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加湿器(かしつき、「加湿機」とも表記)とは室内気の加湿のために使う空気調和設備である[1]。例えば日本の場合、空気が乾燥する冬季[2]などによく使われる。機器内部に収容されている水分を空気中に放出し、加湿する。ストーブにやかんを置くといった構成も加湿器の一種といえる。また、寒い時など湿度が上昇することによって同じ室温でも体感的に暖かく感じるという利点もある。
なお、除湿機能を併せもったものは湿度調和機と呼ぶ[1](冷暖房機能まで併せもっている場合にはエアコンに分類される)[1]。
日本メーカーの間では表記に揺れがあり、パナソニック(パナソニック エコシステムズ)、三菱電機、シャープは「加湿機」と表記している。
普及モデルの一部を除く大半の機種が好みの時間に加湿運転を終えられる切タイマー(2時間・4時間・6時間・8時間の選択式)を搭載しており、家庭用ハイパワーモデル上位機種と小容量パーソナルモデルでは好みの時間に加湿運転を始められる「入タイマー(2時間・4時間・6時間・8時間の選択式)」も併載している機種がある(途中「停電」・「タイマー動作前に手動で電源を切る」・「入タイマー動作前に電源プラグを抜く」いずれかがあるとタイマー設定は取り消される。入・切両方のタイマーを併用することも可能で、この場合の入タイマーは「切タイマーで電源が切れた時間から起算して動作」する。ただし時計機能は非搭載のため、入・切タイマーは「何時間後」方式の簡易タイマー。タンク・トレー内の水が途中で空になると設定時間より前に加湿運転を終えるので、特に切タイマー運転時はあらかじめ余裕を持って給水しておく)。
加湿フィルターとプレフィルター(本体内へのホコリ侵入を防ぐエアフィルター)は、生産終了機種にも適合する純正品が各メーカーよりサービスパーツとして販売されている(モデルチェンジのためサービスパーツ型番・販売価格・色は当該機種発売当時と異なる場合あり。当該機種に適合するサービスパーツが生産終了となった場合は、製品自体を最新機種へ買い替える形となる。補修用性能部品は当該機種の生産終了後6年間保有)。なお加湿フィルターの寿命はメーカーにより異なっており、最長3年使えるメーカーと10年使えるメーカーとに二分されている。
雑菌・カビ・水垢の繁殖と加湿器肺炎(雑菌の空中飛散による喘息など)防止のためタンクの水は毎日交換すると共に・トレーに溜まった水は毎日捨て、タンクに入れる水は必ず「塩素殺菌消毒された水道水」を用いると共に、加湿フィルター・プレフィルター・本体トレーは月1回以上洗浄するよう指示されている(健康被害防止の観点から・加湿器タンク&トレーに入っていた水は飲用に用いず、洗浄や植物への水やりなど雑用水として用いる。長期間手入れがされず・連続運転時間が約10日間=240時間経つと「お手入れランプ」が点灯し、手入れ完了後にリセットボタンを押すまで運転を強制停止。お手入れランプ点灯前に洗浄などをした場合も、手動で運転開始後にリセットボタンを押せば連続運転時間計算がリセットされる)。シーズンオフで長期保管する場合、加湿フィルター・トレー・タンクは洗浄後、カビ発生防止のため数日間陰干しで自然乾燥させる必要がある(加湿器用洗剤または台所用中性洗剤を用いてタンクやトレーを洗った場合、必ず十分にすすぎ洗剤が残らないようにする。日なたで直射日光に当てて乾燥させると変色するおそれがある他、ドライヤーなどの熱風で急速乾燥させると縮むおそれあり。加湿フィルターを本体内送風で急速乾燥可能な「フィルター乾燥ボタン」を搭載したメーカー・機種もある)。 気化式は、常温の水を蒸発させることにより加湿を行うものである。上水を使用することが定められている。また、不使用時のエレメントの乾燥や定期的な清掃が必要である。 エネルギーの使用量が少ない。気化熱により温度が低下するために内部発熱の大きな用途に適する。または低温排熱を利用することも可能である。 水噴霧式より制御性は悪いが、空調機組込型の場合消費電力が小さいためオフィスビルの空調等で広く採用されている。また、近年では空気清浄機に組み込まれるケースも増えている。 水噴霧式は、常温の水を微細な水滴にすることにより加湿を行うものである。噴霧された水分が気化し水に含まれるカルシウム・マグネシウム硬度分などの不純物が空気中に浮遊し物品に付着することを防止するために純水器での水処理や、雑菌が空気中に放出(加湿器病)されたりすることを防止するため水槽の紫外線ランプでの殺菌・定期的な自動排水などが組み合わされて使用される。 気化式より制御性がよいため農作物の栽培・低温貯蔵、繊維・紙・印刷工場など空気清浄度の要求されない内部発熱の大きな厳しい湿度管理の必要なところに使用される。 蒸気を利用して加湿する方式である。制御が簡単であり、加湿の効率が良い。 湿度とともに温度を上昇させるため、内部発熱の大きな用途には不向きである。 一般家庭向けの加湿器、すなわち家電としての加湿器は主に以下のようなものがある。
気化式
透湿膜式:水蒸気のみを透過する膜を通じて水と空気を接触させるもの。
滴下浸透式:水分を含む性質を持ったフィルターに水を滴下させながら通風することにより蒸発させるもの。
毛細管式:フィルタに毛細管現象で水を吸い上げて通風することにより蒸発させるもの。
回転式:水を含む性質を持った回転円盤を回転させて水槽で吸水-通風乾燥を交互に繰り返すことで蒸発させるもの。
水噴霧式
超音波式:超音波振動子を用いて水を霧状にし、送風機で拡散させるもの(超音波霧化)。
遠心式:回転円盤の遠心力で水を霧状にし、送風機で拡散させるもの。
高圧スプレー式:高圧ポンプにより加圧した水を機器の中へ噴出して蒸発させ、水滴をエリミネータで分離して加湿空気を送風するもの。
2流体噴霧式:圧縮機により加圧した空気で水を吸い込み機器の中へ噴出して蒸発させるもの。
蒸気式
蒸気配管式
二重管式:ボイラーで発生した蒸気を二重管内に吹き込み不純物や水滴を分離し、水分だけを機器内に吹き込むもの。
間接式:ボイラーで発生した蒸気の熱で純水器で水処理した水を蒸気発生器で清浄な蒸気に変換し機器内に吹き込むもの。
電熱式:水を投げ込み型電熱器で加熱し蒸気を発生させる方式。電力を用いて蒸気を発生させるタイプでは制御性に優れる。消費電力が大きい。
パン型加湿器:空調機に組み込まれた小型の電熱式のもの。
電極式:水に交流電力を通すことで水自体を発熱させ、蒸気を発生させる。
マイクロ波式 : 電子レンジの原理を用いて水を蒸発させる。
@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}燃焼式 : プロパンガスやカセットガス、または灯油を燃料とする方式。超音波式のようなカビの心配もなく、電熱式のように光熱費も高くないのがいいとされる。但し灯油・ボンベなら補充・交換が、都市ガスなら配管が必要になる。[要出典]
家庭用の加湿器
スチームファン式・スチーム式
電熱により水を沸騰させてそのスチームを送風機(ファン)によって放出・拡散させるもの。ファンを用いないもの(上記の電極式に多い)は単にスチーム式という。市場価格が二千円前後の安価な加湿器はスチーム式が多い。加湿能力が大きいが常時煮沸状態のため消費電力も高めである。消費電力は200?300ワットと小型の電気ストーブほどあり、1時間あたり約9?10円の電気代がかかる場合もある。放出されるのは沸騰後の蒸気であり、比較的にカビや雑菌の繁殖が抑えられている。使用時やスイッチ停止後もしばらくは高温の熱湯や蒸気が本体に貯まっているので注意する必要がある。なお、一部の電気ストーブやファンヒーターなどで加湿機能として組み込まれたケースもある。加湿器単体ではハイブリッド式や気化式に取って代わられる形で減少しており、生産より撤退するメーカーが相次いでいる。
超音波式
超音波によって水を微細な粒子にして放出するもの。消費電力が小さく加熱した蒸気を放出しない安全性があり、本体サイズを小さくできるなど数々のメリットがある。水に含まれるものすべてを空中に放出するのが特徴であり、アロマエキスを入れておくことで香りを楽しむことなどもできる。水に含まれるミネラルや貯水タンク内の雑菌などもすべて放出するためで、水道水のミネラルが析出して白粉が大量発生し電子機器の故障原因や部屋の汚染の原因となったり、繁殖したレジオネラ菌などの雑菌による肺炎や熱性疾患が発生するなど、加湿器病の原因になるとして注意が喚起されている。新潟市で超音波加湿器を使用していた男性が2007年10月上旬にレジオネラ症で死亡した。この件について同市は同年11月21日、家庭用の超音波式加湿器が感染源の可能性が高いと発表した。
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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