金」は、本来なら国が行うべき事務を地方公共団体に委託した場合にその経費を支払う、という性質のものであり、国会議員選挙、国の統計調査、国民年金・児童手当の事務に要する経費などがある[2]。 憲法には補助金と関連するとも解釈される条項があり、日本国憲法第89条では、公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならないと書かれている。だが、この89条をどのように法解釈すべきなのかについては、複雑な話があり(私立学校への補助金の妥当性など)、政府解釈は変遷してきている[5]。 日本では、明治時代初期に中央集権化がなされるとともに、補助金政策が地方統治のために利用されてきた[2]。 国の補助金等の手続きについては「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」(補助金適正化法)によって処理が行われている。また、国が地方公共団体に交付する補助金等については、地方財政法に規定がある。 補助金を支払う者の責務として、各省庁の長は、その所掌の補助金等に係る予算の執行に当つては、補助金等が国民から徴収された租税その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに特に留意し、補助金等が法令及び予算で定めるところに従つて公正かつ効率的に使用されるように努めなければならないとしており、補助金を受けるものとしては、補助金等が国民から徴収された税金その他の貴重な財源でまかなわれるものであることに留意し、法令の定及び補助金等の交付の目的又は間接補助金等の交付若しくは融通の目的に従つて誠実に補助事業等又は間接補助事業等を行うように努めなければならないとしている。
概説
種類
民間への補助金
補助金の効率的配分
歴史
イギリスにおける補助金
アメリカにおける補助金
日本における補助金
歴史
国が交付する補助金等
補助金適正化法
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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