加齢黄斑変性
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黄班変性
別称加齢黄班変性

中期加齢黄斑変性を示す網膜の写真
概要
種類Early, intermediate, late[1]
診療科Ophthalmology
症状Blurred or no vision in the center of the visual field[1]
発症時期Older people[1]
原因Damage to the macula of the retina[1]
危険因子Genetics, smoking[1]
診断法Eye examination[1]
合併症Visual hallucinations[1]
予防Exercising, eating well, not smoking[1]
治療Anti-VEGF medication injected into the eye, laser coagulation, photodynamic therapy[1]
頻度6.2 million (2015)[2]
分類および外部参照情報
Patient UK黄班変性
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加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい、: age-related macular degeneration、AMD)とは、加齢に伴い網膜にある黄斑部変性を起こす疾患である。失明の原因となり得る。以前は老人性円板状黄斑変性症と呼んでいた。またARMDと略していた頃もあった。

黄斑変性症の一種。症状としてはかすみ目や視野の中心に視覚障害を生じる[1]が、初期は自覚症状がない事がよくある[1]。しかし、時間の経過とともに、片方または両方の目に段階的な視力の低下を経験する場合もある[1]。完全な失明になる事は少ないが、中心視力が失われることにより、顔の認識、運転、読書、その他の日常生活の活動が困難になる[1]視覚的な幻覚が見える場合があるが、これらは精神疾患によるものではない[1]

黄斑変性は通常、高齢者に発生する[1]。遺伝的要因と喫煙も起因となる[1]。症状は網膜の黄斑の損傷によるものである[1]。診断は精密な眼検査による[1]。重症度は、初期、中期、後期のタイプに分けられる[1]。後期のタイプはさらに「萎縮型」と「滲出型」に分けられ、萎縮型が症例の90%を占める[1][3]。予防法は、運動、バランスの取れた食事、禁煙などである[1]。一旦失われた視力を取り戻す治療法はない[1]。滲出型は、眼への抗VEGF薬の注射、または、あまり一般的ではない光凝固法や光線力学療法により悪化を遅らせられる可能性がある[1]抗酸化ビタミンとミネラルは予防に有用とは見做されない[4]。しかし、栄養補助食品は、すでに病気に罹っている人の病状悪化を遅らせる可能性がある[5]

2015年には、世界中で620万人が罹患した[2]。2013年には白内障早産緑内障に次いで4番目に最も多い失明の原因であった[6]。黄班変性は50歳以上の人に最も一般的に発生し、米国ではこの年齢層の視力喪失の最も一般的な原因である[1][3]。黄班変性は50?60歳の人の約0.4%が患っており、60?70歳の人の0.7%、70?80歳の人の2.3%、80歳以上の人の約12%に発生する[3]
自覚症状

初期症状としては変視症を訴える人が多く、それを切っ掛けに眼科受診をし、この疾患に気づく方が多い。その後病状の悪化ともに歪みが強くなり、眼底出血などにより視力低下、中心暗点がみられ、失明に至る場合もある。
他覚所見

眼底、特に黄斑部に病変を認める。

軟性ドルーゼン、網膜色素上皮剥離、黄斑下出血などを認め、黄斑変性に至る。

萎縮型の場合には、ドルーゼンを伴い、徐々に黄斑変性に至るケースが多い。
疫学

近年高齢者に増加しており、アメリカでは中途失明原因の第1位である。男性の方が女性に比べ、3倍多い。

発生要因として

加齢

喫煙

高血圧

遺伝子

酸化ストレス

紫外線

などがあげられている。遺伝子の関与という点では、日本人ではコンプリメント・ファクター H[注 1]よりもHTRA1とLOC387715の関与が強いことも示唆されている[7]。日本人の加齢黄斑変性の原因遺伝子としてHTRA1とLOC387715を初めて報告したのは、東京医療センター感覚器センターに所属していた 現衆議院議員吉田統彦である[8]
分類
滲出型

ウェット型(英:wet type)とも称されることがある。

脈絡膜から異常な脈絡膜新生血管を生じ、網膜面に進展する。新生血管は脆弱でありそのため出血、滲出物の貯留を認め、黄斑部の機能障害を来たし、偏視、視力低下などを齎す。最終的には黄斑部に不可逆的な変性を起こし著しい視力低下となる。

脈絡膜新生血管(CNV[注 2])のタイプは以下のように分かれる。

クラシックCNV

オカルトCNV

萎縮型

非滲出型とも。dry type とも称されることがある。

加齢に伴い黄斑部が変性を起こし、変性の範囲により急激な視力低下を認める。滲出型のような脈絡膜新生血管は認めない。現在のところ治療は有効なものはない。もし敢えて行うのであれば、対症療法的な薬物またはサプリメントの投与がある。
検査

アムスラーチャート
変視症の自己診断、変視の評価に使用する。

フルオレセイン蛍光眼底造影

インドシアニングリーン蛍光眼底造影造影検査により、異常血管の検出を行い、治療方針を決定する。

網膜機能精密電気生理検査

滲出型黄班変性の治療

滲出型黄班変性には主にVEGF阻害剤投与、もしくは光線力学的療法が用いられるが、VEGF阻害剤投与のうちでも、ラニビズマブアフリベルセプトの投与の有用性が注目される[9]。欧米の多施設による試験では、光線力学的療法が視力低下を部分的にしか阻止しない一方、ラニビズマブでは視力回復が期待できると報告されている(1年後で、ラニビズマブ群が視力がプラス11文字の改善に対して光線力学的療法群はマイナス9.5文字)[10]

VEGF阻害剤
加齢黄斑変性の発生に際し血管新生およびVEGFが関与しており、血管新生阻害薬の投与により進行を防止・改善する可能性がある。代表的薬剤としてラニビズマブ(商品名ルセンティス)[注 3]がある。投与方法は硝子体内に注射。


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