刻刻
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刻刻
ジャンル
SFサスペンス
漫画
作者堀尾省太
出版社講談社
掲載誌月刊モーニングtwo
レーベルモーニングKC
発表号第10号 - 第86号
発表期間2008年 - 2014年
巻数全8巻
アニメ
原作堀尾省太
監督大橋誉志光
シリーズ構成木村暢
キャラクターデザイン梅津泰臣(原案)
日向正樹(アニメーション)
音楽未知瑠
アニメーション制作ジェノスタジオ
製作ツインエンジン
放送局TOKYO MXほか
放送期間2018年1月8日 - 3月26日
話数全12話
テンプレート - ノート
プロジェクト漫画アニメ
ポータル漫画アニメ

『刻刻』(こっこく)は、堀尾省太による日本漫画作品。『増刊モーニング2』(講談社)にて第10号(2008年)より2014年11月号(第86号)まで不定期に連載された。後に『モーニング』(同社刊)本誌2014年47号に「プレミアム読み切り劇場REGALO」枠で、『刻刻 番外編 ?300日後?』が掲載された。単行本は全8巻。

単行本第1巻の帯では水木しげるが80点(同氏の近年最高点)と点数を付け賛辞を送っている。また、第2巻の帯では小説家の伊坂幸太郎が「最近、『何か面白い漫画ありますか?』と質問されると、まっさきにこの作品のことを口にします」とコメントしている。
あらすじ

佑河樹里は、無職の父 貴文、ニートの兄 翼、隠居の祖父(じいさん)と母親、シングルマザーの妹 早苗、甥 真と共に、貧乏な暮らしながらも平凡に暮らしていた。

ある日、甥と兄が幼稚園からの帰路の途中で誘拐され、犯人から樹里・父の元に身代金要求の電話が掛かってくる。犯人の要求する身代金の受け渡し期限までは30分しかなく、間に合わないと悟った樹里は、犯人と刺し違える覚悟で2人の救出へと向かう決意をする。しかしその時、じいさんが佑河家に代々伝わるという止界術を使い、時間を止める。人も物も森羅万象が止まった止界で樹里たちは2人の救出へと向かう。

しかし向かった先で、自分たち以外の動く人間たちに遭遇、急襲されてしまう。彼らは、止界術を崇める「真純実愛会」の教祖佐河順治と、幹部の柴田・宮尾、そして幼少時代に止界に入ったことのある相談役の間島翔子、さらに金で雇われた外部の人間たちであった。彼らの目的は、佑河家にあるとされる「止界術の石」を手に入れることだった。

止界術の石を巡り、樹里の「霊回忍を追い出して強制的に止者とする能力」と、じいさんの「上限10メートルの瞬間移動する能力」を使って、教祖たちとの戦いが繰り広げられる。
登場人物
佑河家
佑河 樹里(ゆかわ じゅり)
- 安済知佳[1]本作の主人公。佑河家の長女、28歳[注 1]。就職活動中であり、最近男と別れたことが家族に知れ渡っている。誘拐された真と翼を救出するため祖父と貴文と共に止界に入る。祖父曰く、子供のころから「ムキになり易い」性格であり、そのことが祖父に止界術を秘匿される原因の一端となる。実愛会との戦いの中でも、予備知識なしで巻き込まれたにも関わらず、迷わず即断して行動に移す場面が多い。それは思慮の浅い無謀さとして表れることもあるが、自分の身を危険に晒してでも家族を守るという覚悟に裏打ちされており、状況を打開する力となっている。霊回忍と融合することで止界内で自由に活動ができる者から霊回忍を追い出し、強制的に止者とすることができる特殊能力をもつ。6歳のころ、可愛がっていた犬のアンドレの死期が迫ったときに祖父が作った止界に入ったことがあり、その時に初めて祖父と間島翔子に対して上記特殊能力を使用する。もっとも、祖父により、その際の出来事は全て夢だと思い込まされていたため、誘拐事件が発生するまで止界術のことも自身の特殊能力のことも忘れていた。
じいさん
声 - 山路和弘[1]樹里の祖父、貴文の父親。ファーストネームは作中で明らかにされておらず、単行本の人物紹介においても「じいさん」と表記されている。誘拐された真と翼を助け出すため、樹里と貴文を連れて止界へ入る。年齢は80歳前後かそれ以上だと思われる。現在は隠居の身で、佑河家の離れで暮らしている。止界術の代々の伝承者であり、止界術を自身の祖父から教わる。また、止界の中では1回につき5 - 10メートルを限度とする瞬間移動の特殊能力が使える。もっとも、必ずしも狙った通りの地点へ正確に移動できるわけではなく(移動距離に比例して狙いとのズレが大きくなりやすい)、着地の姿勢も安定しないため頭から地面に落下することもある。移動に際しては、触れている者(止者を除く)を一緒に連れて行くことができる。当初は止界術を伝承することを考えていた。しかし、貴文・翼の自堕落な性格に不安を感じ、2人には止界術を教えないことを決意する(貴文が4歳の時に止界に連れて行ったことがあるが、その時には全て夢だと思い込ませた)。そこで、樹里を止界術を伝承する候補と考え、6歳の樹里を止界に連れて行く。しかし、その際にアンドレの死を受け入れられない樹里が、感情的になって上記特殊能力を自身(じいさん)に対して使用して逃走した経緯から、「止界術を教えれば、いつか見境のない使い方をするかもしれない」との危険性を感じ、やはり止界術を教えないことを決意する。結果、誘拐事件が発生するまで止界術を家族の誰にも秘密にしていた。性格は頑固で、日常生活では協調性があまり高くなく、隠居後に入った複数の趣味のクラブをメンバーとトラブルを起こして辞めている。反面、実愛会との戦いでは、自分が秘匿していた止界術のせいで家族全員を危険に晒しているという負い目もあり、家族を守って日常に帰るために冷静な判断と行動をするよう努めている。かなり昔に妻と撮ったと思われる写真が部屋にある。しかし、実愛会が確保すべき佑河家の家族として把握している中に、じいさんの妻はいない模様。死別したのか、その他の理由で現在佑河家で同居していないのかは不明。
佑河 貴文(ゆかわ たかふみ)
声 - 辻谷耕史[1]翼・樹里・早苗の父親で、じいさんの息子。止界術のことは一切教えられていなかった。誘拐された真と翼を救出するため、じいさんと樹里とともに止界へ入る。50歳代だと思われるが、会社を首になって現在は無職で自ら「中年ニート」と称していた。家長としての立場に漠然としたこだわりはあるものの、今の自分に父親としての威厳がないことは自覚している。単行本の人物紹介には「佑河家の細い大黒柱」と書かれている。妻の名は伸子。佑河家の家計は多くを伸子の収入に頼っていると思われる。家庭の人間としては頼りないが、あっさりと神ノ離忍を出現させるほどの殺意を一瞬で出す、佐河に躊躇無く切り掛かるなど異常な一面もある。その姿を見て迫には「イカレ具合も大概」、樹里とじいさんには「なんだろうこの人」と思われている。佐河との決戦の際に右指三本を切断する大怪我を負うが、後日談では幸いにもくっついたと思われる描写がある。
佑河 翼(ゆかわ つばさ)
声 - 野島裕史[1]樹里の兄。31歳。ほぼ引きこもりの生活を送っているが、珍しく真の迎えに行った時に一緒に誘拐されてしまう。止界では最初は止者であったものの、阿南が死亡した際に彼に入っていた霊回忍が体内に入り動くことが可能となる。止界にいる不安から一時は神ノ離忍化しかけるも、真の無邪気な行動によって止界に留まる。その後自宅に帰宅した際に実愛会メンバーの一人に待ち伏せをくらい、戦闘となるもからくも勝利する。しかし真と離ればなれになったせいか再び精神が不安定になり、神ノ離忍化しかけたところ樹里によって止界から脱出させられた。この止界での出来事がきっかけとなり引きこもりを脱出。明確な描写はないものの、家を離れ独り立ちしたと思われる。
佑河 真(ゆかわ まこと)
声 - 岩田龍門[1]早苗の息子。樹里・翼の甥で、貴文の孫、じいさんの曾孫。こまどり幼稚園に通っている。幼稚園からの帰り道に、迎えに来た翼とともに誘拐される。翼からは「まーたん」と呼ばれる。翼よりもしっかりしている一面がある。貴文を「じーじー」、翼を「翼にーちゃん」、樹里を「樹里ねーちゃん」と呼ぶ。止界での戦いの最中、神ノ離忍化した飛野を操る特殊能力に目覚めた。止界への予備知識も考え方もバラバラのまま実愛会との戦いに巻き込まれる佑河家の面々だが、「真の安全を確保する」ことは、樹里・じいさん・貴文・翼に共通の優先事項である。
佑河 早苗(ゆかわ さなえ)
声 - 生天目仁美樹里の妹。25歳。一人息子の真がいるシングルマザー。真の父親は家族にも明かしていない。パートを掛け持ちして働いており、真の養育費をすべて自分で稼ぐつもりだと樹里に推測されている。
真純実愛会

宗教団体。「実愛会」と略称で呼ばれる。佑河家から止界術を奪い取ることを目的に、誘拐事件を起こした。止界術を熟知していた実愛会の創始者が書いた「大円行記」を教義書とし、止界に関する知識を共有している。母体となる集団は200年以上前から講社という形態で存在していたが、明治時代には止界の信仰は廃れていたらしい。その後、戦後すぐの時期に、「総主」と呼ばれる教祖を中心とした現代的な宗教組織に作り変えられる。約20年前に総主を継いだ佐河が、隠されていた属石を発見し、止界信仰が再興された。佑河家のじいさんが止界術を発動すると同時に、属石を用いて止界に侵入した。教団の人間9人と、金で雇った外部の人間9人の、合計18人で止界に入った。
佐河 順治(さがわ じゅんじ)
声 - 郷田ほづみ[1] (青年-浦尾岳大、少年- 鶴翔麒)真純実愛会の現教祖で、信者からは「総主」と呼ばれている。会の創始者の思想を受け継ぐ。真の誘拐を企てた張本人である。誘拐事件の目的は、佑河家に家族を助けるため本石で止界術を使わせ、属石で同じ止界に侵入して本石を奪い、佑河家を抹殺して止界術を我が物とすること。そのために、数人の狂信的な信者を選抜したほか、荒事の実行部隊としてチンピラを金で雇い、止界に連れて入った。目的のためには手段を選ばない冷徹そのものの性格であり、真理の探究という好奇心を原動力として動いている。止界や霊回忍の知識を得るために、金で雇った人員や敵対する佑河家どころか、自分を崇敬する実愛会の信者や自分自身の身体すらも、躊躇なく実験材料として利用する。


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