劉太公
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劉 太公(りゅう たいこう、? - 高祖10年7月13日[1]紀元前197年8月9日))は、前漢の高祖(劉邦)の父。高祖の即位後に太上皇とされた。劉氏。名は?、あるいは執嘉と伝える書がある[2]劉太公
略伝・人物
家族

劉仁の子[3]。先妻は劉媼[4] で、後妻の姓名は不詳である。

中国において「太公」とは、年長者に対して「爺様」または「とっつぁん」・「(劉家の)親爺」といったように親しみを込めて呼び掛ける言葉であるという。このことから、名がない(通称で十分な)ほど低い身分だったのではないかとか、本来は別に名があるが忌諱に触れるのを憚って司馬遷班固も史書に記録しなかったのではないかとも言われるが、詳細は不明である。

また一説に、息子の劉邦が泗水郡沛県泗水亭の亭長となり、単父県(現在の山東省?沢市単県)から移住した富豪の呂氏と縁戚関係を結んだことから、沛の豪農だったともいわれる。つまり、劉邦は小作人を召し抱えた裕福な農家(あるいは沛の地主)の出身という説である。
生涯

劉太公は泗水郡沛県豊邑中陽里(現在の江蘇省徐州市豊県)の農夫であった。三男の劉邦が農家の出でありながら遊び人で、任侠の徒と付き合いがあったので、親子の折り合いがよくなかったようである。しかし劉邦が秦末の動乱によって漢王となり、楚漢戦争項羽と天下を争うようになると、父親である太公も否応なしにこれに巻き込まれることになる。彭城の戦いで劉邦が項羽に大敗した時、劉邦の妻である呂雉と共に項羽に捕らえられ、以降約3年間にわたって人質としての生活を余儀なくされた。

楚漢戦争は、彭城の戦いからしばらくは楚陣営が有利であったが、項羽とその家臣団との内紛や、韓信随何による楚陣営諸国の平定・切り崩しにより、徐々に形成が逆転し始める。これに焦った項羽は、人質の2人を使って事態の打開を図る。

広武山の戦いの時、項羽は大釜を用意して、「汝の父親を釜茹でにされたくなければ、潔く私に降伏せよ」と、劉邦を脅迫した。しかし劉邦は、秦末の動乱の時期に項羽と共に懐王に仕えていた時のことを持ち出し、「我々は義兄弟の契りを交わした間柄だ。つまり私の父は、お前にとっても父だ。釜茹でを執行するのならば、やればよろしい。よく茹で上がったならば、その煮汁を私にも一杯分けてくれ」と、言って全く相手にしなかったという。

それから間もなく、両者の間に講和が成立すると、太公は呂雉と共に劉邦の根拠地の関中に入ったようである。その直後、劉邦が講和を破棄し、垓下・烏江で項羽を滅ぼして皇帝となると、劉邦は父に対して一般的な父親の礼を尽くした。その時に太公の家臣が「太公も皇帝の家臣であり礼を尽くされるのはおかしい」と進言して、太公は劉邦が来る時に道を掃き、門前に出迎えて、劉邦に恭順した。劉邦はこの態度に驚いて労ったが、「皇帝は人主である。わしの為に天下の法を敗れようか」と言った。これに劉邦は太公に太上皇の称号を奉り皇帝でも尊ぶことができるようにした。そして、人々の尊敬を集めることとなる。ちなみに中国の歴史上、存命中に太上皇を称したのは太公が最初である。しかし、太公にとってこれはあまり居心地の良い地位ではなかったようである。

上述のように、無名時代の劉邦は遊び人で遊侠者とも付き合いがあったことから、家族との折り合いが良くなかった。特に、長兄の劉伯の妻とは殊に折り合いが悪かったようで、劉邦が仲間たちの前でこの嫂に恥をかかされることもあったという。劉邦はこのことを根に持っていて、「誰が、あの女(嫂)の生んだガキ共を、(列侯に)取り立ててやるものか」と、若死にした劉伯の遺児である劉信に領地を与えるのを渋っていた。しかし太公が、「あの子たちも、わしにとっては可愛い孫だから、どうか取り立ててやってくれんか」と口添えしたため、止むなく羹頡侯に封じた。

また、王に封建された次男の劉喜(劉邦にとっては次兄)が、匈奴に攻め込まれてろくに戦いもせずに逃亡し、その罪で?陽侯に格下げされるということがあった。間もなく、劉邦は群臣を招いて宴会を開き、父の太公もその席に招いた。劉邦は群臣の前で昔のことを持ち出して、「その昔お父上は、よく私のことをろくでなしだのなんだのと散々に馬鹿にしておりましたな。その反対に兄上(劉喜のこと)に対してはよく出来たやつだと褒めておりましたけど、今もそのお気持ちは、全くお変わりはありませんかな?」と述べて、父の太公を大いに笑い者にしたという。

高祖10年7月癸卯(紀元前197年8月9日)、太公は高齢で没している[1]
宗族【前漢王朝系図】(編集)

                   

                太上皇
劉?

                                  
                           
    代王


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