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ブレーキ (Brake) は、移動する物体の減速、あるいは停止を行う装置である。これらの動作を制動と呼ぶため、制動装置ともいわれる。
自転車、自動車、オートバイ、鉄道車両、航空機、エレベーター、競技用のソリ(ボブスレー)、クレーンなど、乗り物に限らず、およそ動くものにはおおむね搭載されている。また、高速な回転物を有したり(洗濯機のドラムなど)、精密な停止制御が必要な機械類などにも、ブレーキを持つものがある。
また、原義から転じて、変化を抑制する意味の単語としても用いられる(「景気にブレーキがかかる」など)。自動車用ブレーキの一例(ランボルギーニ・ムルシエラゴのブレンボ製ディスクブレーキ) 移動速度を減じるために運動エネルギーを減少させる方法により、摩擦により熱エネルギーに変換するもの(機械的ブレーキ)、電気エネルギーに変換してその電気エネルギーを何らかの形で消費するもの(渦電流ブレーキ、電磁式リターダ、回生ブレーキ、発電ブレーキ)、流体の運動抵抗を利用したもの(空力ブレーキ、流体式リターダ)などに分類される。 車輪を有する乗り物では、踏面ブレーキを使用可能な鉄道車両を別にすると、機械的ブレーキとしてディスクブレーキやドラムブレーキを使用する例が多い。これらは車軸または車輪内に回転盤(ディスクローター)または円筒(ドラム)をとりつけ、これらに摩擦抵抗を与えることで制動作用を得るものである。ドラムブレーキは制動力と拘束力に優れ、軽く安価に作れるのに対し、ディスクブレーキは広い速度域(温度域)で制動力が安定しているといった長所がある。詳しくはそれぞれの項目を参照のこと。 空力ブレーキは、宇宙機、航空機や一部の競技用自動車、リニアモーターカーや新幹線試験車両などの高速鉄道車両で利用されるドラッグシュートやスポイラーといった、機体や車体の外部で大気に対して作用するものである。 自動車用ブレーキの場合、現代ではブレーキペダルを足で操作するので、フットブレーキとも呼ばれる。乗用車では液圧で動作するものが大多数となっているが、大型自動車では圧縮空気を用いたエアブレーキが主流である。自動車では駐車時に車両を保持するための駐車ブレーキもあるが、これは走行時に使われるブレーキとは機構、目的共に異なる。一般に手を使って操作することからハンドブレーキ、またはブレーキレバーの位置からサイドブレーキと呼ばれていたが、足で踏むタイプやスイッチ操作などで電動でロックするタイプも開発され、総じてパーキングブレーキと呼ばれている。 制動機構としては、スポーツカーや高級車ではディスクブレーキ、大型自動車はドラムブレーキ、大衆車や軽自動車では前輪にディスクブレーキ、後輪にドラムブレーキを使用することが多い。これらの機械的ブレーキは、耐フェード性が求められる場合にはベンチレーテッドディスク、停車や駐車時の拘束力が必要な場合はドラムブレーキやドラムインディスク、といった具合に、使用環境、車両総重量、生産コスト、利益率などの条件を勘案して選択、採用される。 また摩擦以外の減速、抑速機構である、エンジンブレーキやディーゼル自動車(特に大型車)の排気ブレーキ、圧縮開放ブレーキ、リターダ、およびハイブリッドカーや電気自動車(BEV)の回生ブレーキ(減速時に発生する電力をバッテリーに充電する)もブレーキであり、一部は機械的ブレーキと協調制御されて運転者に機械的ブレーキ以外を意識させないようにしている。 オートバイのブレーキは前輪と後輪を別々に操作するものが一般的だが、大型ツアラーや小型スクーターを中心に、機械的又は電子的に制御された前後連動ブレーキを採用した車種もある。前後別のブレーキの場合、前輪ブレーキは右手で、後輪ブレーキは右足か左手で操作する。 制動機構としては、主にスポーツ車や大型車種を中心に前後輪にディスクブレーキが、小型車・実用車の後輪または前後輪にドラムブレーキが使用されるのが一般的だが、ブレーキの種類が外観に与える影響が大きい(ドラムブレーキは旧式、廉価版、低性能とみられやすい)ため、例外も多く存在する。四輪車と比較して車重が軽いために発熱量が小さく、ディスクローターも露出していて風に当たりやすいことから冷却が大きな問題とならないため、重量のかさむベンチレーテッドディスクは通常用いられない。 パーキングブレーキは、ギアをN以外に入れる方法やセンタースタンドで容易に代用できる車種では装備しておらず、センタースタンドを立てるのに苦労するほどの重量車や、スクーターの中でも配達業務や外回りで頻繁に乗り降りされる想定の実用車、快適性を重視したビッグスクーターに限って装備される。 現代の鉄道車両では、車輪に制動力を与える機械的ブレーキとしては、車輪の線路との接触面に直接ブレーキシューを当てる踏面ブレーキやディスクブレーキが一般に用いられる。また、ブレーキを機能させるための制御・駆動システムを構成するものとしては、通常自動空気ブレーキあるいはその基本原理を応用する非常ブレーキ装置が搭載される。 電動機を動力源とする電車や電気機関車、ハイブリッド方式の気動車などでは、制御回路の切り替えにより電動機を発電機として制動力を得る発電ブレーキ(発生電力を車載の抵抗で消費)や回生ブレーキ(発生電力を架線やバッテリーなどに戻して再利用)を採用し、機械的なブレーキの常用によるタイヤ温度の上昇や偏摩耗を抑止することが一般的となっている。 なお、連結運転を行わない路面電車ではもっとも原始的な空気ブレーキ機構である直通ブレーキを機械的ブレーキの制御および駆動に採用することもある。また、かつては機械的ブレーキとしてドラムブレーキを採用するケースが路面電車を中心に見られ、また他の各ブレーキと併用する形で非常用ブレーキとして手ブレーキの搭載が標準となっていたが、近年ではいずれも採用例が事実上皆無となっている。 急峻な山岳線向けなどでは非常用としてブレーキシューを直接線路に押しつけるレールブレーキが搭載されることがある。 高速鉄道車両に特徴的なブレーキとしては、電動機を搭載しない新幹線の付随車などで発電ブレーキや回生ブレーキの代用として搭載される渦電流式ディスクブレーキや、ドイツの高速鉄道車両ICE3に装備された渦電流式レールブレーキといった、非接触のブレーキがある。
機構
自動車
オートバイ(二輪車)
鉄道詳細は「鉄道のブレーキ」を参照
航空機エアバスA330・A340で使用される多板型ブレーキ
炭素繊維強化炭素複合材料製で複数のローター・プレートとステーター・プレートが互い違いで組み合う形になっており、ローター・プレートにはタイヤのホイールの中に取り付けられているキーに固定されるキー溝が設けられており(凹凸がある形状のローター)、ブレーキを掛かる時は右側に取り付けてあるハウジング(白い物体)に高圧の作動油が入り込むことにより発生する油圧によって、ピストン(ハウジングから突き出でている物体)が動き、ステーター・プレートとローター・プレートを押し付けることによりブレーキが作動する
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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