靭帯: 前十字靭帯
右膝の図(中央のANTERIOR CRUCIATEが前十字靭帯)
ラテン語ligamentum cruciatum anterius
英語anterior cruciate ligament
グレイの解剖学
前十字靭帯(ぜんじゅうじじんたい、anterior cruciate ligament; ACL)は、膝関節の中にあって大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)を結ぶ強靭な紐で、関節を安定に保つ支持機構をいう。脛骨が前方へ変移する(ずれる)ことを防ぐ。靭帯組織については靭帯の項を参照。
前十字靭帯損傷「前十字靭帯損傷」を参照
主にスポーツをしている人にこの損傷はよく起こる。特にサッカーやバスケットボール、スキー等の急激な方向転換を伴うスポーツや、ラグビーやアメリカンフットボール、格闘技など、コンタクトの多いスポーツにおいて、自分の意思とは違った方向に関節が強制的に持っていかれたり、地面に着地した際に、体重で大きく曲がってしまったときに起こる。受傷時にはたいてい、体内で「ブチッ」と音がし、そのときには多少の困難さは有るが、歩行は可能なことが多い。受傷後の翌日には、膝に多くの血液が溜まっていることが多く、こうなると歩行は困難となる。
また、膝部位にある前十字靭帯は単独での損傷は少なく、たいていは他の器官(半月板、内側側副靭帯など)の損傷を伴うことが多い。
男性よりも女性に好発することが報告されているが,その頻度は2倍?8倍と報告によってまちまちである。また、女性に好発する要因ははっきりしていない。
前十字靭帯は血液の流れが非常に悪い部分なので自然治癒することはほとんどないが、損傷・断裂した場合でも、膝周りの筋肉を鍛えることで日常生活やレクリエーション程度のスポーツであれば問題なくこなすことができる場合もある(保存療法)。しかし、換言すると、保存療法によって競技レベルでのスポーツに復帰することは難しいことが示唆されており[1]、一般的には手術によって再建するしか治す方法はない。
また、前十字靭帯の断裂は、将来的に変形性膝関節症の発症リスクを高めることが知られている。前十字靭帯の断裂経験がある人は、そうでない人の3.62倍、保存的療法を行なったケースでは、再建した人の4.98倍にまでリスクが高まるという報告も存在する[2]。 専門家に診てもらうことが、最もふさわしい。素人には判別が大変困難である。 前十字靭帯の場合は損傷の有無をチェックするには、レントゲン、MRIなどを撮影し、ある程度の予測はつくが、それらを見ただけでは確実な判断材料とはならない。最終的には人の手で上腿・下腿とを持ち、動かして、そのゆれ・ずれ具合を見て判断する徒手検査(Lachman test)が確実に判断するための材料となる。前十字靭帯(赤)及び後十字靭帯(緑)のMRI画像 前述の通り、前十字靭帯は再生することがないため他の器官である膝蓋腱
損傷の有無
一般的な手術法
最新の術式は二重束再建術が主である。これは、(簡単に説明すると)移植靭帯を、前内側線維束(AM束)・後外側線維束(PL束)と呼ばれる2方向で組織形成する方法で、1本の移植靭帯による従前の一重束再建術よりも、多様な方向へ関節の動きを制限することができる。しかし、1重束と2重束の術後成績の有意差はないとの報告も多い。受傷してから復帰までの目処は、個人によって様々ではあるが、平均して6か月から1年程度である。
脚注[脚注の使い方]^ “膝前十字靱帯(ACL)損傷理学療法診療ガイドライン Q&Aより” (PDF). 日本理学療法士協会. 2013年8月7日閲覧。
^ Paschos, Nikolaos K (2017-03-18). “Anterior cruciate ligament reconstruction and knee osteoarthritis”. World Journal of Orthopedics 8 (3): 212?217. doi:10.5312/wjo.v8.i3.212. .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISSN 2218-5836. PMC 5359756. PMID 28361013. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5359756/.
外部リンク
⇒パンフレット「スポーツ損傷シリーズ6 膝前十字靭帯損傷」 日本整形外科学会
表
話
編
歴
スポーツ障害
頭・脳の障害
脳挫傷
脳震盪
慢性外傷性脳症
首の障害
外傷性頸部症候群
バーナー症候群
肩の障害
ベネット損傷
SLAP損傷
野球肩
三角筋炎
腱板炎
リトルリーガーズショルダー
水泳肩
テニス肩
ゴルフ肩
バレーボール肩
バドミントン肩
投擲肩
上腕の障害
上腕二頭筋長頭腱炎
肘の障害
離断性骨軟骨炎
野球肘
テニス肘
ゴルフ肘
水泳肘
岩登り肘
バドミントン肘
卓球肘
投擲肘
前腕の障害
コーレス骨折
ボウリング腕
手の障害
腱鞘炎
ド・ケルバン病
キーンベック病
TFCC損傷
腰の障害
腰椎分離症
腰椎すべり症
椎間板ヘルニア
梨状筋症候群
筋筋膜性腰痛
卓球腰
サーフィン腰
スノーボード腰
サイクリング腰
スキー腰
大腿の障害
大腿骨頭すべり症
筋断裂
肉離れ
膝の障害
離断性骨軟骨炎
ランナー膝
オスグッド・シュラッター病
腸脛靭帯炎
棚障害
鵞足炎
ジャンパー膝
サッカー膝
平泳ぎ膝
バレーボール膝
バスケットボール膝
テニス膝
ジョギング膝
ウォーキング膝
サーフィン膝
スノーボード膝
卓球膝
スキー膝
膝蓋骨脱臼
半月板損傷
靭帯損傷
外側側副靭帯損傷
内側側副靭帯損傷
前十字靭帯損傷