刺?（ししゅう、刺繍、英: embroidery）は、布や革の上に刺?糸と刺?針を使用して装飾を施す技術。「刺?する」というように装飾する作業や完成した模様・文字を指すこともある[1]。プリントなどに比べて立体感がある分、製造に手間がかかるため、完成品は高価になる。
概要

刺?とは、布地あるいはその他の素材に針とより糸で装飾を施す技術のこと。擦れに強い性質があり、軍隊のワッペン等に利用されている。

特徴は、チェーン・ステッチ（英語版）、ボタンホール・ステッチ（英語版）、ランニング・ステッチ（英語版）、サテン・ステッチ（英語版）、クロス・ステッチ（英語版）など、ステッチ（英語版）の最古の技法に基づいていることで、それらは現代の刺?の基本的な技術として残っている。

機械刺?（英語版）は産業革命の初期に登場し、手刺?、とりわけチェーン・ステッチを模倣するために使われた。しかし機械によるサテン・ステッチやヘム・ステッチは、複数の糸によって施されるため、見た目は手刺?と似ているが構造は異なる。

刺?には、さまざまな色に染められた六本取りロウ引きなしの専用の糸（刺?糸）と、針穴を大きく取った専用の針（刺?針）が使われる。材料が糸であるという性質上、使っている糸の色や材質を刺?の最中に変更したり出来ないので、使用する色や材質の数だけ糸を用意する必要がある。そのため、文化刺?など数十色の色を使用する刺?を行う場合は、専用の針山が使われる。刺?糸の代わりに多彩な色のビーズを縫い付ける手法もある[2]。
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祭礼の山車の幕に施された刺?

中国の刺?は3000年近い歴史を持つと見られ、周の『礼記』に養蚕や刺?に関する記載があり、毛織物に簡単な刺?を施したものも出土している。湖北省からは戦国時代中期の、湖南省からは前漢の細かな刺?を施した布の実物が多数出土しており、現在の湘?のルーツと見られる。宋の都であった?州（べんしゅう）では刺?が盛んに行われるようになり、現在まで1700年の歴史がある。

日本では、縫い目に呪力が宿るとされていた。そのため、大人の着物に比べ、縫い目の少ない子供の着物には悪いモノが寄り付きやすいと考えられ、子供を守るために着物の背中に「背守り」と呼ばれる刺?を施す風習があった。また現在の北海道などに住むアイヌにも、「ルウンペ」「チヂリ」といった刺?衣装がある。

中世ヨーロッパでは刺?は上流階級の女性の教養として広まった。

2000年代、日本では各地の自治体で暴走族を締め出すための「暴走行為の防止に関する条例」が制定された。この条例の中には、特攻服などの衣服に暴走行為を行う集団の名称などを刺繍してはならないという規制を盛り込んだものもあった（例：熊本県）[3]。
種類ハンガリーのカロチャでカロチャ刺?を行う女性

大まかにわけて、人の手で行う手刺?（てししゅう）と、機械を使用する機械刺?、剣山状の針を使って布に糸を埋め込むパンチニードルとがある。
一覧

フランス刺? - フランス刺?独特の技巧をこらしたステッチが多種ある。一般的な「刺?」。

リュネヴィル刺? - クロシェという特殊なかぎ針を使って、たくさんのビーズやスパンコールを生地の裏側から刺?する独特の手法。